まこの時間

毎日の生活の中の小さな癒しと、笑いを求めて。

富士周遊旅行 その2

2009-10-05 | 旅行
豹柄姉さんに呼ばれ、躊躇したものの、迫力に負けて、わたしも主人もおろおろと中に入った。
「呑み放題2時間にしてっ!ひとり2100円!」と、ホテルの人に談判していた。というより、有無を言わさない流れだ。

わたしたちは、ひたすら飲んで歌えばいいのである。
しかし、この歳で初めての人と酒を飲むのは、緊張がある。
心底楽しくなれるか分からない。酒に頼るしかない。
互いに、性格も素性も分からないのだから。

リーダー格のおっちゃんが、ひょうきんで盛り上げ方が尋常でない。爆笑だ。
「納豆売りの歌」などは、笑い転げた。完璧なスペイン語に聞こえる。
こんな唄があったのだと、旦那と感動。
もうひと組の尼御前から乗った夫婦は、奥さんが運動会で声を出しすぎてかすれたので歌えないと言いながらも歌いだした。
ハスキーで色っぽい。
宴会で丸め込まれたか、この乗りに吸い寄せられたか。
そのだんなさんが、古い田端義夫を歌いだし、マイクを浴衣に挟むと、すかさず奥さんが入り口の洋服掛けのところから、ハンガーを持ってきて、だんなさんに持たす。息もぴったりの夫婦だ。

飲み屋風の女性ふたりも、さすがに慣れているようでいい声だ。
豹柄の姉さんは、何かとこまめにウーロン茶割などを作っては持ってきてくれる。
どこかのスナックに来たようなサービス。
豹柄姉さんは、納豆売りのおっちゃんに「しげのりぃ。やるう」と、声をかける。
旦那だという。8才違うのだとのこと。
他の姉さんとは、5月の旅行で知り合って、今回は一緒に来たのだという。
「あの子らは4才下。」こちらが何も聞かないのに、次々と話してくれる。
「うちは、しげいち」とわたしが言うと、
「あはは・・しげいち、しげのり、しげのすけ」
と、それぞれを指差した。しげのすけと呼ばれたのは、尼御前夫婦の旦那さん。
ほんとは違う名前だが、語呂合わせにしげのすけと呼ばれる羽目に。

このあたりで、酒の力も加わり全員が意気投合してきた。
瞬く間に2時間は過ぎて、豹柄の姉さんの部屋で三次会となった。
わたしたちは、缶ビールやワインを持って、部屋へ訪ねた。
5人の部屋だ。

互いの名前を名乗りあった。
勝手にしげのすけと名づけられた人は、ほんとは「てつじ」で、奥さんがたみちゃん。
かおりちゃんとももちゃんは、「わたしら、ばついちや」とのこと。
子供もいるらしい。二人合わせて、ももいかおり・・とか、茶化していた。
豹柄の姉さんは、さっちゃんで、しげのりと夫婦。
一緒にいるちょい若い男性は、しげのりの会社の後輩で、かみちゃん。
とても、人の良さそうな大人しい人で独身。

心の中で、想像と違うことが可笑しかった。

もっと可笑しいのは、みんながわたしたち夫婦を不倫だと思っていたらしい。
「絶対不倫やわ、それにだんなさん酒呑まん人かと思ったら、しなっと午後にワンカップふたりで呑んで」
と、観察されていた。
考えたら、前の席というのは、無意識に観察しているものだ。
私自身、前と後ろにいろいろ想像を巡らせていたのだから。

本当の夫婦だというと、やたら受けた。
わたしが若く見られたか、旦那が怪しく見られたかのどちらかだ。
しかし、ふたりでつまらん冗談を言って笑っていたからかもしれない。
いい年して、夫婦でくすくす小声で笑っていたら、傍から見たら気持ち悪いかも。

かくして、三次会の時間も過ぎ、ここまでは普通の出来事。

この後、わたしたちは何回も旅行したが、かつてない体験をすることになった。
さっちゃんの提案で、綿密に打ち合わせ、各自部屋へ戻ったが可笑しくて眠れない。

次へ行く前に、復習。

登場人物
金沢5人の男女グループ。後部席とひとつまえの左側。
わたしたち加賀温泉夫婦。後部よりひとつ前の右側。
尼御前夫婦。中間の左側席。

続く