教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

大学進学率の頭打ちから10年…現代日本における「四年制大学」市場縮小の危機

2022年01月24日 12時01分16秒 | 受験・学校・学問

大学進学率の頭打ちから10年…現代日本における「四年制大学」市場縮小の危機

(※写真はイメージです/PIXTA)

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大学受験シーズン到来。大学入学共通テストの難化などに注目が集まっています。本記事では、桃山学院大学経済学部教授の中村勝之氏が、「大学業界」の知られざる現状について解説していきます。

【関連記事】大学生の約7割が私立に通っている…現役教授が語る「大学業界」の知られざる現状

高等教育政策の変遷

[図表1]四年制大学および短期大学への進学率

[図表2]四大・短大の在籍者数

1978~85年度にかけて進学率および在籍者数が微減傾向にあるが(参照:関連記事)、これは旧文部省の方針により、大学の規模拡大よりも質的充実をはかることに力点がおかれた結果である。

 
 
ここには当時の18歳人口が150~160万人で安定的に推移する事情もあった。

18歳人口がその後205万人(1992年)をピークに増加することに鑑み、1986年度から既存学部の定員増を認めるようになった。これが俗にいう臨時定員増である。この時期から進学率および在籍者数が増加したのは、この政策転換があった訳である。

ただ、臨時定員増はあくまで時限的措置であって、時が過ぎれば解消されるべきものである。だが、旧文部省は18歳人口のピークを越えた1993年度以降においても臨時定員増を解消することはなかった。

安直な定員増を抑制する代わりに、学部設置の地域制限を撤廃することにした。これが18歳人口低下が始まったにもかかわらず、新設大学や学部・学科の設置増が止まらなかった要因である。

[図表3]四大・短大数

 

[図表4]四大・短大に設置される学部・学科数

大学の定員概念「募集定員」「収容定員」違いは?

こうした高等教育の拡張路線に、やがてブレーキがかかり始める。その発端が2000年度から始まる臨時定員増の半分返上(2004年度に完了予定)である。

だが、その時点で在籍者数に陰りが見えなかったのは、文科省が新学部設置を事実上認めたからである。既存学部において返上しなければならない定員を学部・学科の新設で補う。こうした対応を各大学は実施してきたのである。

その動きに対して、2018年5月に文科省は更なる定員管理政策を打ち出した。大学には募集定員と収容定員という定員概念がある。前者は募集要項に記載されている募集人数の合計であり、後者は入試で合格した者の中で手続きを経て最終的に入学した新入生の許容人数である。

「入学者が募集定員を上回ったらペナルティ」の狙い

これまで文科省は収容定員を募集定員の定数倍まで許容する方針のもと、それを守らない大学に対して補助金の給付を行わないペナルティを科す政策を貫いてきた。

この改正の目玉は、首都圏を中心とする大都市に立地する大学の大規模学部(募集定員300人以上)に対して、募集定員と収容定員を一致させることと、1人でも募集定員を上回る人数を入学させた大学にペナルティを科すというものである。

この政策変更の裏には、地域経済活性化の一環で地方在住の若者の流出を食い止める意図があった。ところが、これを知った有力私学を中心に合格者の絞り込みが行われた。それと同時に、絞り込みの読みが外れた大学において追加合格が乱発され、高校および受験生たちが大混乱する状況を招いてしまった。

結局、文科省はこのペナルティの導入を当面見送らざるを得なくなった。こうした文科省による高等教育政策の変化が、大学および高校の教育現場、ひいては学生・生徒に要らぬ不安と混乱をもたらしたと言っても過言ではない。

大学業界が直面する諸難題

ここまで四大および短大の状況、ならびに文科省による高等教育政策の変遷について確認してきたが、短大の動きについて改めて時系列順にまとめておこう。

●1993年度:在籍者数ピーク(530,294人)

●1994年度:進学率ピーク(13.2%)

●1995年度:学科数ピーク(1,538学科)

●1996年度:短大数ピーク(598短大)

これを見ると、需要のピークが先行しているのが分かる。つまり、短大の縮小は顧客フローである高校生(およびその保護者)のニーズが先に変化し、短大がそれに対応する形になっている。だが、その対応が後手に回るほど、顧客フローが短大業界を避け続けるようになる。

その結果、短大に蓄積される顧客ストックも目減りし、収益構造の悪化を招いてしまう。そこで、短大の一部は四大に衣替えすることで対応した。この動きが四大増を後押ししたのは言うまでもないだろう。

一方、四大はこれまで確認した図を見る限り、その市場規模が縮小する兆しはないように思われる。だが、短大が増加傾向から一旦頭打ちになってから低下してきた事実を鑑みると、四大も同様の動きを示すことも可能性としては十分考えられる。そこで、これまで確認した四大の状況を「頭打ち」をキーワードに改めて時系列順にまとめると、次のようになる。

 

●2005年度:在籍者数(2,685,051人)頭打ち始まる

●2010年度:四大数(778大学)および学部数(2,479学部)頭打ち始まる

これを見ると、大学業界全体で顧客ストックの頭打ちが始まって10年以上、顧客ストックの受け皿である大学数や学部数の頭打ちが始まって10年強経過していることになる※。

その中で、どこかに眠っているであろうチャンスを活かして再拡大するのか、それとも縮小してしまうのか? 

