雀の手箱

折々の記録と墨彩画

鬼箭木

2012年11月23日 | すずめの百踊り

 鬼箭木と書いてニシキギと読み、俳句では晩秋の季語ですが、紅葉の美しいことで持て囃されるこの木は、私の感覚では冬の到来を告げる木です。庭の2メートルほどの紅葉は、気温が下がるごとに多様の色彩の変化を見せて散っていきます。一様に紅に染め上がるときよりも少し前の姿が好きですが、すぐに変貌して自ら愉しむかのようです。オレンジ色の弾けた実もたのしく、裸木になって、ごつごつした幹だけの姿は、やはり鬼箭木がふさわしいかもしれません。

 雨上がりの今日はもう赤のグラテーションだけになってしまいました。今月の剪定にやってきた庭師の邪魔になりながら、好みの枝を探してのお遊びです。

 気取った鬼箭木より、錦木の表記の方がストレートで好みです。それに、謡曲「錦木」や、古歌の「思ひかねけふ 立初る錦木」を連想して、ほのぼのとしたロマンを辿ることができますから。

 

 


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