道路の交通信号機の話。
11年前=2009年に「十字路の4方向分の車両用信号機を1つにまとめて、交差点中央に吊り下げて設置」するものを紹介した。
狭い道路で、1基ずつ信号機(を取り付ける柱)を設置するスペースがない場合に用いられる。
公式な呼称は「懸垂式」または「懸垂型」のようだが、愛好家などは「集約式」と呼ぶこともある。「懸垂~」だと、ワイヤーに1基だけぶら下げる設置方法とまぎらわしいのだけど。
懸垂信号は、1灯の赤/黄点滅のものを含めれば、秋田県を含めて各地でそこそこ存在するかと思う。赤青黄3色のものでは名古屋市大須や仙台のものが有名だが、全国的にはあまり多くない。皆無の県もあるのではないだろうか。
秋田市内には2か所だけ、3色信号の懸垂式があった。雪国仕様の縦型信号機を集約しているので、横型の愛知、宮城とはまた違った雰囲気がある。
※秋田とほぼ同一のものを、2010年に鹿児島県庁裏で見た。2019年時点でも変わらず。横型でも良さそうな環境だけど、なぜか縦型。南国のみなさんにはことさら違和感があることだろう。
秋田市の2つは近い場所。市立八橋小学校がある八橋大沼町の北西角(イサノ、大畑との境)と南東角(三和町、鯲沼町、田五郎との境)。
2009年の記事で取り上げたのは南東のほうだった。2013年に電球式からLED式のフードがないフラット型に交換され、さらにまた独特の姿になって、現在も変わらず。
北西のほうは、新しい道路開通の記事の中で2012年に紹介。
こちらも、もともとは南東と同じ電球式信号機なので、2か所同時に設置されたと思われる。
2012年の道路開通時には、その交差点のわずか100メートル弱のところに、新しい道路との信号機付き交差点ができた。
それにより、東西方向の既存の道では、信号機付き交差点が短距離で連続することになり、誤認するおそれがあるため、対策がなされた。
懸垂設置の4台のうち、東進車が見る西向きの1台だけを、LED式に交換。さらにその青灯には、一定の距離まで近づかないと点灯していること分からない「視角制限」のひさし(フード)が取り付けられた。
懸垂式で部分的に信号機が交換されるというのは、大変レアなケースではないだろうか。
【28日補足】愛知や宮城の横型や、古い赤黄点滅の懸垂式では、4方向の信号機が製造時点から一体化した構造で、部分的な交換は困難だと思われる。一方、秋田や鹿児島の縦型や、近年の点滅式では、単体設置と同じ通常の信号機4台を“専用の台座”に固定したような造りなので、交換自体は容易なようだ。
南から。左を向いた信号機だけLEDで、その青だけ視角制限
残る3方向向きの3台は、その後も電球式のままで稼働を続けていた。
そして、新しい道路ができたため、並行する南北方向の既存の道の交通量はかなり少なくなり、小学生など歩行者も新しい交差点のほうを横断することが多くなっていたはず。そんなわけで…
現状
おそらく12月20日前後に、懸垂式信号機が、柱ごとそっくり撤去されてしまった。上の写真右の赤白のパイロン(コーン)が柱の跡。
北から。真新しい停止線と隠された標識
信号撤去後は、より狭い南北方向の道側が「止まれ」となった。南側は駐車場のジャマになるためか、停止線より前方に標識が設置されたけど、それでもいつか倒されそう…
上の写真にも写っている通り、撤去工事のだいぶ前から、止まれの標識が設置され、紙で隠されていた。
標識とジャストサイズの紙を丁寧に貼っていた
そのわりには、止まれ運用開始後は、
裏面にテープが残ったままですよ
ここから南がゾーン30。従来は信号機の柱に付いていた30キロ制限の標識が、止まれの裏側に移設された。
撤去前。東から
東西方向の道には「信号機あり」の警戒標識が、「信号注意」の補助標識とともに設置されていた。新しい道ができる前からあったのではないだろうか。「信号注意」の道路標示(路面のペイント)がされたこともあった。
西から
でも、上の写真の東進側は、車が引っかけてしまったようで、道路と平行に向きが変わってしまっていた(2012年のストリートビューでも同じ状態)。西進側も、右隅が少し変形している。。
「信号機あり」は、少々珍しい標識かな。秋田市内では、ほかには千秋トンネルの手形側出口の先(カーブ手前)などにある。信号機自体は縦型でも、この標識は横型。
警戒標識は道路管理者(ここでは秋田市)が設置する。信号機は県警が撤去するわけだから、標識については秋田市と調整が必要。うまく連携が取れるか心配したが、同時に支柱ごと撤去されたようだ。
信号機時代から、横断歩道がペイントされていたのは、西側1本のみ。こんな狭い道で信号機があるんだから、4本あっても良さそうなものだけど、設置条件や規定があるのでしょう。
撤去後は、その横断歩道が信号機なしの横断歩道として存続。信号機を廃止して、信号なし交差点に格下げということになろう。
