簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

宇野駅 (JR乗り潰しの旅・宇野線)

2019-02-25 | Weblog

 宇野線の終着駅・宇野。
事情を知る乗客が前方に移動を始めると、それに釣られるように他の乗客も
席を立ちそわそわと前に向かう。連絡船に乗り込む跨線橋はホーム前方だ。
列車が止まれると同時に、飛ぶようにホームに降りた大勢の乗客は、跨線橋
を駆け上がり、長い廊下を桟橋に向けて走り出す。





 昭和40年から50年代にかけての宇野線は、東京始発の特急1本、大阪発の
急行2本、快速・普通34本、そこに季節毎の臨時列車や貨物列車が加わる過
密気味のダイヤが物語るとおりの四国連絡の幹線路線であった。
(「ローカル線風土記 終着駅」毎日新聞社 昭和50年)

 高松からの連絡船が着岸すると、或は東京や大阪方面からの列車が到着す
ると、桟橋と2面4線(だったと記憶している)の長大なホームの間で繰り
広げられる毎度お馴染みの光景であったが、もうその姿を再び目にすること
は出来なくなった。





 瀬戸大橋が開通し、宇高連絡船が廃止になった宇野駅は、大きな変貌を遂げ
ることに成る。昭和63年、四国への玄関口としての使命を終えると、四国に繋
がる線路は断たれ、海からは遠ざかった地に新しい駅舎が建ち、旧駅舎が解体
された。長編成の列車や貨物列車が何本も出入りし、停留した広大なヤードは、
駅前広場の再開発であえなく消滅した。





 今では1面2線のホームにやってくる列車は、1時間に1本となり、駅の
利用客は1日平均1200人程度と低迷している。
そんな宇野線も近年瀬戸内の島々で行われるアートイベントへのアプローチ
路線として、利用客は増加傾向にあると言う。(続)

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