1995年発行、東野圭吾の6つの短編小説を集めた物で、
交通事故を題材としている。交通事故の加害者は、
相手を死に至らしめたとしても・・・
事故(故意ではない、過失など)で通常の殺人事件よりは
軽い刑になる。被害者側は人を死亡させといて、
それっぽちの償いなのか? と思う事もしばしばあるようで、
この小説はそんな日常の被害者にスポットを当てている。
タイトルになった作品は、兄が運転していて事故に遭った妹で、
視覚障害者だが人並外れた聴覚や時間間隔で、
事故の本質を暴いていくもの。
ただ完璧すぎて、実は偽証だった事が最後に解る。
2023年にNHKのBSで前後2編でドラマ化された。
他の5作品も日常的によくある事が題材でる。
軽い気持ちでした路上駐車のおかげで病院搬送が間にあわず、
その車の持ち主を探し出し、親切と見せかけて追い詰めて行く作品は、
その気持ちよく解る!と思わざるをえなかった。
初心者であおられた話とか、車窓から捨てられた缶で怪我をした話とか、
本当にありふれた話であり、それがもとで事故を引き起こしたとしても、
運が悪かった・・・・で済まされてしまうような題材だった、
東野圭吾・・・ほんとうに視野が広いし、
小さいテーマから話を膨らませてストーリーにしてしまう事が凄い。