そのため、既存の電力柱/電信柱に「横断歩道あり(これは警察管轄)」標識が設置された。
西から
場所柄、子ども2人が渡っている学童版の絵柄でも良さそうなのに、帽子男の一般版。(標識の意味・効力は両者同じ)
【28日追記】信号廃止直前時点でも、現地に信号撤去や撤去後の横断について周知する立て看板のようなものは見当たらなかった。地元町内会や小学校では知らされた可能性はあるが、突然、信号機が消えて戸惑う人(特に歩行者)はいなかっただろうか。道路はさまざまな人が通るのだから、配慮が必要だったかも。
今となっては、ただの小さな横断歩道。ここに信号があったとは、知っていても見過ごしてしまう。
東から。黒い車の位置が信号機跡
上の写真で奥に見える信号機が、新しい道路との交差点。懸垂式の東進側と同様に、写っている西進側の信号機にも、青に視覚【28日訂正】視角制限がされている。
今回の撤去とは別発注で、この視覚【28日訂正】視角制限フードを取り外す工事も予定されているようだが、現段階では未施工。したがって、上の写真の位置やさらに手前からでは、青信号の時は光が見えず、そこに信号機があると認識しづらい状況。
信号機や交差点の存在は、できるだけ手前で気づかせたほうが安全ではないだろうか。早めに撤去してほしい。
在りし日の懸垂式信号機
工事の入札資料によれば、撤去した一式のうち、LED式信号機だけ県警へ返納する旨が注記されており、再利用されるのだろう。
これで、秋田市内の3灯の懸垂式は1か所だけになったはず。
直接の関係はないが、廃止される信号機があれば、新規設置される信号機もある。それも、この近くの新しい道で。
新しい道の最後に北側が2019年春に開通し、新国道の野村交差点とつながり、交通量が増えた。
既存の小さい道と交わる交差点では、小さい道側が止まれになったのだが、守らない車も多かったのかもしれない。あるいは、新しい道からの右折待ちで危険だったり滞ったりしたのかもしれない。
その1つ、寺内字イサノ、三千刈橋~秋田基準寝具前~日産サティオ横の既存道路と交わる箇所。2019年の開通区間の南端でもあった。
(再掲)東側から。止まれ、止まれ、トマレと3重
そこに、最近、信号機が設置された。
南から
押しボタンや感応式でない普通のサイクルで、北側(新国道寄り)を除く3方向に横断歩道付き。信号機自体も標準的な低コストタイプ最低限の一式。
11年前=2009年に「十字路の4方向分の車両用信号機を1つにまとめて、交差点中央に吊り下げて設置」するものを紹介した。
狭い道路で、1基ずつ信号機(を取り付ける柱)を設置するスペースがない場合に用いられる。
公式な呼称は「懸垂式」または「懸垂型」のようだが、愛好家などは「集約式」と呼ぶこともある。「懸垂~」だと、ワイヤーに1基だけぶら下げる設置方法とまぎらわしいのだけど。
懸垂信号は、1灯の赤/黄点滅のものを含めれば、秋田県を含めて各地でそこそこ存在するかと思う。赤青黄3色のものでは名古屋市大須や仙台のものが有名だが、全国的にはあまり多くない。皆無の県もあるのではないだろうか。
秋田市内には2か所だけ、3色信号の懸垂式があった。雪国仕様の縦型信号機を集約しているので、横型の愛知、宮城とはまた違った雰囲気がある。
※秋田とほぼ同一のものを、2010年に鹿児島県庁裏で見た。2019年時点でも変わらず。横型でも良さそうな環境だけど、なぜか縦型。南国のみなさんにはことさら違和感があることだろう。
秋田市の2つは近い場所。市立八橋小学校がある八橋大沼町の北西角(イサノ、大畑との境)と南東角(三和町、鯲沼町、田五郎との境)。
2009年の記事で取り上げたのは南東のほうだった。2013年に電球式からLED式のフードがないフラット型に交換され、さらにまた独特の姿になって、現在も変わらず。
北西のほうは、新しい道路開通の記事の中で2012年に紹介。
こちらも、もともとは南東と同じ電球式信号機なので、2か所同時に設置されたと思われる。
2012年の道路開通時には、その交差点のわずか100メートル弱のところに、新しい道路との信号機付き交差点ができた。
それにより、東西方向の既存の道では、信号機付き交差点が短距離で連続することになり、誤認するおそれがあるため、対策がなされた。
懸垂設置の4台のうち、東進車が見る西向きの1台だけを、LED式に交換。さらにその青灯には、一定の距離まで近づかないと点灯していること分からない「視角制限」のひさし(フード)が取り付けられた。
懸垂式で部分的に信号機が交換されるというのは、大変レアなケースではないだろうか。
【28日補足】愛知や宮城の横型や、古い赤黄点滅の懸垂式では、4方向の信号機が製造時点から一体化した構造で、部分的な交換は困難だと思われる。一方、秋田や鹿児島の縦型や、近年の点滅式では、単体設置と同じ通常の信号機4台を“専用の台座”に固定したような造りなので、交換自体は容易なようだ。