高等教育の大衆化が深化する現状において、大学市場の規模自体が縮小するのはにわかに想像つかないが、各大学はより苛烈な生存競争に身を投じなければならない状況にいることは間違いない。

※吉川徹は進学率が頭打ちになっている50%強のラインを学歴分断線とよんでいる。そして、この線を境界にして人々の生活パターンが相当異なり、かつそれが定着し始めていることを指摘している。吉川徹『学歴分断社会』ちくま新書、2009年。

*****************************

中村 勝之

山口県下関市出身。大阪市立大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得退学。桃山学院大学経済学部教授。専門は理論経済学。著書に『大学院へのミクロ経済学講義』(2009年、現代数学社)『〈新装版〉大学院へのマクロ経済学講義』(2021年、現代数学社)『シリーズ「岡山学」13 データで見る岡山』(共著による部分執筆、2016年、吉備人出版)がある。


 

 

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私立大学はこんなにいらない!? 定員割れ増加で淘汰が当たり前の時代に

2021年11月25日 16時01分32秒 | 受験・学校・学問

私立大学はこんなにいらない!? 定員割れ増加で淘汰が当たり前の時代に

執筆者中山 まち子

昨年来のコロナ禍で、大学では入学式の中止やオンライン授業対応、さらに罹患受験生の受験機会の確保など、様々な対応に追われる1年になりました。

その一方で、センター試験に代わる新しい入学試験「大学入学共通テスト」が2021年度の大学入学者選抜からスタート。そして早くも新たな受験シーズンが到来しようとしています。

近年の大学入試では大都市圏への若者流入を抑えるため、文部科学省が私立大学の定員厳格化を実施。そのため「確実に合格する」という心理が働き安全志向が進みました。そうしたなか、継続的な若年層人口の減少で、近い将来、多くの私立大学で定員割れが深刻化すると危惧されています。

 
定員割れが進む私立大学、地方では特に厳しい状況

次に、定員割れの現状をみてみましょう。日本私立学校振興・共済事業団が今年9月に発表した「令和3(2021)年度 私立大学・短期大学等入学志願動向」によると、入学定員充足率が100%未満、いわゆる定員割れしている私立大学が集計対象の半数近い46.4%にあたる277校に上りました。

前年度の同調査では184校(31.0%)だったことを踏まえると、1年で急激に定員割れが進んだことが見て取れます。入学定員数ごとの充足率の増減では、3000人以上の大学では前年度をわずかに上回っていますが、3000人未満では軒並み前年度より充足率が悪化している状況です。

また、全国を21の地域に区分した結果では、前年度からの充足率の低下が大きかった地域は以下のようになっています。

  1. 近畿(京都府・大阪府・兵庫県を除く):105.70%→93.54%(△12.16)
  2. 中国(広島県を除く):97.25%→87.91%(△9.34)
  3. 北陸:106.93%→97.65%(△9.28)

このように、人口減と直面している地方の私立大学は厳しい状況に置かれていますが、大都市圏も安泰ではありません。東京都が101.16%→100.80%(△0.36)、大阪府で105.60%→103.74%(△1.86)と、たとえ定員割れが起きていなくても、京都府を除く全ての地域で前年よりも充足率が減少しているのです。

人口動態からみても、何もしなければ定員割れが加速するのは時間の問題。そのため各大学の入学者集めが熱を帯びると予想されます。とはいえ、安易に合格手形を出すと入学者の学力や大学のレベルを下げることにつながりかねません。下手をすると大学の評価を落としかねないので、長期的な改革プランを立てることが急務となっています。

人口減でも大学進学率が上昇していることもあり、人気のある大学に志願者が集中する二極化も進んでいます。受験生が学びたいと思うようなカリキュラムや学部学科の再編成をしていかなければ生き残れない厳しい時代になっていると言えるでしょう。

 

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大学・短大への進学17%に留まる 社会的養護が必要な子の進路、県全体と開き

2021年11月15日 16時09分27秒 | 受験・学校・学問

大学・短大への進学17%に留まる 社会的養護が必要な子の進路、県全体と開き
琉球新報2021年11月12日14時18分

 社会的養護が必要な子どもと、そうでない子どもは、高校卒業後の進路に違いが出ている。県青少年・子ども家庭課によると、2019年度に高校を卒業した社会的養護が必要な子どもの進路状況は、専修学校などへの進学が40.0%、就職が31.4%を占めた。大学進学は11.4%、短期大学が5.7%、高専4年への進学が2.9%だった。定職のない人は8.6%だった。

 一方、県の集計する学校基本統計では、19年度卒の県内高校生に占める大学等進学率は40.8%で、就職者の割合は16.6%だった。

 「大学等」には、大学や短期大学とその通信教育部、放送大学、高等学校.特別支援学校高等部の専攻科などが含まれる。専修学校や高専4年は含まれていない。

 大学等進学率に含まれない進学先を除くと、社会的養護の必要な子どもの大学.短大進学率は19年度卒で全体の17.1%にとどまる。単純比較はできないが、県全体の割合と開きがあることが分かる。

 県内の里親登録数は19年度末で275世帯。県の調べで、里親資格のない配偶者も同居人として含んだ里父・里母の平均年齢は今月10日時点で約55.2歳となっている。
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私大定員割れ277校、全体充足率は初めて100%下回る

2021年09月29日 12時50分07秒 | 受験・学校・学問

私大定員割れ277校、全体充足率は初めて100%下回る

(更新)
 
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今春入学者が定員割れした四年制の私立大は46.4%に当たる277校で、前年度より15.4ポイント(93校)増えたことが28日、日本私立学校振興・共済事業団の2021年度調査で分かった。前年度まで4年連続の減少だったが、大幅増に転じた。私立大の定員全体に占める入学者の割合を示す定員充足率は2.8ポイント減の99.8%で、1999年度の調査開始以来初めて100%を下回った。

全体の定員が約4千人増えた一方、18歳人口が約2万6千人減となり、総入学者数は約9600人減った。事業団は①18歳人口の減少幅が大きくなる節目の年だった②新型コロナウイルスの影響で留学生が減った――など複数の要因が重なって定員割れが相次いだとみている。

今後も進む18歳人口の減少は私立大の経営を直撃するため、再編が加速する可能性がある。

募集停止中などを除く全国597校の5月1日時点のデータを集計。規模別の充足率は、定員3千人以上が99.9%で前年度とあまり変わらなかったが、300人以上400人未満で9.2ポイント減の95.2%となるなど、小規模校で大きく下落する傾向が出た。

地域別では、東京や大阪とその周辺、愛知を合わせた三大都市圏の充足率が100.6%だった一方、その他の地域は6.2ポイント減の97.3%と大きく落ち込んだ。地方の少子化が進んでいることや、困窮世帯に対する文部科学省の修学支援制度が拡充されて都会で下宿生活をしやすくなったことなどが背景に考えられるという。

