2006年発行の東野圭吾の小説。
主人公である田島和幸の幼少の頃から現在(35歳位か?)までの
不幸の歴史を書いた小説。殺意を持った人間が実行に移すには、
殺意の他に何が必要なのか。どこでその門をくぐるのか・・・。
について書いたもの。
田島和幸は歯医者の息子で裕福であった。
小学生時代の友達:倉持修は豆腐屋のせがれで、
単価の安い物を売っても儲けは知れていると、
子供の頃からヤクザ風の胡散臭い男に弟子入りをする。
そして和幸をイカサマの賭け五目並べに誘い、
有り金を巻き上げ(和幸は巻き上げられたと思っていない)、
さらには家の金をちょろまかすほどのめり込ませてしまう。
和幸の祖母が亡くなると、父親は女性にのめり込み
(子も子なら親も親)母親と離婚。水商売の女性にまんまと騙され、
財産をつぎ込み、女性の恋人に殴られた後遺症で配車を廃業する。
こうなったら転がり落ちるのは早い。やる事は次から次へと失敗、
騙されたと気づいた時は(遅いだろ)死ぬしかない所まで堕ちた。
中学、高校と和幸は倉持に利用されているのでは?
倉持に騙されているのでは? とうすうす感づいているのだが、
倉持には天性の詐欺師の才能があり、
どんどんマインドコントロールされていく。
和幸が馬鹿が付くくらいお人よしと言う事もあるけど。
和幸が父親に見切りをつけて就職しても倉持は現れ、
ねずみ講や詐欺商法を持ち掛け片棒を担がさせる。
和幸は倉持に対して殺意を持つのだが、
実行に移そうと思いながらも、踏ん切りがつかない。
最終的に和幸は殺意を実行に移せるのか?
何度騙されても懲りない和幸にイライラさせられながら、
最後まで読んでしまったのだが、
いや本当にイライラするの。
もうお前とは付き合わない、と言っても付きまとってくるのだが、
それでも本当に縁を切れば、取り返しのつかなくなるまでは、
いかなかったのになぁ。あそこまでされたら殺意を実行に移すかも。
まぁ自分のダメさ加減にガッカリもするけどね。