ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

カーティス・カウンス/エクスプローリング・ザ・フューチャー

2017-11-16 23:26:23 | ジャズ(ハードバップ)

前回の「デクスター・ブロウズ・ホット・アンド・クール」に引き続き、ドゥートーンの復刻輸入盤をご紹介したいと思います。このドゥートーンと言うレーベル、超マイナーレーベルと言うこともあってなかなか手にする機会はありませんでしたが、このたび輸入盤のCDが復刻されていましたのでゲットした次第です。今回ご紹介するのはカーティス・カウンス。デクスター・ゴードンに比べるとかなりマイナーですが、50年代のウェストコーストで活躍した黒人ベーシストです。一般的にウェストコーストジャズと言うと白人中心のジャズを連想しますが、彼らに交じって多くの黒人ミュージシャンも活躍していました。ピアノのハンプトン・ホーズ、カール・パーキンス、ベースのリロイ・ヴィネガー、ドラムのローレンス・マラブルあたりがその代表格でしょうか?カウンスもその一人で、チェット・ベイカー、ショーティ・ロジャース、メイナード・ファーガソンら白人ジャズメン達の作品にサイドマンとして参加するだけでなく、自身のリーダー作もコンテンポラリーに4作、そしてドゥートーンの本作と計5作残しています。残念ながら1963年に37歳の若さで病死してしまうのですが、短い活動期間で確かな足跡を残したと言えるでしょう。



録音は1958年。メンバーはロルフ・エリクソン(トランペット)、ハロルド・ランド(テナー)、エルモ・ホープ(ピアノ)、カウンス(ベース)、フランク・バトラー(ドラム)から成るクインテット編成です。エリクソンだけはスウェーデン出身の白人ですが、後は全員が黒人と言うこともあり、ウェストコースト録音ながらもサウンド的にはバリバリのハードバップです。注目すべきはエルモ・ホープの参加。彼のことは以前に当ブログで紹介したことがありますが、ハードバップ界の隠れた才人として玄人筋に評価の高いピアニストです。本作では‟So Nice”‟Into The Orbit”‟Race For Space”‟The Countdown”と8曲中4曲も自作のオリジナルを提供しており、実質的にはホープの作品と言っても良いぐらいかもしれません。中でも‟So Nice”と‟Into The Orbit”はけだし名曲と言ってよいでしょう。フロントライン2人の演奏も素晴らしく、ブラウン&ローチ・クインテットでも名を馳せたランドが全編に渡ってノリノリのテナーを披露すれば、白人のエリクソンも意外とパワフルなトランペットを聴かせてくれます(録音があまり良くないのか音が割れた感じになるのが玉にキズですが・・・)。カウンスはと言うと、スタンダードのバラード‟Someone To Watch Over Me”では長々とベースソロを披露しますが、ほかの曲ではあくまでリズムセクションに徹しています。宇宙服を着たカウンスがベース片手に浮遊するジャケットがなんともシュールですが、内容的には正統派のハードバップ。あまり語られることのないウェストコーストの黒人ジャズの実力がわかる1枚です。

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