私立短大286校の集計では、定員割れは83.6%(9.7ポイント増)に上り、全体の充足率は82.6%だった。〔共同〕

 

駅弁大学と亡くなられた大宅壮一氏は、言われましたが。

ほかほか弁当並みの数に大学は、増えたと思います。

少子化による18歳人口減少と今回の新型コロナウイルスの感染拡大も影響していると思います。

 

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感染爆発の大阪 新型コロナ過去最多2586人感染 府内・小中学校の登校見合わせも

2021年08月21日 09時22分26秒 | 受験・学校・学問

感染爆発の大阪 新型コロナ過去最多2586人感染 府内・小中学校の登校見合わせも…
8/20(金) 18:58

テレビ大阪
大阪府は20日、新たに2586人が新型コロナウイルスに感染したと発表しました。1日の感染者数は過去最多を更新。年代別で最も多いのが20代の869人、次いで40代の397人、30代の390人です。また亡くなった人は1人、重症者の患者は新たに基礎疾患のない30代男性2人を含む計173人で、重症病床使用率は29.5%。また軽症・中等症の患者は計1840人で病床使用率は72.2%となっています。自宅療養者は12133人で、未就学児103人、就学児67人の感染も確認されています。

感染拡大を受け、学校での感染リスクを抑えるために、2学期の登校を遅らせる動きも出ています。大阪・寝屋川市では市と教育委員会が協議の結果、市立の小中学校を対象に8月23日~27日の登校を見合わせると発表しました。23日予定だった二学期の始業式と24日~28日までの授業はライブ配信で行うということです。部活動は29日まで原則休止、修学旅行や府県の移動を伴う教育活動も、9月12日までに出発するものは延期で、登校開始は30日ということです。寝屋川市の広瀬市長も自身にツイッターに登校見合わせについて投稿し、子どもたちへの感染拡大防止を呼びかけています。』
一体全体大阪は、どうなっているのでしょうか。

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10代以下の感染が17%超 そんな中「修学旅行だけは何としても」 全員PCR検査を受け 大阪市立中学

2021年08月20日 11時38分02秒 | 受験・学校・学問

10代以下の感染が17%超 そんな中「修学旅行だけは何としても」 全員PCR検査を受け 大阪市立中学
関西テレビ
地域
2021年8月18日 水曜 午後8:16
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新型コロナ感染の第5波では、学校・大学関連の部活動などでのクラスターの割合が増えており、18日発表の大阪府の資料によると「10代以下」の感染の割合は17.5%で、第4波の12%から相当増えています。

そんな中、夏休み期間中の大阪市立・菫中学校で、次々と登校する3年生の姿がありました。

3年生の7クラス・275人の生徒全員が受けるのはPCR検査です。

この中学校では、これまでの大阪府の方針に基づき、行先の長野県が受け入れを拒否していないため、事前に検査を受け、8月25日から修学旅行に行くことを決めました。

【担任の先生は】

「必ずPCRしないと修学旅行に行けません」

【3年生の生徒は】

「緊張で唾が出んかったりとかトラブルもあったけど、安心して修学旅行に行けることになったというのは何よりもいいことやと思います。今日から、検査の結果出るまでの間の日もしっかり自粛して生活していきたいと思います」

「このご時世、修学旅行あるかも分からず、ほかの学校がなくなったとかも聞いてたから、みんなで力を合わせて感染予防して、最後みんなで楽しく行けたらなって思います」

一方18日、大阪府は方針を変更し9月以降に出発予定の修学旅行については原則、延期することになりました。

感染拡大の収束が見えず、当面子供たちの学校生活に不自由を強いることになりそうです。

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東大卒の大工が、子育てしながら東大理三に再入学して医師をめざす理由

2021年04月16日 13時15分50秒 | 受験・学校・学問

東大卒の大工が、子育てしながら東大理三に再入学して医師をめざす理由

東大卒の大工が、子育てしながら東大理三に再入学して医師をめざす理由

東大理三の合格掲示板の前で家族と一緒に(写真/本人提供、一部加工しています)

(AERA dot.)

 東京大学工学部を卒業後、大工として建築会社に勤務していた栗林煕樹さんは、結婚後、一念発起して大工を辞め、東大理科三類を再受験し見事合格。現在は2度目の学生生活と子育てに励んでいます。

 前編では、1度目の東大入学から、大工として仕事をする中で学んだことについてインタビュー。後編となる今回は、結婚、子どもの誕生を経て、東大理三を再受験することを決意した理由や、現在の生活について語ってもらいました。さまざまな経験をしてきた栗林さんの話から、人生設計のヒントを探ります。(東大新聞オンラインから転載、一部抜粋・改変)



*  *  *
■大工の仕事の傍ら、医師になることを決意

──東大卒業後、建築会社で大工として働いていましたが、その後再受験を決断したきっかけは何ですか

 再受験を考え始めたのは、社会人2年目の終わりくらいの時期でした。当時は空き時間に読書や勉強をして雑多に知識を吸収していたという感じなのですが、本当に自分の時間がないなと思っていました。最初は漠然と勉強をしたいという思いで、その後「自分は何が勉強したいのだろう」と考え、昔から「人間とは何なのか」「自分とは何なのか」ということに意識があったことに気付き、それらについて自分が生きているうちに学術的な研究の結果などとして明らかになることは分かってから死にたいなと思うようになりました。一方で当時既に自分には家庭があったので、現実的に自分の興味を将来的に仕事につなげるためにはどうすれば良いか考えた結果、医学部に入り精神科の医師になろうと決めました。

──自分の学問的な興味の追求と生活のためにお金を稼ぐことを両立するための職として医者を選んだ理由は何ですか

 就活時の考えと近いかもしれません。やはり、自分が何をしていて、誰の役に立っているのかが直感的に分かる仕事が良いなと思っていました。それに加え、大工の経験から家を建てることは比較的裕福な人のための仕事だと感じており、それはそれで重要であるものの、自分は困っている人を助ける仕事に携わりたいなと思っていました。ただ、困っている人を救う仕事は低賃金のものが多い印象があり、家族を養うためにはある程度稼げる仕事が良かったので、折衷案として医者に決めました。

