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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

所変われば・徳島編

2010-03-23 19:27:51 | 旅行記
【四国旅行記4】旅行記の最初の記事はこちら、直前の記事はこちら
徳島市関連最後の記事として、交通事情・通信事情をご紹介します。秋田市民としてはうらやましく感じたことが多かった…
なお、徳島市は人口は秋田市よりやや少なく中核市でないが、両市とも県人口の3割前後が集中する県庁所在地であり、公共交通はバスがメインであるなど共通点が多く、徳島市の中心市街地の活気は秋田市以上だと感じたので、「秋田市と同程度の都市」としても差し支えないと考えています。

1.路線バス
(1)徳島市営バス
徳島市内で路線バスを運行する主なバス事業者は、公営企業の「徳島市交通局(徳島市営バス)」と民間の「徳島バス(通称“徳バス”)」の2つ。
松江市やかつての秋田市同様、市営バスが市内を細かく運行し、民間バスが郊外路線を担当していて、競合しながらもある程度棲み分けされている。
徳島バスについては、次の鳴門の記事で紹介するつもりなので、ここでは市営バスについて。
徳島駅から一斉に発車する市営バス
市営バスは銀色に青ラインの車体。ノンステップ車を始めとするいすゞ製の大型車が圧倒的に多く感じたが、他の3メーカー製のものもあるとのこと。
上の写真の左側に、銀色にピンク色ラインのバスが写っているが、これも市営バスで、市内中心部の「循環バス」専用車両。

一般路線の運賃体系は市中心部が200円均一で、その外側が対距離制になっている。「初乗り料金が高めな代わり、初乗り距離が長い」と解釈してもいいかもしれない。バスカードなどはなく、秋田同様、紙の回数券(徳島バスと相互利用)のようだ。
市街地の近距離乗車では(他の地方都市と比べて)割高感があるが、便数が多く、利用しやすかった。

循環バスも大型バスを使用した200円均一運賃なので、他都市のような小型バスによるコミュニティバス的性格の路線ではなく、「既存バスでは行き来できないエリアを結ぶ新たな路線」のような位置づけなのだろうか。毎時2本の運転だが、右回り・左回りとも、徳島駅を同時に出発するダイヤになっており、使い勝手に改善の余地があるように感じた。
貸切事業も行っているものの、交通局の経営状態・徳島市の財政状況は良くなく、今後の交通事業のあり方が検討されているという。

乗ってみて気付いたことは、ほとんどの車両のシートの布地が、かつての秋田市営バスのワンステップ(低床)バスと同じ、黄緑のチェック柄で、きれいに整備されており、懐かしく感じてしまった。
また、優先座席が「公徳シート」という耳慣れぬ名称だった。「公徳」とはgoo辞書によれば「社会生活をする上で守るべき道徳。公民としての道徳。」ということだが、「徳島」の“徳”と掛けてあるのだろうか?(ちなみに秋田市営バスでは「善意の席」と呼んでいた)

(2)もう1つの市営バス
上の写真を再度ご覧いただくと、循環バスの後ろに、赤と肌色っぽいバスが、なんとなく肩身が狭そうに写っている。
これは秋田市でいえば羽後交通に相当する、周辺の町から徳島市に乗り入れているバス事業者のもの。南隣の小松島市から来ているのだが、その事業者は
小松島市運輸部(小松島市営バス)
徳島市内に隣町の市営バスが来ているのだ!
基本的に、公営交通事業者は、その自治体内だけを運行するもの。旧秋田市営バスの場合、秋田市外に空港があった関係上、空港リムジンバスが旧雄和町に行っていたのと、道路が秋田市外との境界線ギリギリを通る都合上、金足高岡線が旧天王・昭和両町を少しだけ走っていた程度だし、完全な青森市外に路線を持っていた青森市営バスは、現在は市外路線から撤退している。

だが、小松島市営バスは、大部分の路線が市境を越えて徳島市に乗り入れているという。とても珍しいと思うし、徳島市では、1つの街に2つの市営バスが走っているというのがおもしろい。
貸切事業に力を入れており、徳島バスに次ぐ県内2位のシェアとのこと。
【2016年1月11日追記】2015年3月をもって、小松島市営バスは廃止。徳島バスに移管されたとのこと。

