大沢在昌の狩人シリーズ第2段である。
とは言っても主人公は異なる。今回の主人公は
未成年の殺人犯を射殺し刑事を辞めた西野と言う35歳の男である。
西野は連続殺人犯が未成年者であったため、
捕まっても社会復帰は間違いなく、
しかも犯人が殺人を繰り返すと予告し、
西岡自身も確信したため殺人を繰り返させない為に、
射殺したのであった。
これも上下巻合わせると猟犬になるデザイン。
刑事を辞めた西野は千葉県の海辺の町で暮らしていた。
自分がした事は間違っていないし、悔いはないが、
法に沿っていたとは言い難い。
一生背負っていかなければならない負い目。
そんなある日、警察関係者が訪ねて来る。
若き美貌の女性警視正:時岡は、西野の過去を知り、
ある事件の犯人を捜して(殺害して)欲しいと頼む。
時岡に惹かれた西野は依頼内容の異常性にも関心を寄せ、
非合法で捜査を始める。
前作「北の狩人」にも登場した新宿署第4課(暴力団対応)
佐江刑事が脇役でありながら前作以上に深く関係して行く。
暴力団員の原もヤクザでありながら肝の据わった役回りで、
この立場も関わり方も違う3人が、お互いを信じながら
犯人を追い詰めて行く臨場感がたまらなかった。
最終的な着地点をどこに持って行くのか?
考えながら読んで行ったが、当たらずしも遠からずであった。