──医者になるまでには長い年月を要しますが、そこへの心配はなかったのですか

 確かに、医者として稼げるようになるにはサラリーマンなどよりも長い時間が必要です。しかし、若いうちなら何とかなるかなとも考えていますね。今から医者になるとしたら30半ばくらいなのですが、そのくらいの年齢なら自分も元気で頑張れるでしょうし、実際今学業の傍ら1回目の学生時代の同級生が経営するベンチャー企業でインターンをして初任給くらいもらっていますので、人を頼りながらも生活に必要な程度の額は稼げると思っています。そのため、自分にとっては40、50歳になった時にちゃんと社会の役に立てるだけの力が付いていることの方が重要で、一人前の医者になるまでにかかる時間は気にしていないですね。

──結婚後の退職・子どもの誕生後の再受験に当たり、当時の家族の反応や大変だったことはありますか

 意外と反応はありませんでした。というのも、父親が再受験して医者になっていたため、1回くらいのやり直しなら大丈夫かなと思っていました。自分の両親は快く認めてくれましたが、やはり妻とその両親の反応の方が心配でしたね。ただ意外にも「ああ、そうなの」くらいの反応で「本当にいいの」とこちらが聞き直したくなるような感じでした(笑)。

 僕が仕事を辞めたのが7月末で、受験勉強を始めたのが8月、子どもが生まれたのが9月でした。子育てや家事に関しては妻や妻の両親が協力的だったので任せていました。そのため、半年の受験生活の間は朝起きて夜寝る直前まで図書館で勉強に専念でき、本当にありがたかったですね。

 2度目の受験は、1度目の受験で勉強した内容と同じものをやるのでスムーズでした。他にも、直前期に過去問を解くときも「このくらいの解答が書ければこのくらいの点数が取れる」「このくらいの点数があれば合格できる」というのが感覚で何となく分かっていたので、安心感がありましたね。受験勉強自体は元々好きでしたし、勉強法も1度目の時から大きく変えず、自分が集中できるやり方で取り組んでいました。

──合格時はどのような感想を抱きましたか

 もちろんうれしかったですが、合格への期待よりも落ちた時に妻や家族からどう思われるかへの不安の方が大きかったので、ほっとしました。
 加えて、半年間子どもに向き合うことがほとんどできなかったので、2次試験が終わった時からではありましたが親としてようやく世話ができるようになり、うれしかったですね。ちなみに、2次試験の終わった日には子どもを初めてお風呂に入れました(笑)。それと同時に、知り合いに声を掛けるなどして仕事も探し始めました。

■2度目の学生生活は、学業と家庭に注力

──現在のどのような学生生活を送っていますか

 授業は普通に受けていますが、サークルや部活までやる余裕はないですね。そのため、勉強とインターンが生活の中心です。インターンでは週4日くらいのペースで働いているのですが、時間に融通が利くので、空きコマの時間帯や子どもが寝た後に作業することもあれば、休日なら朝6時から10〜12時間働くこともあります。

 勉強面では、今はコロナ禍で外出が制限される上授業が忙しいため行けていないのですが、国立精神・神経医療研究センターで研究見習生として研究に携わっています。研究分野は計算論的精神医学というものです。自分の根本にある学問的な問いが「自分とは何か」ということだったので、コンピューターでシミュレーションやモデルを作り脳の働きを説明することで、脳における思考の仕組みについて、言葉だけでなく数式的に理解することを目指しています。研究に関わる中で、自分には医学はもちろん数学や物理、プログラミングなど全ての基礎知識が足りないことに気付きました。その意味では、東大の前期教養課程である程度勉強することは大事だなと思います。数学・物理・生物をつなげることに興味があったので、生命現象を物理的に説明することを趣旨とした授業や、統計力学など数学・物理の基礎的な内容を扱う授業で勉強していました。人文系の学問についても「許し」に関するさまざまな哲学者の思想を学ぶ授業を受講。「人間の思考とは何なのか」という興味の下、数学や物理から人間の高次な感情の動きまでを自分で説明できるようになれば最高ですね。

 人間関係については、クラスのコンパに参加したり自分からコミュニティーに入ったりすることはないですね。ただ、自分に興味を持って話し掛けてくれた学生や学問的な興味が近い学生とは個人的に話したりご飯を食べに行ったりしています。彼らからは、恋愛相談や人生相談をされることが結構ありますね(笑)。学生にとっては、20代後半という、おじさんではないけれど先輩にしては年が離れている世代に会う機会が少なく、相談するにはちょうど良いのかもしれません。もし僕が18歳の時に同じ科類に10歳年上の人がいたとしても、その時自分は話し掛けられなかっただろうなと思うので、すごいなと思います。

──家庭とはどのように向き合っていますか

 学生生活と家庭での生活を両立できているかと聞かれると、とてもできているとは言えないです。日中は授業やインターンがあるのでどうしても家事や子どもの世話はできないですが、最低限授業が終わりやることがなければ早く帰り、子どもが寝た後でもできることはその時間に回しているという感じです。そのため、本当に妻のサポートには感謝していますし、自分にできることとして妻や子どもと過ごす時間を最大限作るように頑張っていますね。具体的には、家に帰るとまず子どもにご飯を食べさせ、少し遊んだ後にお風呂に入れ、着替え、歯磨きをして寝かせていますし、妻とは子どもが寝た後に会話をしています。家事については、今のところ基本的には先に気が付いた方がやり、どちらかが忙しかったり体調が悪かったりするときはもう一方がこなすという感じで特にルールはないですが、妻も僕も不満なくやれていると思います。お互い必死ですが、自分が相手を思いやっている姿勢を示すことが大事だと思いますね。

 子どもの成長は本当に早く、見ていてすごくうれしいですね。初めて歩いたり言葉をしゃべったりする度に喜んでいます(笑)。昔は子どもの成長に喜ぶ大人を見ても、そんな大したことかなと思っていたのですが、自分が親になったことで人として温かくなったような気がしますね。一方、子育てで大変だったことも。2度目の受験生時代のことなのですが、当時子どもは生後3〜5カ月で、毎晩大体3時間おきくらいにお腹が空いて起きてしまいました。僕は夜中の2〜3時まで起きて勉強や仕事をしていたので、子どもが1、2回起きた時にはミルクを作っていました。

