鳥そば 真屋@岐阜県大垣市:2011夏の限定麺「アゴの冷やしそば」

遠出したくて、大垣の真屋へ。今回が初訪。朝、出発した時間が遅かったが、開店30分前に到着しポールポジション奪取。そのまましばらく経っても開店待ちのお客がない。ここいらあたりじゃお店が開く前に並ぶなんてコトはないのかなぁ...と、しばらくベンチの先頭に佇んでいたら、なんのなんの。15分前あたりから続々とお客が並び出し、開店待ち客15名程度でノレンがかかった。
行列に並ぶ...という行為を好む人はあまりいないと思うが、ここ真屋では画像のように、店舗の北側になる店先をテントの屋根と壁で囲み、そこに椅子を並べて置いている。コレで、雨風をしのぐことが出来ることはもちろん、店舗の北側なので、常に日陰が保証され、かつ座って過ごせるようになっている。ココに座ってしまえば、あとはケータイを弄るなり読書なりうたた寝なり、さしずめ電車のロングシートに座っているようなもんだ。この季節だけにサスガに暑いが、日陰&センプーキの環境はそれなりに快適ですらある。この、並ぶ時間を如何に快適に過ごせるかについての配慮が大変行き届いていることにまず感心した。尤も、開店当初からそうだったではなく、お客が並ぶようになるに従い、歳月とともに改良を加えて来たのであろう。

このお店は食券制である。
食券制の場合、店舗側としてはスタッフは調理中の手をとめてお金を手にすることが原則的に無い・オーダーミスを未然に防ぐことができる・先払い制なので食い逃げはありえない(?)、客の立場としては、食べた後で「さていくらだったっけ?」と確認する必要がないというのはメリット。
しかし、押すべきボタンが殊にメニューの数が多い(=選ぶボタンの数が多い)と、いざ券売機の前に来た時になって初めてどんなメニューがあって、そこから自分の希望するものが何で、そのボタンがどこにあるのか...と、判断しなければならない場面が短い間に連続して訪れることになる。このときに、後ろに続くお客がソワソワし始めたりすると「さて、何を食べようか?」とじっくり検討するどころではなくなる。
ところが、真屋ではテント下のイスに座ると必ず目がいくところに券売機のボタン配列が掲げてあるのだ。コレがあるおかげで、待っている間に余裕を持って「さーて何食べようか」とじっくり検討し、さらに支払う金額と押すべきボタンが「予習」できるようになっている。
この券売機の同配列のメニュー表による「券売機前で突然襲いかかる迷いと戸惑い」への配慮、いったん気づいてしまえば簡単なことかも知れないが、食券制のお店で、こう云う工夫をを凝らしてあるお店は初めてだっただけに、とても感心した。またこうした工夫はお客の動線、視線、心理を絶えず意識しているからこそ生まれて来るものだろう。
それはそうと、このメニュー表を眺めながら、鳥そばか、アゴのだしそばか、油そばか、まぜそばか、はたまた限定麺を選ぶか、いずれも魅力的なのでトコトン迷った。が、これも券売機前では出来ないことである

で、これが実際の券売機。

結局、季節柄と、昼限定の誘惑に負けて限定麺を選択。後で調べてみたら、真屋では「アゴ出汁の冷やし」は改良を重ねながらの毎夏恒例となっているメニューだそうな。

カウンター席から調理の様子をみていると、冷蔵庫からとりだしてきた冷やした丼にスープを張って麺を入れたあと、穂先メンマ、八幡巻き状の鶏チャーシュー、刻み白ネギ、カイワレ、玉子豆腐、芝漬け、削り節、海苔を盛りつけ、最後にワサビのように見える「練り山椒」を器の縁に置いて完成となる。...まあなんと具を盛りつける手順の多いこと!

キュンと冷えたアゴだしのスープ、あっさりと、じんわりと、すぐれた日本料理を味わっているかのような味わい。ラーメンの具に玉子豆腐はマサカな一品だが、コレも不思議に合う。穂先メンマのしっとりとした食感、鶏チャーシューのさっぱりとしたなかにある旨味、ネギ、柴漬け、削り節、海苔による複雑な香りと味わい。さらに途中で練り山椒を少し加えて楽しむ味の変化。非常に具沢山なので逆にもう少しシンプルでもいいんじゃないの思う程だが、これらをあくまでヒンヤリとした中で味わえるように良く計算されて作られている。

そして、中太平打麺と細麺の二種による啜ったときの快さ、咀嚼したときのシャッキリ&サクサク感、そそて喉越し。本当に良く出来ている。

さらに、麺をおおかた食べ終わった頃に胡麻をまぶしたおにぎりのサービスが付いて来る。私は知らずにそのままこれをいただいたが、このおにぎり、残ったスープに投入し、そのスープに鉢の縁に残る練り山椒をさらに溶かし込んで「冷やし茶漬け」状態でいただくといいそうである。...ので、コレから食べに行かれるなら参考にしてください。
今回、心の動く実にステキなお店に久しぶりに出会えた。もうちょっと近くにあればいいのにと勝手なことを思うが、レギュラーメニューも一様に気になる。また行こう。


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【鳥そば 真屋】
 11:30~14:00 18:30~21:30
 火曜日定休
 0584-91-2289
 岐阜県大垣市熊野町4-6
 P:あり(他店舗共用)

鳥そば 真屋 ラーメン / 荒尾駅
昼総合点★★★★ 4.5

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (名古屋球)
2011-08-22 19:31:40
券売機のデメリットをカバーして、強みにすらする取り組みですね。店主の考え方が随所に感じられる佳店かと。
 
 
 
名古屋のフクヤマ様 (呈蒟蒻)
2011-08-27 06:09:09
こういうことはネット上にあまり載っていない情報のような気がするのですが、お店に行けば、本当にお客の動線や視線について、高い意識を持っておられることを感じましたです。ココは機会を捉えては訪れたいお店です。
 
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