しばらく大沢在昌のヒロイン物の作品を読む。
前作までは警察物だったが今作品から3つ続けて、
元風俗嬢で裏稼業の水原(通称)と言う30代半ばの女性が主人公。
水原は祖母に恨まれた事が理由で母親を亡くした14歳の時に
通称・地獄島と言う売春島に送られ10年間をそこで過ごした
と言う壮絶な過去を持つ。その経験からか男性を見ただけで、
性格や性癖までも見抜ける能力を持っている。
地獄島から生きて抜け出した女性は水原一人、
顔を変え名前を変え過去を封印して裏のコンサルタントとして、
生きているが、10年間見た地獄が時々生々しく蘇ってくる。
水原は生きるために女性である事も利用し殺人も犯す。
地獄島の生き地獄に比べると大した事ではないようにも感じる。
この最初の作品は短編が集められており、
そこから水原の過去や現在や取り巻きや人となりがつかめて来る。
最後の作品で地獄島から追手がやってきて水原を襲う。
水原はそれを倒して自らの過去を抹消するために、
島を乗っ取ろうとする韓国人マフィアと共に島に渡り、
島を抹消してしまう。
正義の味方と言うわけではなく、自らが生き続けるために、
過去を抹殺すると言うストーリー。
警察VSヤクザではなく、裏のヒロインVS裏社会なので、
ちょっと暗い展開のハードボイルド。
自分が主人公になったつもりで読む事が多いのだが、
これはちょっと無理だった。あまりにも自分と違い過ぎて。