──今後の進路の展望はありますか

 まず、自分の興味の追求・生活費を稼ぐための職・社会貢献の現実的な折衷案として医者を目指し続けると思います。ただ、その目標は絶対的なものではなく、先ほども言ったように人間の脳の仕組みや人間とは何なのかということに興味があるので、それについて数学的・物理的側面から説明したいなというのが今の思いです。自分の知識や勉強してきたことを生かすこと・お金をそれなりに稼ぐこと・困っている人を助けられる仕事が医者以外にあるなら、そちらへ進んでも良いのかなと考えています。

(文/東京大学新聞社・杉田英輝)

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「無償化なければ進学あきらめた」低所得世帯の進学率、2年で5割に上昇

2021年04月13日 14時01分59秒 | 受験・学校・学問

「無償化なければ進学あきらめた」低所得世帯の進学率、2年で5割に上昇
2021/04/13 10:51
 文部科学省は13日、大学などの高等教育無償化の対象となる所得の低い世帯の高等教育機関への進学率が、制度開始前より約10ポイント上昇し、およそ5割になったことを明らかにした。


文部科学省
 文科省によると、住民税非課税世帯(年収目安約270万円未満)の進学率は2018年度の40・4%から高等教育無償化が始まった20年度には、47・6~51・2%(推計値)まで上昇した。


 無償化で低所得世帯の負担が大幅に減り、進学率を押し上げたとみられる。高等教育機関への進学率は所得が低いほど低く、18年度の全世帯の進学率は81・5%で住民税非課税世帯のほぼ倍だった。


 20年度は高等教育機関の学生約350万人のうち1割弱にあたる約27万人が無償化の対象となった。


 文科省が20年7月に行った無償化対象者約6万6000人へのアンケート調査では、「無償化がなければ進学をあきらめていた」と答えた学生が34・2%を占めていた。


 高等教育無償化は、住民税非課税か年収目安約380万円未満の世帯が対象で、授業料を最大年間約70万円減免するほか、返済不要の給付型奨学金が最大約91万円支給される。』


「無償化なければ進学あきらめた」低所得世帯の進学率、2年で5割に上昇』は、教育行政学でその時の経済状況に大きな影響を受けると言われている証明です。
新型コロナウイルスの感染が収束し、日本経済が回復するまでは厳しい状況が続くと思います。

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とめ、はねで1年生に0点 先生、厳しすぎませんか?

2021年04月04日 11時23分33秒 | 受験・学校・学問

 

 
 

とめ、はねで1年生に0点 先生、厳しすぎませんか?

とめ、はねで1年生に0点 先生、厳しすぎませんか?

とめ、はねで1年生に0点 先生、厳しすぎませんか?

(西日本新聞)

小学校の学習指導要領にある「学年別漢字配当表」。漢字の「とめ、はね、はらい」まで表現されている

 習字のような「とめ、はね、はらい」ができていないと、漢字ドリルは全てやり直し。テストは0点―。小学1年の担任のこうした指導に対し、保護者から「厳しすぎる」という悩みが届いた。わが子の就学を前に、どこまで丁寧に字を書かせるべきか思案している保護者は多いはず。西日本新聞「あなたの特命取材班」がウェブサイトで意見を募ったところ、保護者や教育現場からさまざまな声が届いた。字体の指導は、どこまで厳格であるべきか。

┃「習っていないのと、知って省くのは違う」

 「同じタイプの厳しい先生がいたが、数年後は皆さん感謝していた」「高校生や大学生の指導をしているが、字が雑で読めないことがある」「大学教員として国語の入試の採点をした。とめがはねになっている場合や、雑で判別が難しい字も不正解」…。

 冒頭の教師の指導に賛同する立場からは、こうした投稿が寄せられた。中には「とめ、はね、はらい」が不完全な字に丸を付けた担任に「小学生は基本が重要。習っていないのと、知って省くのでは意味が違う」などと訴え、指導を変えさせたという保護者も。

 北九州市の小学校に30年勤務した教員は、採点の裁量は各担任にあるため、クラス間でも差は生まれるとした上で「教えた通り書けていない場合は減点し、0点にはしなかった」と自らの体験を紹介した。

┃どこまで減点…文科省「各校の判断」

 一方で、福岡県の小学校教員は「とめ、はね、はらい」を基準に減点することは「誤り」だと投稿した。根拠とするのは学習指導要領解説の国語編だ。字体は骨組みであるため、実際に書かれた場合は無数の形状があり、「正しい字体であることを前提とした上で、柔軟に評価することが望ましい」と書かれている。

 だが、文部科学省教育課程課の見解は異なる。「国語ではなく、社会や理科など他教科で書いた字は『とめ、はね、はらい』ができていないからといって、減点はしないという柔軟な評価を意味する」と説明する。

 学習指導要領には「漢字の指導においては、学年別漢字配当表に示す漢字の字体を標準とする」とあり、漢字テストや書写では配当表通りの「とめ、はね、はらい」が求められるという。ただ、実際にどこまで減点するかどうかは「各校の判断」と付け加えた。

┃「書くことが嫌い」になることを懸念

 一方、小中学校に長年勤務した平嶋一臣・純真学園大客員教授(国語表現法)は、厳しい指導で「書くことが嫌い」になることを懸念する。鉛筆をうまく扱うには「指の筋肉が動作を覚えるような地道な練習が必要」だからだ。

 冒頭の保護者も、小1の子どものやる気が損なわれていることを気にしていた。幼稚園や小中学校で書の出前授業をしている平嶋さんは「とめ、はね、はらい」がきっちり書けるのに越したことはないとした上で、「もう少し子どもの発達を緩やかに見守ってはどうか」と強調した。

 (編集委員・四宮淳平)

児童の目線に立って、一歩待つ心で余裕を持って指導すれば良いと思います。
日本語の正しい漢字を書く為にも、漢字を書くのが嫌にならないようにすべきです。
書道を習えば、正確に漢字が、書けるようになります。
東京学芸大学教育学部の書道科担当教授は、朱筆で一度も添削されなかったそうです。
書いた学生の文字の方が、良さが無くなり、下手に見えるからだそうです。
書家の田上恵一氏から、聞きました。
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卒業見届け天国へ 福島東高教諭日高さん 教え子との時間大切に

