本日はモダンジャズの開祖ともいえるチャーリー・パーカーの代表作の一つである「ナウズ・ザ・タイム」を取り上げます。何を今さらの超有名作ですが、なぜか今まで手を出してこなかったのです。いや、正直に言うと本作に限らずパーカーの作品は数えるほどしか聴いたことがありません。理由の一つは時代の古さ。パーカーが麻薬中毒による衰弱死で世を去ったのが1955年。ようやくハードバップの時代が始まった頃です。ちょうどこの頃は録音技術が進歩した頃でもあり、それ以前のビバップ期のレコードは音質の面でどうしてもくぐもった感じやノイズがあったりするんですよね。一般的にパーカーの全盛期とされるのが40年代半ばと言われていて、この頃の録音も色々と出回っているのですが、音の悪さがネックとなり何となく敬遠していたわけです。もちろんそれだけでなく、一部のジャズマニアが言う「パーカーの良さがわかってこそ真のジャズファン」みたいな権威主義に何となく反発する気持ちがあったのも否めません。
とは言え、モダンジャズを聴いていれば自然とパーカーの偉大さは理解していくわけで。なんせハードバップ期のアルト奏者はほぼ全員がパーカーの影響下にあると言われています。パーカーそっくりと言われたソニー・スティットはじめキャノンボール・アダレイ、ジャッキー・マクリーン、ルー・ドナルドソン、ソニー・クリス。白人でもフィル・ウッズ、ハーブ・ゲラー、チャーリー・マリアーノと主要なアルト奏者は皆自他共に認めるパーカー派です。また、作曲者としても本作に収録されている“Now's The Time”“Confirmation”はじめ、“Au Privave”“Billie's Bounce”“Moose The Mooche”“Ornithology”“Scrapple From The Apple”と後のジャズ・スタンダードを多く残しています。つまり、パーカーそのものを聴かなくても、間接的にパーカーの残した数々の遺産に親しんでいたともいえます。
前置きが長くなりました。本作「ナウズ・ザ・タイム」はそんなパーカーが1952年から1953年にヴァーヴに吹きこんだ2つのセッションから成っています。パーカー通に言わせればこの頃のパーカーは既に全盛期ではないとのことですが、素人耳にはそんなことは感じられませんし、少なくとも録音状態は40年代に比べると遥かに良いので、上に述べた音質云々の心配なく聴けるのがメリットです。曲は全てワンホーンカルテットで、リズムセクションは1952年のセッションがハンク・ジョーンズ(ピアノ)、テディ・コティック(ベース)とマックス・ローチ(ドラム)。1953年のセッションもドラムはローチで、他はアル・ヘイグ(ピアノ)、パーシー・ヒース(ベース)という布陣です。と言っても、両セッションともピアノがちょろっとソロを取るぐらいで、どの曲もパーカーの独壇場です。
全13曲ありますが、別テイクが多いので実質は8曲です。うち、“The Song Is You”と“I Remember You”がいわゆる歌モノのスタンダードで後は全てパーカーのオリジナルです。歌モノにおけるメロディアスなアドリブもなかなか良いですが、やはり自作曲がいいですね。特にタイトル曲の“Now's The Time”と“Confirmation”が素晴らしいです。どちらも他のジャズメンによるバージョンを散々聴いてきましたが、やはり本家本元のバージョンは特別です。お馴染みのテーマの後に繰り広げられる自由自在のアドリブを耳にすると、こう言うプレイを皆に先んじて40年代からしていたパーカーがいかに革新的だったのかが良くわかります。他では“Chi-Chi”も負けず劣らず魅力的ですね。ただ、4テイクも収録されているのはどうかと思いますが・・・その他は“Laird Baird”“Kim”“Cosmic Rays”とあまりメジャーではない曲ですが、どれも悪くないです。パーカーに取っつきにくさを感じているジャズファンは私以外にもいると思いますが、そう言った方には入門編として最適な1枚ではないでしょうか?
とは言え、モダンジャズを聴いていれば自然とパーカーの偉大さは理解していくわけで。なんせハードバップ期のアルト奏者はほぼ全員がパーカーの影響下にあると言われています。パーカーそっくりと言われたソニー・スティットはじめキャノンボール・アダレイ、ジャッキー・マクリーン、ルー・ドナルドソン、ソニー・クリス。白人でもフィル・ウッズ、ハーブ・ゲラー、チャーリー・マリアーノと主要なアルト奏者は皆自他共に認めるパーカー派です。また、作曲者としても本作に収録されている“Now's The Time”“Confirmation”はじめ、“Au Privave”“Billie's Bounce”“Moose The Mooche”“Ornithology”“Scrapple From The Apple”と後のジャズ・スタンダードを多く残しています。つまり、パーカーそのものを聴かなくても、間接的にパーカーの残した数々の遺産に親しんでいたともいえます。
前置きが長くなりました。本作「ナウズ・ザ・タイム」はそんなパーカーが1952年から1953年にヴァーヴに吹きこんだ2つのセッションから成っています。パーカー通に言わせればこの頃のパーカーは既に全盛期ではないとのことですが、素人耳にはそんなことは感じられませんし、少なくとも録音状態は40年代に比べると遥かに良いので、上に述べた音質云々の心配なく聴けるのがメリットです。曲は全てワンホーンカルテットで、リズムセクションは1952年のセッションがハンク・ジョーンズ(ピアノ)、テディ・コティック(ベース)とマックス・ローチ(ドラム)。1953年のセッションもドラムはローチで、他はアル・ヘイグ(ピアノ)、パーシー・ヒース(ベース)という布陣です。と言っても、両セッションともピアノがちょろっとソロを取るぐらいで、どの曲もパーカーの独壇場です。
全13曲ありますが、別テイクが多いので実質は8曲です。うち、“The Song Is You”と“I Remember You”がいわゆる歌モノのスタンダードで後は全てパーカーのオリジナルです。歌モノにおけるメロディアスなアドリブもなかなか良いですが、やはり自作曲がいいですね。特にタイトル曲の“Now's The Time”と“Confirmation”が素晴らしいです。どちらも他のジャズメンによるバージョンを散々聴いてきましたが、やはり本家本元のバージョンは特別です。お馴染みのテーマの後に繰り広げられる自由自在のアドリブを耳にすると、こう言うプレイを皆に先んじて40年代からしていたパーカーがいかに革新的だったのかが良くわかります。他では“Chi-Chi”も負けず劣らず魅力的ですね。ただ、4テイクも収録されているのはどうかと思いますが・・・その他は“Laird Baird”“Kim”“Cosmic Rays”とあまりメジャーではない曲ですが、どれも悪くないです。パーカーに取っつきにくさを感じているジャズファンは私以外にもいると思いますが、そう言った方には入門編として最適な1枚ではないでしょうか?