残る3方向向きの3台は、その後も電球式のままで稼働を続けていた。
そして、新しい道路ができたため、並行する南北方向の既存の道の交通量はかなり少なくなり、小学生など歩行者も新しい交差点のほうを横断することが多くなっていたはず。そんなわけで…

おそらく12月20日前後に、懸垂式信号機が、柱ごとそっくり撤去されてしまった。上の写真右の赤白のパイロン(コーン)が柱の跡。

信号撤去後は、より狭い南北方向の道側が「止まれ」となった。南側は駐車場のジャマになるためか、停止線より前方に標識が設置されたけど、それでもいつか倒されそう…
上の写真にも写っている通り、撤去工事のだいぶ前から、止まれの標識が設置され、紙で隠されていた。

そのわりには、止まれ運用開始後は、

ここから南がゾーン30。従来は信号機の柱に付いていた30キロ制限の標識が、止まれの裏側に移設された。

東西方向の道には「信号機あり」の警戒標識が、「信号注意」の補助標識とともに設置されていた。新しい道ができる前からあったのではないだろうか。「信号注意」の道路標示(路面のペイント)がされたこともあった。

でも、上の写真の東進側は、車が引っかけてしまったようで、道路と平行に向きが変わってしまっていた(2012年のストリートビューでも同じ状態)。西進側も、右隅が少し変形している。。
「信号機あり」は、少々珍しい標識かな。秋田市内では、ほかには千秋トンネルの手形側出口の先(カーブ手前)などにある。信号機自体は縦型でも、この標識は横型。
警戒標識は道路管理者(ここでは秋田市)が設置する。信号機は県警が撤去するわけだから、標識については秋田市と調整が必要。うまく連携が取れるか心配したが、同時に支柱ごと撤去されたようだ。
信号機時代から、横断歩道がペイントされていたのは、西側1本のみ。こんな狭い道で信号機があるんだから、4本あっても良さそうなものだけど、設置条件や規定があるのでしょう。
撤去後は、その横断歩道が信号機なしの横断歩道として存続。信号機を廃止して、信号なし交差点に格下げということになろう。
そのため、既存の電力柱/電信柱に「横断歩道あり(これは警察管轄)」標識が設置された。

場所柄、子ども2人が渡っている学童版の絵柄でも良さそうなのに、帽子男の一般版。(標識の意味・効力は両者同じ)
【28日追記】信号廃止直前時点でも、現地に信号撤去や撤去後の横断について周知する立て看板のようなものは見当たらなかった。地元町内会や小学校では知らされた可能性はあるが、突然、信号機が消えて戸惑う人(特に歩行者)はいなかっただろうか。道路はさまざまな人が通るのだから、配慮が必要だったかも。
今となっては、ただの小さな横断歩道。ここに信号があったとは、知っていても見過ごしてしまう。

上の写真で奥に見える信号機が、新しい道路との交差点。懸垂式の東進側と同様に、写っている西進側の信号機にも、青に
今回の撤去とは別発注で、この
信号機や交差点の存在は、できるだけ手前で気づかせたほうが安全ではないだろうか。早めに撤去してほしい。

工事の入札資料によれば、撤去した一式のうち、LED式信号機だけ県警へ返納する旨が注記されており、再利用されるのだろう。
これで、秋田市内の3灯の懸垂式は1か所だけになったはず。
直接の関係はないが、廃止される信号機があれば、新規設置される信号機もある。それも、この近くの新しい道で。
新しい道の最後に北側が2019年春に開通し、新国道の野村交差点とつながり、交通量が増えた。
既存の小さい道と交わる交差点では、小さい道側が止まれになったのだが、守らない車も多かったのかもしれない。あるいは、新しい道からの右折待ちで危険だったり滞ったりしたのかもしれない。
その1つ、寺内字イサノ、三千刈橋~秋田基準寝具前~日産サティオ横の既存道路と交わる箇所。2019年の開通区間の南端でもあった。

そこに、最近、信号機が設置された。

押しボタンや感応式でない普通のサイクルで、北側(新国道寄り)を除く3方向に横断歩道付き。信号機自体も標準的な低コストタイプ最低限の一式。