本日はモダン・ジャズピアノの開祖とも呼ばれるバド・パウエルの作品を取り上げます。ただ、あらかじめ申し上げますと先日のチャーリー・パーカーと同じくパウエルの作品は積極的に聴いてこなかったのです。ジャズ初心者の頃に有名な“Cleopatra's Dream”の収録された「ザ・シーン・チェンジズ」を買ったことがあるのですが、二十歳そこそこの若造には早すぎたのか良さがわからず、中古に売り飛ばしてしまいました。他にもサイドマンとして参加したデクスター・ゴードン「アワ・マン・イン・パリ」、ジャズ・メッセンジャーズ「パリ・ジャム・セッション」、そして先日ブログでも紹介したドン・バイアス「キャノンボールに捧ぐ」等は所有してはいるのですが、正直それらの作品でのパウエルのプレイは特に感動を呼ぶようなものではありません。というのも、パウエルの絶頂期は40年代から50年代初頭のビバップ期で、それ以降はお決まりのようにドラッグやアルコールに溺れ、さらに精神障害まできたして入退院を繰り返していたそうです。そのため、ハードバップ期以降に残されたパウエルの演奏は全盛期からはほど遠いのだとか。

今日取り上げる「バド!」は1957年8月にブルーノートに吹き込まれたものです。時期的には既に全盛期を過ぎていますが、演奏内容は果たしてどうでしょうか?全8曲、うち前半5曲(レコードのA面)がポール・チェンバース(ベース)、アート・テイラー(ドラム)とのトリオ編成で、後半3曲がカーティス・フラーのトロンボーンを加えたカルテット編成です。前半5曲は全てパウエルの自作曲で、CDの帯では哀調を帯びたメロディの“Blue Pearl”が代表曲として紹介されていますが、個人的にはまあまあといったところ。それよりもアップテンポの“Frantic Fancies”の方が良いですね。これでも全盛期にはほど遠いのかも知れませんが、パウエルの玉を転がすような軽快なタッチのピアノソロが堪能できます。ただ、1曲目のスローブルース“Some Soul”は途中で酩酊しているような感じになったりと、やはり万全の状態ではなかったのかなあと思わされます。
むしろ、私としてはカーティス・フラーの加わった後半3曲(レコードのB面)が気に入りました。フラーは当時22歳。故郷のデトロイトからニューヨークに進出してきた頃で、実に溌剌としたプレイを聴かせてくれます。パウエルのリーダー作はキャリアを通じてほとんどがピアノトリオで、管楽器との共演はまれですが、サックスでもトランペットでもなく敢えてトロンボーンを起用したプロデューサーのアルフレッド・ライオンのセンスが光ります。曲はスタンダードが2曲とチャーリー・パーカーの“Moose The Mooche”で構成されており、疾走感あふれる“Idaho”、美しいスローバラードの“Don't Blame Me”、ラストを飾る“Moose The Mooche”とどれも素晴らしい演奏です。快調なアドリブを次々と繰り出すフラーに乗せられるように、パウエルのピアノも冴えているような気がしますね。以上、パウエルのピアニストとしての偉大さを知る上では若干クエスチョンマークは残りますが、総合的にはなかなか魅力的な作品だと思います。

今日取り上げる「バド!」は1957年8月にブルーノートに吹き込まれたものです。時期的には既に全盛期を過ぎていますが、演奏内容は果たしてどうでしょうか?全8曲、うち前半5曲(レコードのA面)がポール・チェンバース(ベース)、アート・テイラー(ドラム)とのトリオ編成で、後半3曲がカーティス・フラーのトロンボーンを加えたカルテット編成です。前半5曲は全てパウエルの自作曲で、CDの帯では哀調を帯びたメロディの“Blue Pearl”が代表曲として紹介されていますが、個人的にはまあまあといったところ。それよりもアップテンポの“Frantic Fancies”の方が良いですね。これでも全盛期にはほど遠いのかも知れませんが、パウエルの玉を転がすような軽快なタッチのピアノソロが堪能できます。ただ、1曲目のスローブルース“Some Soul”は途中で酩酊しているような感じになったりと、やはり万全の状態ではなかったのかなあと思わされます。
むしろ、私としてはカーティス・フラーの加わった後半3曲(レコードのB面)が気に入りました。フラーは当時22歳。故郷のデトロイトからニューヨークに進出してきた頃で、実に溌剌としたプレイを聴かせてくれます。パウエルのリーダー作はキャリアを通じてほとんどがピアノトリオで、管楽器との共演はまれですが、サックスでもトランペットでもなく敢えてトロンボーンを起用したプロデューサーのアルフレッド・ライオンのセンスが光ります。曲はスタンダードが2曲とチャーリー・パーカーの“Moose The Mooche”で構成されており、疾走感あふれる“Idaho”、美しいスローバラードの“Don't Blame Me”、ラストを飾る“Moose The Mooche”とどれも素晴らしい演奏です。快調なアドリブを次々と繰り出すフラーに乗せられるように、パウエルのピアノも冴えているような気がしますね。以上、パウエルのピアニストとしての偉大さを知る上では若干クエスチョンマークは残りますが、総合的にはなかなか魅力的な作品だと思います。