雀の手箱

折々の記録と墨彩画

哀愁の梅林

2010年02月22日 | 塵界茫々
 窯にまた火を入れるというので、窯詰中の弟のところへ出かけて、絵付けの邪魔をしてきました。
 話が今年は梅の開花が早かったことが話題になり、知人の持ち山の梅林が、年老いて手入れができなくなり荒れているという話になりました。200メートルくらいしか離れていな場所なので、一休みの気分転換のつもりで山を覗いてみました。梅の実の収穫も落ちるに任せているという状態のようです。
 花の盛りは過ぎていますが、何種類かの梅の木が、山の斜面を埋め尽くしています。今は紅梅が盛りの時を迎えていました。木の下では、猫柳が銀色の綿帽子を見せて春を謳歌している姿も見受けられました。夏の夜、白いレースを広げて咲く烏瓜も今は橙色の鮮やかな卵形で竹やぶにアクセントを点しています。

 こうして手入れをされなくなった梅林の花の季節は、花の香と彩が鮮やかなだけに一抹の哀愁を湛えて、思いのままに込み合った枝に咲く花もどこか寂しげです。
 他人事ではない自らの身のまわりの始末を突きつけられているような気がして、うららかな陽射も何かまぶしく、早々に山を下りました。

梅林のうつろい
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山の斜面を覆いつくす梅の木
紅梅は今を盛りと咲き誇って
込み合った枝に咲く花
猫やなぎは銀色の綿をかざして春を告げる
勢いを増した竹やぶに烏瓜の赤い実が下がっていました
<</MARQUEE>
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4 コメント

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凛と誇る ()
2010-02-23 14:08:37
 山の斜面を埋め尽くす梅の木… 憧れの風景です。香りも届きそうな写真をありがとうございます。お手入れがたいへんなのもよく分かります。持たざる者はのんきに楽しませていただきますが、枝が短く密集するので、写すのもむずかしいです。鶯が梅の花を縫いつけるという傘のようで。

 ぎんねずに朱ケのさばしるねこやなぎ  蛇笏

 正真正銘の春ですね。気持までふっくら温まりました。珍しい戸畑アヤメ、小沢見野の小杜若…   
 みんな誰のためにこんなにきれいに咲くのでしょうか。
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ゆしまの梅 (雪月花)
2010-02-24 14:30:54
こんにちは。「光の春」らしい日がつづいておりますね。散歩をしつつ梅香を楽しみ、花の蜜をもとめて飛びまわるメジロや蜂たちが友だちのようです。わが家の近くの梅林もほとんど手入れされず、実も落ちるままになっており、訪問者の多い花の季節を除いてやはりどこか淋しそう。梅もまた古くから人とともに生きてきたのですね。

昨日はお江戸に用事があったため、湯島天神の梅を見てきました。まだ三~四分咲きでこれからが見頃のようでしたけど、四方を高層マンションに囲まれながらも下町人情につつまれた梅はきらきらと光って見えました。梅林内に鏡花の筆塚があり、すらりとした柳腰の和服美人がそばに立っていたような、いなかったような。

鏡花の描く女性とはかけ離れていますものの、臙脂色の上田紬に霰小紋のコートを羽織り、紅梅に名残雪♪とばかりに歩いていましたら、通りやお店でずいぶんほめていただきました。下町はあったかいのです ^^ その気になって、近くの旧岩崎庭園でお薄と紅梅の練切りをいただいて、お腹まで春になりました。

次は桃の節句ですね。御身大事になさってください。
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誰ゆえに (ふくら雀)
2010-02-24 16:36:56
”香やはかくるる”と詠まれた梅の香に包まれていて落ち着けませんでした。ほかならぬ自分の中の声と問答を交したからでしょう。

猫柳と玉章の赤い実が春を告げて、鶯ならぬメジロが梅の花笠を縫い付けるのに忙しそうでした。

 しろがねのかくやわらかき猫柳 鷹羽狩行

「こさわみののこかきつばた」舌を噛みそうな名は「たれゆえそう」のやさしさには及ばず定着しがたかったと思われます。
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お蔦幻影 (ふくら雀)
2010-02-24 16:55:39
湯島の白梅の碑のほとりに佇む、臙脂の紬に霰小紋のコート、雪岱の現代美人画の完成ですね。
想像するだに振り返りたくなります。

等伯の松林図も、一度は図録ではなしに観たい作品ですが今は手の不調で東京までは無理のようです。

春も本番といったところでしょうか。和服でのお出かけも弾みがついて多くなることでしょう。
お姿に加えてお口の幸せもご堪能なさって、人生の華の季節を精一杯に充実してお過ごしくださいませ。
また、作品にお会いするのを楽しみにしています。
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