2021年03月18日 16時20分33秒 | 受験・学校・学問
 

卒業見届け天国へ 福島東高教諭日高さん 教え子との時間大切に

卒業見届け天国へ 福島東高教諭日高さん 教え子との時間大切に

福島民報

(福島民報)

 福島市の福島東高教諭の日高郁子(ひだか・いくこ)さんは、担任する最後の卒業生を送り出した翌日の今月二日、六十年の生涯を閉じた。定年退職までの最後の一年間、がんに侵されていることを周囲に知られぬよう気丈に振る舞い、教壇に立ち続けた。絶対に卒業証書を手渡す−。体調が優れない中でも式に臨み、担任する三年七組の四十人と喜びを分かち合った。「先生、ありがとう」。教え子や同僚は突然の逝去を惜しみ、感謝の念を抱く。

 日高さんは二十年ほど前、初めてがんを患った。その後も何度か転移が見つかったが治療がうまくいき、通常の生活を送ってきた。ところが、昨年夏に再び発症して体調不良となり、抗がん剤治療を始めた。九月上旬には二週間ほど入院し、学校に行けなかった。同僚や教え子には「高熱で休む」とだけ伝えた。

 復帰後はそれまでと変わらず、明るく、時には厳しく生徒と接した。抗がん剤の影響で脱毛したためウィッグを着け、髪型が変わった。「おしゃれな先生」として知られており、生徒は特に違和感を覚えなかったという。

 卒業式当日は朝から体調が悪く、学校の壁を伝って歩くほどだった。三学年副担任の渋川恭子教諭(52)はこの日、日高さんに付き添い、様子を克明に記録した。三階の教室まで行くこともできず、ホームルームは副担任に任せた。車いすで体育館に前乗りし、式に臨む生徒を出迎えた。教え子と接すると、気力がみなぎった。立ち上がり、しっかりとした足取りで生徒を先導した。椅子に座り、クラス全員の名前を読み上げた。

 渋川教諭は、日高さんからがんであることを事前に知らされていたごく一部の同僚だった。日高さんはこの日、体調が特に悪いことを自覚していたが「卒業式に出席して呼名する」と決意していたという。

 式後は保健室で体を休めた。教室に戻るのは難しいため、最後のホームルームは保健室で開いた。そこで初めて、がんを患っていると告げた。皆が言葉を失い、涙する生徒もいた。生徒が下校後、体調が悪化して吐血し、救急車で福島市の病院に運ばれた。翌日午後、安らかに眠りに就いた。

 桑折町の佐藤光雅さん(18)は日高さんの死後、南相馬市原町区の自宅を訪れ、大学合格を報告した。三年間、日高さんが担任で、数学の授業を受けた。最後のホームルームで「将来、お酒を飲もうね」と声を掛けてもらった。日高さんと出会い、教師になる夢を明確にした。高校の数学教師を目指し四月から千葉県の大学に進む。「生徒を一番に考える日高先生のようになりたい」と遺影に語り掛けた。

 三学年の教員が中心となり、保護者や生徒が撮影した卒業式の動画や写真、メッセージなどを募り、アルバム作りを進めている。今月中に日高さんの自宅に届ける予定だ。斉藤章子教諭(52)は「いつも相談に乗ってもらい心強かった。少しでも恩返しになれば」と話す。夫で元相馬高校長の裕志さん(65)は「無事に卒業生を送り出し安心したのだろう。たくさんの人に惜しんでもらい、妻も喜んでいるはず」と感謝する。』

 

教育者としての最期の責任を果たされました。

お彼岸に御冥福をお祈り申し上げます。

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元日馬富士が優秀論文賞を受賞…城西国際大大学院を修了「相撲道に感謝」

2021年03月13日 16時57分21秒 | 受験・学校・学問

元日馬富士が優秀論文賞を受賞…城西国際大大学院を修了「相撲道に感謝」

元日馬富士が優秀論文賞を受賞…城西国際大大学院を修了「相撲道に感謝」

自身が経営する学校と城西国際大の提携に向けサインする元日馬富士のビャンバドルジ氏

(スポーツ報知)

 大相撲の元横綱・日馬富士のダワーニャム・ビャンバドルジ氏(36)が13日、城西国際大大学院修了に際し、同大の千葉東金キャンパスで行われた卒業式に出席した。「新モンゴル日馬富士学園創設プロジェクト−全身全霊で行う小中高一貫教育−」が優秀論文賞を受賞した。

 角帽にガウンという姿で式典に姿を見せたビャンバドルジ氏は「映画とかで見たことはあるけど、まさか自分が着てね。ずっと着てみたかった。帽子とか投げると思って準備していたんだけど」と冗談めかしながらも、「横綱として新しい道を作れたことがうれしい」と喜びをかみしめた。

 母国のモンゴルでは2018年9月から小中高一貫の私立学校「新モンゴル日馬富士学園」を開校し、理事長に就任。修士論文執筆にあたり、学校の生徒や保護者、教職員ら約2000人にアンケートを実施した。礼儀を重んじるなど、相撲で学んだことを取り入れた教育に対する感想などを聞いたという。日本語で約7万字に及ぶ論文。担当の孫根志華(そね・しか)教授は「誰が見ても立派な実証研究として評価されています」と、たたえた。

 論文が評価されたビャンバドルジ氏は「相撲道に感謝です」と頭を下げた。「相撲道で学んだ情操教育、道徳教育を生かした教育が(モンゴルで)受け入れられ評価されていることが、相撲道の教育が正しいということなんじゃないかな。日本式の教育が海外へも輸出されて、どんどん活躍してほしい」と熱っぽく語った。孫根教授らからは博士課程でも学んでは、という話もあるそうだが「まだ私も36歳。教育者として経験、知識を固めたあとに。私の学校から卒業した子どもたちが、どこの大学に行って、礼儀礼節を生かした情操教育がどこまで成長することができるか。まだ10年、20年後の話だが、そんな感じで博士号の論文を書ければと思っている」と話した。

