ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

リヒャルト・シュトラウス/ドン・ファン&ドン・キホーテ

2013-10-10 23:17:01 | クラシック(管弦楽作品)
本日は久々にリヒャルト・シュトラウスの交響詩を取り上げます。以前に「英雄の生涯」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」をご紹介しましたが、今日UPの2作品も負けず劣らず有名で彼の代表作として挙げられることも多いです。そのうち「ドン・ファン」は作曲者がわずか24歳の時に書きあげた作品。キャリアの初期に当たりますが、リヒャルト・シュトラウスならではのゴージャス&ロマンチックな音世界は既に完成しています。勇壮な冒頭部分、続いてバイオリン独奏から始まる甘美な愛の主題、7分過ぎに現れる木管が奏でる美しい旋律、そして10分過ぎにホルンが奏でる壮大なドン・ファンの主題。18分弱の短い曲ですがそれらの主題がふんだんに盛り込まれて聴く者を飽きさせません。



「ドン・キホーテ」はセルバンテスの有名な物語を題材にした交響詩ですが、正式には12の変奏から成る変奏曲です。チェロとビオラが大活躍するのも特徴で、チェロ独奏がドン・キホーテの役を、ヴィオラ独奏が従者サンチョ・パンサの役を演じ、変奏ごとにストーリーを音楽で表現しているそうです。とは言っても私はセルバンテスの原作は読んだことがないので、いまいち解説を読んでもピンと来ません。普通に管弦楽作品として楽しめば良いのでしょうが、それにしては41分強の長さはちとネックではあります。個人的には聴き所は2つ。具体的にどの場面を指しているのかわかりませんが17分前後から始まる壮麗な主題、そしてクライマックスの哀愁を帯びたドン・キホーテの死の主題です。

CDはアンドレ・プレヴィン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のものを買いました。プレヴィンは若い頃はジャズ・ピアニストとして活躍し、シェリー・マンの「マイ・フェア・レディ」やダイアン・キャロルの「ポーギー&ベス」等の名作に参加していますが、30代半ばからクラシックの指揮者としてデビューした変わり種です。その後、ロンドン交響楽団、ピッツバーグ交響楽団、ロサンゼルス・フィルなど世界中の有名オーケストラを率いる巨匠に登りつめたのは周知の事実です。ジャズとクラシックの両方を等しく愛する私ですが、演奏者としてどちらの世界でも一流というのは彼ぐらいしか思い浮かびません。本盤でも天下のウィーン・フィルを相手に見事にタクトを振っています。
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ロッシーニ&スッペ/序曲集

2013-10-06 18:46:46 | クラシック(管弦楽作品)
本日はジョアキーノ・ロッシーニとフランツ・フォン・スッペ。19世紀のイタリアとオーストリアでそれぞれ活躍した2人のオペラ作家の序曲集を取り上げます。とは言え、最近紹介したワーグナーやヴェルディと違い、この2人についてはオペラ作品自体が上演される機会はそれほど多くなく、もっぱら序曲ばかりが取り上げられることが多いというのが実情です。ただ、ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲にしろスッペの「軽騎兵」序曲にしろクラシック門外漢でも知っている超有名曲なので一聴の価値はあります。ロッシーニ、スッペとも複数の指揮者による序曲集が出回っていますが、今日は2人の序曲がセットになったヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のCDをご紹介します。



まず、ロッシーニから。ロッシーニは生前に39のオペラを残しましたが、ここで取り上げられているのはそのうち有名な「絹のはしご」「アルジェのイタリア女」「セビリアの理髪師」「ウィリアム・テル」の4つ。前半の3つはロッシーニが人気の絶頂だった20代の頃の作品で、木管の歌うようなメロディが奏でられた後、オーケストラが徐々に盛り上がっていくいわゆる“ロッシーニ・クレシェンド”が用いられています。ロッシーニの序曲は他も多かれ少なかれ同じパターンですね。そんな中、「ウィリアム・テル」序曲は一味違っており、ロッシーニが37歳の時に書いた最後のオペラ作品だけあって曲の構成も複雑になっています。最初はチェロによる物哀しいメロディ、続いて大音量による嵐のシーン、そしてイングリッシュホルンによる牧歌的な旋律が続き、いよいよ8分半過ぎにトランペットが高らかに鳴り響き、スイス軍隊の行進を表したあまりにも有名な旋律が出現します。数多くの映画、テレビ、スポーツ番組などでも使用されている実に勇壮なマーチです。

続いてスッペですが、こちらは「美しきガラテア」「スペードの女王」「怪盗団」「軽騎兵」「詩人と農夫」の5作品。一番有名なのは「軽騎兵」序曲で、冒頭部分が野球の応援団のファンファーレ等に使われていますし、中間部分もマーチとしてお馴染みです。他の4作品も似たような行進曲風の作品で、正直ワンパターンなのでじっくり鑑賞するには不向きですが、あえて挙げるなら中間部のワルツが華やかな「美しきガラテア」がお薦めです。
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ドヴォルザーク&シューマン/ピアノ五重奏曲

2013-10-04 23:13:01 | クラシック(室内楽)
個人的にはクラシックの醍醐味と言えばやはり重厚なオーケストラサウンドと思っているので、室内楽や器楽曲は滅多に聴きませんが、たまには趣向を変えてピアノ五重奏曲を取り上げてみたいと思います。ピアノ五重奏曲とはピアノと弦楽四重奏(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)からなる室内楽曲でシューベルトやブラームスも有名な作品を残していますが、今日ご紹介するドヴォルザークとシューマンの作品も同ジャンルの代表的作品として知られています。2人ともロマン派の時代を象徴する作曲家だけあって、作風も明朗でわかりやすく私のような室内楽初心者でもとっつきやすいですね。



まず、ドヴォルザークの方ですが、チェコ国民楽派の開祖だけあってここでもチェコの民族音楽を濃厚に取り入れています。ドゥムカというスラブ民謡を題材にした哀愁漂う第2楽章、一転してフリアントという舞曲を下敷きにした跳ねるような第3楽章が特にスラヴ情緒に溢れています。明るく開放的な第1楽章も素晴らしいですね。一方のシューマンの作品も、ロマン派の王道を行く魅力的な旋律が目白押しです。力強さと美しさが同居した第1楽章、愁いを帯びた第2楽章、スケルツォ風の第3楽章、そして輝かしいフィナーレの第4楽章と続きます。CDはヤン・パネンカ(ピアノ)とスメタナ四重奏団の共演盤を買いました。スメタナ四重奏団はチェコの室内楽団で、名前のとおりスメタナの室内楽曲を得意としていますが、同じチェコのドヴォルザークもお手の物ですし、シューマンでも見事な演奏を聴かせてくれます。
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