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「ハリケーン」と言う名前のボクサーがいた。
本名は、ルービン・カーターと言う。
ルービン・カーター事件と言えば、
アメリカの冤罪事件の中でも有名である。
1937年5月6日、ニュージャージー州のクリフトン生まれ。
激しい人種差別の時代背景もあって
11歳の時に初めて警察のお世話になったルービンは、
黒人であるがゆえに重い刑に処せられる。
8年後、脱走したルービンは軍隊に入隊した。
そこでボクシングのウェルター級チャンピオンになり、
「ルービン・ハリケーン・カーター」となった。
その後、プロボクサーになるために軍隊を辞め、
故郷に戻ったところ、警察に見つかり逮捕された。
独房の中で彼はボクシングのトレーニングに明け暮れ、
出所後にみごと世界チャンピオンになった。
しかし、対戦相手が白人選手の場合は、
KOしない限り・・・どんなに明確にリードしていても、
判定負けにされてしまった。これに比べれば・・・
現在のホームタウン・デショジョンなんて可愛いものだろう。

そんな1966年6月17日、事件は起こった。
ニュージャージー州パターソンの、あるバーで4人が射殺された。
偶然その近くにいたルービンと知人は、
犯人の車と似た白い乗用車に乗っていたため逮捕されてしまった。
しかも昔ルービンを逮捕した警官の圧力で、
証人は証言をねじ曲げ、証拠は書き変えられてしまった。
そして差別的な白人だけの陪審員達により有罪にされ、
終身刑の判決を受けた。
無実のルービンは、獄中で自伝『The 16th Round』を書いた。
ムハメッド・アリやボブ・ディランや善意の人々が、
彼の無罪を唱えたが・・再審は認められず、
やがて風化し忘れられてしまった。
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カナダのトロントに住むレズラ・マーティンという黒人少年が、
古本市で『The 16th Round』を見つけルービンに手紙を送った。
諦めかけていたルービンに、かすかな希望の灯がともった。
レズラの保護者であるリサ、テリー、サムも賛同し、
釈放運動のために立ち上がる。
1985年11月7日、連邦最高裁判所での一か八かの戦いで、
無罪を勝ち取ったのであった。

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