簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

鉄道と国道の差 (JR乗り潰しの旅・宇野線)

2019-02-04 | Weblog
 干拓はまず堤防を築いて、水面を囲い、その中の水を抜いて土地を造成する。
そのため干拓地は海面より低くなる。それに対し埋め立は、堤防内に土砂を運
びこみ、水面を埋め立てるので造成地は海面より高くなる。



 宇野線沿線は江戸期に児島湾を干拓して造成された地で、その後明治・昭和
の干拓では更に沖に広がり、その広さは関西国際空港のおよそ50倍にも相当す
る広大なものとなった。現在の姿になったのは、昭和38年のことである。



 地図を見ると宇野線は、岡山を出て南下するものの、妹能辺りで進路を西に
変え、その先早島辺りで南下、彦崎で東に向き直り、八浜を過ぎ再び南下して
終点の宇野に向かっている。
かつての児島湾に沿って“逆コの字形”に大きく迂回しているのだ。



 宇野線が開通した明治43年当時、その沿線児島湾の海岸線にほぼに沿っ
て通されていたいた。
当地を旅した徳冨蘆花は、「下津井線と岐れてから泥の海を見た」と日記
に書いているが、当時はその車窓から、風光明媚な瀬戸内の児島湾の風景
が眺められていたようだ。





 一方岡山市内から宇野に向かう国道30号線は、明治以降に干拓された地を
南に貫いているので、鉄道と比べると迂回の具合も少なく、距離にして数キ
ロも短くなっていて渋滞にも左右されるが時間的には40分ほどの距離である。



 それに比べ鉄道は、数少ない直通なら50分ほど、茶屋町乗換なら更に待ち
時間が加わり、モータリゼーションの時代、この差は大きい。
宇野線衰退の要因は、この辺りにも潜んでいるようだ。(続)


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