 また城西国際大と日馬富士学園の交流に向け、両校が提携を結ぶことも決まった。詳細はこれからだが、日馬富士学園の卒業生の受け入れや、城西国際大の教員らの交流も計画されているという。期間は5年間の予定。ビャンバドルジ氏は「留学生とか日本の先生たちがオンラインで日本語を教えてもらったり、モンゴルからのうちの学生が進学してもらったりね」とのプランを語っていた。』

今の時代社会人になってからも、勉強しないと時代に乗り遅れます。

モンゴルと日本との教育の架け橋になって、ご活躍下さい。

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「万引き理由に自主退学させられた」元生徒側と県が和解、校長は誤り認め直接謝罪

2020年12月22日 14時46分35秒 | 受験・学校・学問
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「万引き理由に自主退学させられた」元生徒側と県が和解、校長は誤り認め直接謝罪
2020/12/22 10:49
 万引きを理由に県立高校を自主退学させられたのは不当として、元生徒の男性(20)と両親が鳥取県に160万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、21日、鳥取地裁米子支部で和解が成立した。当時の校長が判断の誤りを認めて直接謝罪したほか、県が和解金80万円を支払う。
 訴状などによると、男性は2016年10月に靴を万引きして警察に補導され、ほかにも万引きの経験があると学校に報告。母親は当時の校長から、自主退学しないと退学処分にすると言われ、退学願を出したという。原告側は、万引きは重大犯罪ではないのに、退学処分相当だと誤って信じさせられたと主張していた。
 原告側の弁護士によると、当時の校長はこの日、男性と両親の前で「まずは、教育的指導を行うべきところを判断を誤った。当時の学校長として深く反省し、謝罪する」との文書を読み上げた。男性と両親は「直接謝罪を受けることができ、前に進めるきっかけにしたい」と話しているという。
 原告側の弁護士は、今回のような「不本意な自主退学」は多いとの認識を示している。山本仁志・県教育長は「今後、退学処分の判断を慎重に行うよう努める」との談話を出した。
  • 損害賠償
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やり過ぎ指導?女子生徒の髪に黒染めスプレー 「体罰だ」「厳しい指導必要な場合も」

2020年12月21日 11時45分05秒 | 受験・学校・学問
 

やり過ぎ指導?女子生徒の髪に黒染めスプレー 「体罰だ」「厳しい指導必要な場合も」

やり過ぎ指導?女子生徒の髪に黒染めスプレー 「体罰だ」「厳しい指導必要な場合も」

やり過ぎ指導?女子生徒の髪に黒染めスプレー 「体罰だ」「厳しい指導必要な場合も」

(47リポーターズ)

 千葉県内の県立高校で昨年、女子生徒の毛先が赤く傷んでいるとして教諭が黒染めスプレーを吹きかけた指導を巡り、「同意しておらず、体罰だ」と訴える生徒側に対し、県教育委員会は「同意は得ていた。時に厳しい指導が必要な場合もある」としている。「教師と生徒が信頼関係を築けない状況での指導は無力だ」(専門家)との指摘も上がっており、生徒指導のあるべき姿が問われている。髪色が生まれつき茶色がかっている記者(29)も学生時代に経験した頭髪指導を振り返りながら考えた。(共同通信=永井なずな)

 ▽門出の日に

 昨年3月7日の卒業式当日、当時高校3年だった女子生徒は、毛先が赤くなっているとして書道室に呼び出された。複数の教諭が生徒を囲み、生徒の頭からポリ袋をかぶせ、事前に用意していた黒染めスプレーをかけた。生徒と母親は後日、精神的な苦痛を受けたとして県弁護士会に人権救済を申し立てた。

 生徒は弁護士会の聞き取りに「ずっと拒否していたが、卒業式に出られなくなるのが怖かったので従うしかなかった。同意はしていない」「高1と高2の時に白髪染めを使用していたが、式の日は地毛だった」と説明した。

 弁護士会は9月、黒染めスプレーを吹きかける行為は「精神的に大きな屈辱を与え体罰に準じる」とし、県教委や学校に警告書を提出。生徒の表現の自由や自己決定権の侵害に当たると指摘し、原則的に生徒指導に用いられるべきではないとの見解を示した。

 ▽食い違い

 県教委によると、同校は校則で「着色や脱色、カールおよび流行を追う髪形は禁止」と規定。違反した場合は「指導を加え、一定期間に直さない場合は直してから登校させる」としている。同校は毎月の頭髪検査で、髪色見本と生徒の髪色を照合・記録していた。

 式の数日前の検査で生徒の髪が赤かったため、縛るか切る、染めるよう指導したが改善はされなかったという。学校側は「赤くなっているのは、以前染めた時の名残」と判断し、地毛だとする生徒の主張は認めなかった。ポリ袋を頭にかぶせたのは、制服が汚れないための配慮だったという。県教委は「同意が無ければ無理な指導に当たるため、教育として成り立たない」と説明。本人の同意はあったとの見解は維持しつつも、「生徒が傷ついたという事実は重く受け止める」とし、今後の対応を検討する方針だ。

 ▽記憶

 記者が通学していた埼玉県内の公立中学や高校も、髪の着色やパーマなどは禁止だった。地毛証明書を出した記憶はないが、進級・進学して担任や生徒指導の先生が替わるたびに説明する必要があり、着色していない旨を親に一筆書いてもらい提出したこともあった。

 事情を知らない違う学年の先生に呼び止められ「標準より明るい」と指導された時は、「あなたの髪の色は変だ」と言われたようで嫌な気持ちになった記憶がある。

 一方で、高校受験を控えた時期に「外見でマイナス評価されるリスクを減らしたい」と自主的に黒く染めようか悩んでいたところを「そのままが良いよ。大丈夫」と勇気づけてくれた先生もいた。

