ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ストラヴィンスキー/火の鳥&ペトルーシュカ

2013-10-28 22:36:53 | クラシック(管弦楽作品)
ストラヴィンスキーに「春の祭典」と呼ばれる作品があります。今では20世紀を代表するクラシック作品と呼ばれている曲ですが、今からちょうど100年前の1913年に初演された当時は調性を無視したあまりにも前衛的な内容が聴衆に理解されず、強烈なバッシングを浴びたとか。今の私が聴いても正直取っつきにくい部分があるぐらいですから、それも当然かもしれません。ただ、同じストラヴィンスキーでも今日ご紹介する「火の鳥」「ペトルーシュカ」は随所に現代音楽の息吹こそ感じられるものの、メロディもしっかりしていますし、より万人向けの作品と言えます。私も「春の祭典」よりこの2作品の方が好きです。



CDはクラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団のものを買いました。「火の鳥」「ペトルーシュカ」とも「春の祭典」とのカップリングが多く、この2曲の組み合わせによるCDは意外と少ないです。「火の鳥」は全曲バレエ版もありますが、ここで演奏されるのは作曲者自身が編曲したコンパクトな組曲版です。名前からして熱く燃え上がる曲を想像しがちですが、激しいのは「カッチェイ王の魔の踊り」ぐらいで、後は優雅な「王女たちのロンド」、輝かしい賛歌風の「終曲」とむしろメロディの美しい曲が多いのが意外ですね。「ペトルーシュカ」は「火の鳥」の翌年、「春の祭典」の2年前に発表された曲で、作風的にもちょうど両者の中間らしい内容です。「火の鳥」に比べるとはるかにリズムは強烈ですが、決して調性を逸脱することはなく、随所に朗らかな旋律も挟まれます。ピアノが全編に渡って活躍するのも特徴ですね。全4幕15曲あり、目まぐるしく曲調が変化していきますが、中でも冒頭の「謝肉祭の日」と第4幕のロシア民謡をベースにした華麗な「乳母の踊り」が秀逸ですね。
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