本澤二郎の「日本の風景」(5282)
本澤二郎の「日本の風景」(5282)
<司法・法務検察の腐敗と民事・法廷闘争の課題>
法務検察の壮大なる不正腐敗に重大な関心を寄せている市民団体や一部専門家の厳しい指摘に凡人ジャーナリストも、無関心ではいられなくなった。「検察の闇」を証拠で示すことは容易ではないが、捜査の結果から類推することはいとも簡単である。
本日告示された自民党の岸田後継選挙が、安倍・森直系や傍系の9人で繰り広げられる金権レースを考慮すると、疑惑の清和会議員らを不起訴にした当時の東京高検検事長が、その後に検事総長に就任した重大疑惑を軽視し、放置することは許されない。言論人の真価が問われる案件であろう。朝日・毎日が読売やNHKレベルに劣化してるものか、を今問うている。お分かりだろうか。新聞テレビは、相変わらず戦前の国策会社のような電通に操られている。双方に反省する気配はない。
日本の言論の自由が厳しく問われているのだが、市民活動家の目をごまかすことはできない。
他方で、房総半島では40万人、50万人の小櫃川水系の命の水が、東洋一の巨大な新井総研という産廃場に、フクシマの核汚染ごみや有毒残土など危険な物質が大量投棄され、その上を砂でかぶせ、シートで二重に蓋されて目視を封じている。
常識的に見て小櫃川は汚染され、水道水としては不適である。命と健康を守る市民団体が、新井総研を法廷に引きずり出して「撤去」「原状回復」を求めて、懸命の闘いを繰り広げて5年経過した。敬意を表したいのだが。
数日前は千葉地裁前で100人ほどの住民が怒りのプラカードを持ちより、高く掲げて気勢を上げ、悪徳産廃業者に猛省を促した。この裁判で袖ヶ浦市の林・高谷地区の水銀と核汚染ごみ問題を告発している対策委員会(御園豊委員長)の役員が、初めて傍聴した。そこで判明したことは、新井総研の水質・土質の検査が、千葉県の天下り機関で、君津市や袖ヶ浦市の環境部長が理事になっている千葉県環境財団であることが、同役員の質問で弁護団が明らかにした。
<小櫃川・命の水問題訴訟で浮き彫りになった千葉県環境財団=住民を抑え込む偽りの検査機関>
昨日も法廷を傍聴した林地区の住民が自宅に来訪し、小櫃川の水を守る会の弁護団と新井総研弁護団とのやり取りについて報告を受けた。悪辣な新井総研が住民に対して、現場を見せない、水質検査も土質検査もさせないという、驚くべき事実が明らかとなった。もうこれだけで産廃業者の不正行為は明らかであるが、弁護団の追及が甘すぎることも分かった。
さらに「問題はない」と開き直る新井総研は、検査を千葉県の御用機関で行い、その結果、問題はないとシラを切っているということも判明した。千葉県環境財団の偽りの検査データで散々泣かされてきた林・高谷地区では、財団を調べ上げて、その結果、第三者の公正な業者に検査をしてもらって、日高金属の汚排水から水俣病で有名になった水銀を見つけた。
問題は、この指摘に弁護団が気づいていなかったというミスが大きい。むろん、市民団体の側も理解していなかった。千葉県の財団が嘘の調査結果を公表して「問題なし」といって、無知な住民を抑え込む「千葉方式」を、市民団体も弁護団も理解していなかったことが明らかとなった。
<政府はうそつき・自治体も大ウソつき=有能な弁護団編成が勝利の秘訣>
日本の三権分立はもともと壊れていることも、最近は理解するようになった。最高裁もアメリカのそれと同じくらいで、全てが体制・政府寄りだ。したがって独裁国と同じで、住民は最後の手段として実力行使するしかなくなる。こうなると、もはや民主主義が存在しない。
法廷闘争も、決め手は有能な弁護士の選任にある。自由法曹団はその点で、信念のある有能な弁護士団といえるが、全てがそうだとは言い切れないようだ。
弁護士もカネで動く。最悪の場合は、相手方と取引する事例もあるという。はっきりしてることは、水質・土質・大気など健康にかかわる検査を、行政天下り機関に任せると、100%の確率で住民はごまかされる。そのことを袖ヶ浦の市民は、3年の経験で学んだ。これは法外な成果である。元水田三喜男秘書の御園豊の誇れる実績か。少なくとも千葉県環境財団の検査は、科学的公正な検査を期待できない。
<陣場台周辺での残土持ち込みに緊張する幽谷の人々>
陣場台周辺の13戸のうち10戸の家庭からガン患者が出ている。数年前からだ。3人が肺がんで亡くなった。毎年大腸のポリープの手術で苦しんでいる元区長のYさんも、最近は集会に姿を見せて、覚悟の闘争に身を委ねている。幽谷は大闘争の拠点である。
その周辺で、昨日は残土を積んだダンプカーが動いた。驚いた住民がK工業の存在を確認、袖ケ浦市に区長が駆け込んだ。「ワコーの攻勢か」と地元は新たな緊張に包まれている。「ユンボで穴を掘り、そこに残後を埋めて、かさ上げを始めた」と住民は警戒している。さすがは対応が素早い。
敗戦直前には東京帝大経済学部の俊英100人を、敗戦後の経済復興のために、幽谷の水源地に隠遁させた若槻礼次郎を見習って、人々は原子力ムラ・行政に覚悟の闘いを開始した。全国民が注目している。
<ドイツ村・柊の里・林高谷地区の合同対策会議結成も>
幽谷のすぐ近くには、障害者施設の柊の里が大型のダンプカーの大騒音と日高金属の汚排水と戦っている。反対側は東京ドイツ村。三者の合同対策会議の結成も、日程に上ろうとしている。
水銀と核汚染ごみの排除による原状回復が、小櫃川の命の水の行方と房総半島の将来を決定するかもしれない。
2024年9月12日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)
https://youtu.be/he7hbbPLDLc?si=DesirqI6FV07kYjI
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