 当時を振り返ると、10代の多感な自分にとっては、周囲の教師のささいな言動が、学校への信頼や自己肯定感を大きく左右するものだったと感じる。

 ▽対話で

 学校教育の教師と生徒の関係について研究している鳴門教育大の阿形恒秀(あがた・つねひで)教授は「『決まりだから守れ』という考え方は、単なる管理教育だ」と指摘する。本人の同意の有無に関しては「生徒が意義を申し立てられない雰囲気なら、生徒の表面的な言動だけで『合意があった』と判断するのは問題があるかもしれない」とも語る。その上で「流行の髪形に気を取られるのではなく勉学や部活動に力を発揮してほしいという願いから、頭髪に一定の制約を設けることは教育上認められる範囲の指導だ」と校則の役割には理解を示す。

 阿形さんは大阪府立高校の教諭を約30年経験し、校則に違反して染色やパーマをかけて指導に従わない生徒にも接した。「(生徒の振る舞いは)頭髪指導に対してだけでなく、教師や世間への反発のように感じた。向き合う上で教師側に必要なのは、時に生徒を叱り、励まし、対話を重ねることだ」と力を込める。

 「外見でなく、内面を磨くことの大切さを教師が丁寧に根気強く説明し、生徒と合意を形成するプロセスにこそ教育的な意味がある」との考えから、校則を巡る議論の活性化や、地毛を黒く染めさせるといった不適切な校則の見直しに向けた国や各自治体の動きを肯定的に受け止めている。

 記者が以前、勤務していた佐賀県で今年3月、生徒指導に関する新たな動きがあった。県は、県立中学と高校に向け、校則が子どもの人権を侵していないかや、必要最小限の規定になっているか確認するよう通知した。校則を見直す際には、ホームルームや生徒会といった意見交換の場を設け、「生徒と話し合いながら策定する」よう求めている。県教委の担当者は「子ども達が学校作りに主体的に関わり、その規則がなぜ必要か自分の頭で考える力を養うことが大切だ」と語った。』

 

生まれつき黒髪に近くなく茶色や赤茶けた髪の毛の女子生徒もいます。

校則で、無理矢理強制するのは、如何かと思います。

女子生徒の基本的人権も尊重すべきです。

奇麗な若さを象徴する頭皮も青みがかった黒髪を茶髪に染める必要は有りません。

染毛剤は、化学成分が頭皮を荒らし皮膚炎を起こす事も有るので止めた方が良いと思います。

 

 

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アピタル 東京女子医大、学費1200万円値上げ コロナで経営難

2020年11月30日 06時18分58秒 | 受験・学校・学問

 

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東京女子医大、学費1200万円値上げ コロナで経営難
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細見るい

2020年9月27日 21時00分
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 私立大学の医学部で学費を値上げする動きが出ている。東京女子医科大は2021年度の入学生について6年間で計1200万円上げる。コロナ禍による大学病院の経営悪化の影響などが指摘されている。

 東京女子医大がホームページで公開している入学案内によると、6年間の学費は4621万4千円。広報担当者によると年間200万円の施設設備費の項目が新たに加わったという。値上げの詳しい理由はホームページでは示しておらず、取材にも回答していない。

 河合塾が私立大医学部の20年度の募集要項などをまとめたところ、主な選抜方式で総額が最も高いのは川崎医科大(岡山県)の4736万5千円。今回の値上げで東京女子医大は21年度から、金沢医科大(石川県)を上回り2番目に高いところになりそうだ。

 少子化による18歳人口減少期でも私立大学医学部志願者は、医師の子弟が多く学生数を確保出来ると思われて来ました。
新型コロナウイルス感染拡大で、附属病院に訪れる外来患者や入院患者が、劇的に減少したと言うことです。
全国の私立大学医学部は、同じ状況では有りませんか。

 
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UCLA津川友介助教授が考える「御用学者」のリスク 

2020年10月22日 11時14分34秒 | 受験・学校・学問

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UCLA津川友介助教授が考える「御用学者」のリスク 

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聞き手・服部尚

 

新型コロナウイルスの感染拡大や、日本学術会議の会員候補6人が任命されなかった問題は、「専門家」のあるべき姿について疑問を投げかけた。「原因と結果の経済学」などの共著があるカリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)助教授の津川友介さんが、政治とアカデミアのあるべき姿について語った。

拡大する写真・図版首相官邸前で、日本学術会議が推薦した会員候補が任命されなかった問題について抗議する人たち=2020年10月6日夜、東京・永田町、北村玲奈撮影

 多くの国では大統領や首相などの国のトップが出てきて新型コロナ対応に関する方針を説明していました。しかし日本では、4月に西村康稔氏が新型コロナ対策担当大臣に就任するまでは、政府のだれが対策の意思決定者か分かりにくかったという声があります。

 一方で、専門家が独自に発信する例も目立ちました。SNSを使って専門家会議のグループがリスク・コミュニケーションの専門家を交えて情報発信しましたが、それに対立する意見を発信する有識者たちも出現しました。

 政府と専門家会議の見解が一致しなかった場合もあり、何を信じていいのか分からなくなってしまった国民もいたと思われます。政策立案者である政治家や官僚、そして意思決定に必要な判断材料を提供する学者が十分にコミュニケーションを取り、その結果を国の統一したメッセージとして国民に提供する必要性が明らかになりました。

 もちろん効果的なコミュニケーションは重要です。でも根本的な問題は、その上流にある意思決定プロセスであったと思われます。

 意思決定のプロセスは2段階で進めるべきものです。判断材料である科学的な根拠(エビデンス)が1段階目であり、それをもとに政治的な判断を下すステップが2段階目です。

学者がかかわると「しがらみ」生じる

 学者は基本的にはエビデンス部分の1段階目にのみかかわるべきだと考えます。2段階目に学者がかかわると、色々な「しがらみ」ができてしまい、中立公正な立場でエビデンスを提供することが難しくなる場合があるからです。

 この境界があいまいになると、政策と整合性を取るために、忖度(そんたく)してエビデンスがねじ曲げられてしまう危険性すらあります。』

 

学問の研究は、自然科学、人文科学、社会科学分野を問わず『真理の探求』が究極の目的で、研究者として目指している命題です。

『学問の独立』と『学問の自由』の大切さを忘れた御用学者は、研究者として役割を既に終えています。

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