茶屋町の駅を背に、通行量の多い駅前の通りを300mほど歩くと、右側に
「倉敷市立磯崎眠亀(いそざきみんき)記念館」がある。(入場無料)
この施設は、この茶屋町で生まれ、精巧な花筵「錦莞莚」の製造を可能にし
た磯崎眠亀の旧宅を保存修理したもので、昭和63年4月に開館した彼の記念
館である。
い草栽培は、岡山で盛んに行われていたがその後衰退し、熊本の八代周辺
にその栽培地が移った。しかし近年では韓国や台湾、中国などの安い外国産
に押され、その熊本地方の生産量も減産に歯止めが掛からないと言う。
岡山では江戸時代から急速に発展したい草産業も、明治維新を境に衰退を
はじめ、景気の後退が始まった。そんな状態を何とか打開しようとしたのが、
家業が小倉織を生業としていた磯崎眠亀であった。
眠亀は苦労して開発したその技術を盗まれないように、研究室を自宅の二階
に造った。その階段には、物を運びやすいように、全てスロープで登れるよう
に工夫し、その途中には荷物を上げるための滑車を設けている。
そんな研究と苦労を重ね、努力の結果手織りの花筵、名付けて「錦莞莚」
の製造を可能にした。経糸を従来の3倍の120本に増やし、赤や緑、黄などの
鮮やかな色に染め上げたい草を、その緯糸として通し、精巧な模様を織り込
んだもので、この花ござは忽ち高級な輸出品として、欧米で持て囃される様
になった。
館内は自由に見て回ることが出来るが、話好きな管理人の説明を聞くことも
出来る。この記念館では、余知られていないそんな眠亀の偉業を知り、開発の
苦労を随所で偲ぶことが出来る。(続)
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