ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ジジ・グライス&ドナルド・バード/ジャズ・ラブ

2014-03-10 22:51:02 | ジャズ(ハードバップ)

本日はジャズ界の誇るインテリ2人、ジジ・グライスとドナルド・バードの双頭リーダー作をご紹介します。ジジについては過去に当ブログでも取り上げましたが(「セイイング・サムシン」)、ボストン音楽院卒でパリに留学経験もあるエリート。一方のバードもマンハッタン音楽院で修士号を取得した秀才です。50年代と言えばまだまだ人種差別が残っていた時代ですから、その時代に黒人でありながら高等教育を修めた2人は同世代のバップミュージシャンの中でもかなり特異な経歴の持ち主と言えるでしょう。そんな2人が1957年に結成したのが“ジャズ・ラブ”です。ラブはLoveではなく、Lab(実験室)ですね。いかにもインテリが考えそうなネーミングですが、音楽そのものは実験的でも何でもなく、ごく普通のハードバップなので余計な心配は御無用です。



ジャズ・ラブは全部で6枚の作品を残しましたが、どれもCDでの入手が困難で私が持っているのもリヴァーサイド盤「ジジ・グライス・アンド・ザ・ジャズ・ラブ・クインテット」とジュビリー盤「ジャズ・ラブ」のみです。今回待望のコロンビア盤が発売になりましたが、時系列的には本作が一番最初の作品のようで、1957年2月の録音となっています。純粋なスモールコンボ編成の上記2作と異なり、7曲中3曲のみがクインテット編成で、残りの4曲はトロンボーン、フレンチホルン、チューバ、バリトンサックスを加えたミニオーケストラによる演奏です。リズムセクションはピアノがトミー・フラナガンまたはウェイド・レギー、ベースがウェンデル・マーシャル、ドラムがアート・テイラーとなっています。管楽器アンサンブルを加えるあたりがアレンジャーとしても鳴らしたジジ・グライスの腕の見せ所でしょうが、個人的に好きなのはどっちかと言うとクインテットの方。いずれもジジのペンによる“Blue Concept”“Sans Souci”の2曲が最高です。どちらの曲もアート・ファーマーとの双頭クインテットでも録音していますが、バードと組んだ本作のバージョンもまさに名演と言って良い出来です。この頃のバードはクリフォード・ブラウンの後継者と目され、ノリにノッていた頃だけあって、切れ味鋭いラッパが最高ですね。ミニオーケストラの方はランディ・ウェストン作“Little Niles”等やや前衛的なアプローチも見られますが、基本はハードバップですね。これもジジ作の“Nica's Tempo”が秀逸です。

コメント