(3)小松島から来たタヌキ
上の画像の小松島市バスの車両は、小松島市水道部のラッピング広告車両。車体の地色を活かしたやや控えめな広告だし、公共水道の広告で徳島市内を走っても宣伝効果はあまりなさそう。
その広告の中で、緑とピンクの生き物らしきものが水中を漂って(?)いた。
まん丸タヌキ?
水道部の公式サイトにも、この2匹が散りばめられている(名前は不明)。なんでタヌキなんだ? と思っていると…
「たぬきバスPon! Poko号」登場!!
これも小松島市営バス。三菱製のノンステップの中型車かな? 徳島市内は大型バスが多く、中型バスは珍しかった。
濃い黄色とピンクで目立つ

後部にはしっぽ?!
小松島市がタヌキにこだわる理由を調べたら、「金長たぬき」(『平成狸合戦ぽんぽこ』にも登場したそうだ)というタヌキの伝説が小松島にあるからだそうだ。
小松島市から徳島市に通ってくるタヌキ。小松島市のPRに一役買っているだろう。

(4)乗り場の時刻表
徳島駅前の路線バス乗り場は、2列(高速バスは別)になっており、1列が徳島市営、隣が徳島バスと分かれている。小松島市営は、徳島バスの片隅が乗り場。
それぞれの列ごとに案内所窓口があったので、各事業者の職員・社員が案内を担当しているのだろうか。(かつての秋田駅前の案内所は、現在と同じく1か所で全路線の案内をしていて、秋田県バス協会の人が案内をしていたはず。)
バスの入線・発車時に、「○番乗り場○○方面○○行き到着です/発車です」と、その都度肉声での放送があり、さらに「ぷぉーーーーっ」と船の汽笛のような、おならのよおうな“発車ブザー”が鳴り響くのがおもしろい。

さて、秋田の某バス会社は、とんでもなく見にくい時刻表を掲示しているが、徳島はどうだろう?
徳島市営バス
見上げる高い位置に掲示されていた。左は路線図で、経由地・停留所名が分かりやすい。右が時刻表で、路線別に時刻毎に横に見るオーソドックスなタイプ。
一方、
徳島バスのバス停のポール
デザインは違うが、市営と同じ趣旨のものだ。青森の弘南バスのものによく似ている。
そして、ポールから離れた柱には、
方面別の表内で、運行順に、途中停留所の時刻も掲載された時刻表
松江市のものと同じ趣旨で、多くの路線が走る場所に行きたい人が「県庁に行く次のバスは…」と簡単に見つけられる。さらに到着時刻も分かる。

秋田のバス会社には、こんな親切な時刻表を作ることはできないだろうが、特に新国道方面や牛島方面(行き先が多数あるが、分岐する手前の途中で降りる客が多い)にこんな時刻表があれば、どんなに分かりやすいことだろう。
ただし逆に徳島では、秋田にあるような、市全体の地図兼路線図のようなものが見当たらなかった(僕が見落としただけかもしれない)のは、分かりづらいと思った。3社が走っているのだから、まとめて1枚の図があっていいと思う。

2.自転車通行区分
2008年1月に国土交通省が「自転車通行環境整備のモデル地区」として全国98か所を指定し、秋田市中心部も対象になっているが、特に秋田県道はテキトーに白線を引いた程度だし、各道路管理者と警察も自転車利用者への啓発をしているようには見えないのが現状。

徳島駅周辺も同様にモデル地区に指定されていた。
秋田市より歩道の幅が広いし、積雪地でないから、有利ではあるのだろうが、徳島はとてもしっかりとモデル地区としての責任を果たしていると感じた。
徳島駅近くの徳島県道
路面の色を変え、なおかつ境界に「分離柵」を設置している。これなら「うっかり間違えてしまった」ということはまずないだろう。
秋田では柵を設置するほどのスペースはないが、路面の色を変えるのは、融雪装置の更新に合わせてできたのではないか。

