ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ジーン・アモンズ/ハッピー・ブルース

2014-03-02 12:08:44 | ジャズ(ハードバップ)

本場アメリカと日本のジャズファンの間でジャズメンの評価が異なることはよくありますが、その代表格が本日ご紹介するジーン・アモンズではないでしょうか?名門プレスティッジに40枚を超えるリーダー作を録音し、ミュージシャン仲間から“ザ・ボス”の称号を贈られたほどの実力者でありながら、日本ではほんの一部しかCD化されず、不当な低評価に甘んじています。似たような存在として同じテナー奏者であるエディ・ロックジョー・デイヴィスが挙げられますが、彼らに共通して言えるのはR&Bに根ざした豪快なブロウが持ち味ということでしょうか。ジャズも広い意味では黒人音楽の一種ですから、彼らのスタイルは本国では何の違和感もなく受け入れられたのでしょうが、ジャズを一種高等な芸術として崇める日本のジャズファンの間では「泥臭い」として敬遠されたのかもしれません。かく言う私もコルトレーン、ゲッツとアモンズ、ロックジョーを比較すれば迷いなく前者を選びますが、後者も正当に評価すべきと思います。



本作「ハッピー・ブルース」は50年代半ばにアモンズをリーダーとして企画された一連のジャムセッションの1枚で1956年4月23日の録音。この頃のアモンズ作品には他に「ジャミン・ウィズ・ジーン」「ファンキー」「ジャミン・イン・ハイファイ」等がありますが、どれもプレスティッジが誇るハードバップの俊英達が一堂に会しており、このことからしてアモンズの当時のステイタスの高さがうかがえます。本盤もアモンズを囲むのは、アート・ファーマー(トランペット)、ジャッキー・マクリーン(アルト)、デューク・ジョーダン(ピアノ)、アディソン・ファーマー(ベース)、アート・テイラー(ドラム)、キャンディド(コンガ)という豪華な顔ぶれ。特にファーマーとマクリーンはこの頃のアモンズ作品のほとんどに参加しており、“ボスの舎弟”的な存在だったのかもしれません。

曲は全4曲しかありませんが、ジャムセッション形式で各自が長尺のソロを取るため合計で40分超のボリュームです。細かなアレンジもせず、アドリブ一発勝負で各自に好き放題演奏させるというプレスティッジお得意のやっつけ仕事ですが、オールスターメンバーのアドリブが存分に堪能できるので聴き応えは十分です。アモンズのブリブリと吹くソロは人によっては野暮ったいと敬遠されるかもしれませんが、若き日のマクリーンやファーマーのイキのいいソロが楽しめるのも本盤の魅力です。特に“Madhouse”での3管のチェイスはなかなかスリリングです。マル・ウォルドロンの代役で急遽レコーディングに参加したと言うデューク・ジョーダンも随所に光るソロを披露してくれます。

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