大阪万博メイン会場「夢洲2区」の安全性への懸念 万博協会のメタンガス発生に関する説明には大きな矛盾、次なる爆発事故のリスクも
NEWSポストセブン 2024年6月10日 7時15分
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大阪万博の会場予定地で起きた爆発事故──吉村洋文・府知事らは“もう起きない”と強調するが、取材でさらなるリスクが判明した。
事故が起きたのは3月28日、万博の屋外広場併設のトイレの建設現場だ。広場や交通ターミナルとなる埋め立て地「夢洲1区」は廃棄物が埋められ、溶接作業の火花が地中から発生したメタンガスに引火したと発表された。
懸念されるのは万博のメイン会場で、パビリオンが建設される「夢洲2区」の安全性だ。
吉村知事は事故後、「パビリオンが建っているところは、下に埋まっているのは土砂ですので、そういったガスが出ない」(4月13日の読売テレビ『ウェークアップ』)と強調。万博協会も夢洲1区以外でメタンガスは発生していないと発表した。
ところが、事実は違っていた。夢洲の埋め立て地を管理してきた大阪広域環境施設組合の関係者が語る。
「夢洲2区は川底の汚泥、ヘドロなどの浚渫残土で埋め立てられています。汚泥が発酵するので当然メタンガスは発生する」
事実、大阪港湾局が令和4年1月に作成した「臨港鉄道整備事業」の説明資料には、〈(夢洲2区にある)シールド掘進範囲の地中にメタンガスの存在が明らかとなり、シールド工法設備を防爆対策とする必要性が判明〉とある。大阪港湾局の担当者もこう話す。
「トンネル工事の事前調査でメタンガスが見つかったことは大阪市議会で報告され、防爆対策措置の予算が計上されているため、(万博協会がメタンガス検出について知っていることは)明らかであるという認識です」
万博協会は5月30日になって突然、ホームページで、「パビリオン工区(夢洲2区)の4カ所で低濃度のメタンガスが検出された」と発表したのだ。
万博協会の説明の大きな矛盾
万博協会は今回検出された最大濃度は7%LEL(濃度の値)で、労働安全衛生規則の爆発下限濃度の30%LELの4分の1以下であり、〈継続して工事を実施しております〉とした。
しかし、この説明には大きな矛盾がある。
万博協会は3月の爆発事故後、ホームページで〈今後は通常の火気使用作業について、より厳しく5%LELを設定する〉(5月22日)と発表しているのだ。
廃棄物埋め立て地の安全利用に詳しい環境計画センターの鍵谷司・専任理事が警鐘を鳴らす。
「夢洲1区と2区は、地下は仕切られているが、地表部分で盛り土した部分は繋がっており、メタンガスが横から流れてくる可能性もある。今回2区で判明した7%LELのメタンガスは低濃度ですが、1区から流れてきた場合、2区で濃度が高くなることが考えられる。2区のパビリオンでは火器使用の食事を提供する国もあるという。建物下に換気できる床下ピットや床下排気口を設けるなどの対策がないと、建物床に亀裂等が生じると漏れ出た高濃度のメタンガスに調理場の火が引火して爆発を起こすことがないとも限らない」