そして自転車に乗っている皆さんは、ほぼ全員が走行場所を守っている。これも幅広さと区分明示の効果もあるだろうが、
路上の何か所かに、啓発の看板
これこれ。秋田にもこれを設置してほしい。
秋田でも広報紙などで多少の告知はしているが、道路を通る全員が見ているわけはないから、区分分けの意味を理解せずに通行している人も多いのだと思う。でも、その道路上に設置してPRすれば、見落とすということはあり得ないから、効果絶大だ。
香川県の高松市も同じような状況(看板は見なかったが)だったし、国交省徳島河川国道事務所が本件についての意見交換会を開催したり、意見募集をしたりしたので、国交省四国地方整備局の尽力なのだろうが、素晴らしい。

国交省によれば、モデル地区では自転車走行空間を「概ね2年間で、戦略的に整備」するのだそうだが、もう2年経ったよ。どうする秋田??

3.テレビ
今は、地方の県でも民放テレビ局が4局あるところが多いが、それ以下の県もある。わが秋田県は3局しかなくTBS系列局がないので、ケーブルテレビ(区域外再送信と言って隣県の局の放送を流している)に加入するか、県境部で隣県の電波を受信しない限り、TBSは見られない。

ところが徳島県には民放局は日本テレビ系の「四国放送」1局しかない!
今時そんな県がある…というわけではなく、からくりがあって、実は秋田などよりはるかにテレビ事情に恵まれている。
ホテルのテレビの地デジ番組表
右側に「MBS毎日放送」「ABCテレビ」「関西テレビ」が表示されている。これらは大阪のTBS、テレ朝、フジ系の準キー局。
つまり、徳島では瀬戸内海越しに、対岸の大阪・兵庫・和歌山の電波を受信できるという仕掛け。
このホテルはケーブルテレビだったので、ケーブル局側の都合上(区域外再送信の地デジ化には手続きが難しい)まだ実現していないようだが、理論上は大阪(関西)の日テレ系「よみうりテレビ」やテレ東系「テレビ大阪」も視聴できる。
 ※なかなか話が進まなかった秋田ケーブルテレビのTBS系列局の地デジ化問題も、岩手放送の同意が得られたことがこの旅行中に発表され、やっと地デジ化が決まった。徳島でも同様なのだろう。

こうした事情で、四国放送は日本テレビ系列ながら、フジの「ライオンのごきげんよう」を夕方に放送するなど、他系列の番組も多く放送していた。徳島県民にとっては、先に関西の局で見てしまい、四国放送を再放送的に見ることがあるそうだ。

距離的に近いだけでなく、こうして文化面でも関西と密接に結びついているのが徳島の特徴のようだ。
でも裏を返せば、徳島の地元情報入手手段が限られているわけでもある。徳島ローカル番組はNHK徳島放送局と四国放送しかないのだから。
四国放送では、朝は「ズームイン!!SUPER」をネットせず、独自の情報番組を放送していた。
「おはようとくしま」バックは大鳴門橋
1971年から続く、歴史ある番組。少し見たが、気象庁を退職して気象予報士になったという、年配の男性の天気予報コーナーが落ち着いていてよかった。

ここで気になることが。
NHK総合の朝のニュース「おはよう日本」の7時45分からのローカル版は、「おはよう秋田」のように「おはよう+県名」の番組名(というかコーナー名)になっている。
岡山ではひらがなの「おはようおかやま」だった
NHKの「おはよう日本」は1993年開始だそうだから、「おはよう徳島」では完全にタイトルがかぶってしまう。どうなってるんだろう?
「おはよう日本 徳島」ですか。こちらのバックは眉山
なるほど。おはよう日本の中の徳島版っていうことだろうか。NHKさんも遠慮したのね。

【2012年7月26日追記】四国放送の「おはようとくしま」(最後の1年は「おはようとくしまプラス」)は2011年3月で放送を終えて、全国放送「ZIP!」のフルネットになったとのこと。
それに伴い、2012年4月からNHKの番組が「NHKニュースおはよう徳島」に改題したそうだ。


所変わればいろいろ変わる。こういうことを知るのも旅の楽しみ。
次は、鳴門の渦潮を見に行きます
コメント (4)
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