ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

J・J・ジョンソン/ブルー・トロンボーン

2014-03-18 23:46:08 | ジャズ(ハードバップ)
トロンボーンは低音をつかさどる楽器としてビッグバンドには欠かせない存在ですが、ソロ楽器としてはトランペットやサックスに比べどうしても地味な存在ですよね。やはりスライドを伸縮させて音を出すという楽器の構造上スピーディなアドリブができないのが致命的ですね。そんな中、別格の存在だったのがこのJ・J・ジョンソン。高速パッセージを難なく吹き切る超絶技巧を武器にビバップ期から第一線で活躍し、マイルス・デイヴィス、ソニー・ロリンズ、スタン・ゲッツなど超大物達と共演してきました。以前、ベツレヘム盤を紹介しましたが、カイ・ウィンディングとの双頭コンビも有名です。ハードバップ~モードの時代に活躍したカーティス・フラーと並んでトロンボーン界の両横綱と言っていい存在でしょう。



本作「ブルー・トロンボーン」はそんなJJが1957年にコロンビアに残した傑作。トミー・フラナガン(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、マックス・ローチ(ドラム)と言うこれ以上望みようがないくらい最高のリズムセクションをバックに充実の演奏を聴かせてくれます。全7曲、うち4曲はJJのオリジナルとなっていますが、著作権に大らかだった50年代らしく“Kev”はタッド・ダメロンの“Lady Bird”と同じコード進行ですし、最後の“100 Proof”はスタンダードの“What Is This Thing Called Love?”のパクリです。と言う訳で正真正銘のオリジナルはタイトルチューンでもある“Blue Trombone (Part I)”“Blue Trombone(Part 2)”だけなんですが、この2曲は同一曲の別テイク集などではなく、一つの曲を演奏途中でぶった切って編集したもの。Part IでJJのトロンボーンソロのあと、チェンバースのベースソロの時点でフェードアウト。すぐにフェードインし、ローチのドラムソロ、再びJJのソロと続きます。演奏自体は手に汗握る白熱の名演だけに、なぜこんな興醒めの編集をしたのか謎です。他はスタンダードが3曲ありますが、中ではハッピーな雰囲気にあふれた“Hello, Young Lovers”がイチ押しです。JJのトロンボーンが凄いのは言うまでもないのですが、全編にわたって冴え渡るフラナガンのソロも必聴です。
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