2002年発行の東野圭吾の小説。
いい人が1人も出てこない小説を書きたかったらしい。
私は登場人物を良い人とは思わなかったけれど、
それほどの悪人とも思わなかったなぁ。
主人公の佐久間駿介は30代前半の凄腕の広告クリエーターである。
中堅どころの広告代理店に勤務し自他ともに認めるできる男。
人の心がわからない男・・・特に女性には冷たく、
自己中心的な態度をとり自分も都合に合わせられない女性に、
用はないらしい。
こんな男と付き合ったら常にご機嫌をとらないといけないし、
気持ちが安らがないので長続きしないだろうと思う。
まぁ3か月がいいところだろう。
書き出しからそんな感じで始まる。
ところがこのいけ好かない佐久間駿介が中心となってやってきた。
大手自動車会社のプロジェクトから降ろされる。
クライアントの副社長・葛城勝俊の一声である。
理由はわからないのだが、たぶん何かが気に入られなかったのだろう。
駿介は納得できないまま葛城邸を訪れる・・・。
そこで塀を乗り越えて飛び出してきた若い女性を見かけ、
タクシーで後をつける。
声をかけた相手が葛城勝俊の大学生の娘・樹理だと知り、
家出の理由は異母姉妹である千春とのケンカだと聞く。
樹理は勝俊の愛人の娘で実母が亡くなったため引き取られ、
家では高校3年生の千春やその母親と折り合いが悪かったと言う。
話を聞いた駿介は、仕事を干された恨みもあり、
樹理に狂言誘拐を持ち掛ける。人生はゲームであると言う
駿介とビジネスはゲームであると言う葛城との勝負が始まる。
駿介は筋書き通りに樹理に演技をさせ、まんまと身代金を受け取る。
ところが・・・解放したはずの樹理が行方不明になる。
家に帰したはずの樹理は何処へいってしまったのか?
面白くて先へ先へと読んでしまったのだが、
なんと! と言う結末へ。
いろんな考え方があるけれど私は、
安易に男女関係を持ってしまうのは反対である。
理由は冷静に物事を考えられなくなってしまうから。
関係を持ってもそれとこれとは別と考えられる人もいるだろう。
だけどそれは難しい・・・・相手を意識しちゃうし。
だから探偵と依頼主やマークする相手、刑事と容疑者、
クライアントと雇い主などと深い関係になるのはいいとは思えない。
ここでも駿介は樹理と早いうちに関係を持ってしまうのだが、
それで冷静な判断ができなくなってしまったのでは?と思う。
逆に樹理の方が冷静沈着だったわけだ。
なかなか面白かった。東野圭吾は天才である。笑。
2003年に「g@me.」と言うタイトルで映画化された。
佐久間駿介役は藤木直人、葛城樹里役は仲間由紀恵、
葛城勝俊役は石橋凌。なかなかである。