テレビの字幕の話。昔の写植でなく、今の。【以下、本文は2020年10月~年末時点の内容です。その1年ほど後には、末尾の追記の通り、変化しています。】
テレビ朝日の夕方のニュース「スーパーJチャンネル」。1997年10月放送開始なので、この時間帯では最古参の番組。
ちなみに開始時点の他局は、日テレが「ニュースプラス1(2006年終了)」、TBSが「ニュースの森(2005年終了)」、フジが1年で終わった「ニュース555 ザ・ヒューマン(前はスーパータイム、後はスーパーニュース)」。NHKはその春までは全国共通の「イブニングネットワーク」だったのが終わって、今に続く各地域まちまちの番組名。
スーパーJチャンネルは、当初のメインキャスターが斬新で、月~木曜は石田純一、金曜は田代まさしという顔ぶれ。それぞれ半年、1年の起用ではあったが。
そして当時も思ったが、他局と比べると「スーパーJチャンネル」は斬新なネーミング。
当時はJリーグ発足4年目で浸透していたので、それを意識したのか。石田純一のJとの説もあったが…
開始時から2010年まで出演した、坪井直樹アナウンサーが、テレビ朝日ホームページ内の2002年頃と思われるコラムで、由来を紹介していた。
「我々も意味はよくわからない」ながら、「「ジャーナリスト」のJ、「ジャパン」のJが有力です。(前キャスターの石田純一さんのJという説もありますが)あとは「ジャンプ」のJで躍動感のある番組を目指しています。」だそう。
2010年春からは渡辺宜嗣アナウンサーがメインになり、局アナ定年退職後も継続。
2020年秋には、メインを小松靖アナウンサーに譲って、コメンテーター的に出演しているようだ。
その今年秋、スーパーJチャンネルとは知らずに、たまたまスーパーJチャンネルの画面を目にした。
画面の雰囲気が変わっていた。土日版も同様。
第一印象は「これフジテレビ?」これは色使いのせいか?
第二印象、第三印象が今回の本題で、「字幕が読みづらい」「画面デザインが素人っぽい」。
画面の中でもテロップが大きく変わった。
文字の大きさは違っても、原則としてすべてが同じフォント。線(ウエイト)が細い丸ゴシック体を、縦方向に圧縮して縦長にしている。そして文字どうしの間隔が広い。なお、まれに部分的に違うフォントを使うことはある。
縦長文字と文字間隔拡大により、間延びしてしまったと思う。そして線はもう少し太いほうがいいと感じた。上のドコモのロゴの画面の下では、背景色なしで文字を出しているので、埋没してしまっている。また、背景色が無透過の白に黒い文字なのは、安直なようにも感じるし、そこにピンク色の文字を入れるのは見づらい。
こうした結果、他局も含めて見慣れたニュースの画面とは、印象が異なった。
テレ朝としては考えてこうしたのだろうが、フォントに制限があったり、書体使い分けや配色、見やすさへの配慮を理解していなかったりといった、素人の映像作品のように見えてしまう。
YAHOO!ニュース経由のデイリー新潮に10月7日付で「新生「スーパーJチャン」から考える 元番組Dが語る「テレ朝躍進の理由はここにある」」というのがあった。
元ディレクターが、番組リニューアルを基本的には褒めているようだが、「ただ、一点、テロップは各局に比べて少し読みづらい印象です。」「少し「文字の細さ」が気になりました。」と述べている。
ツイッターでも、見にくいという声が散見されるが、2か月経っても変えないということは、これでいいと思っているのだろう。
9月以前のスーパーJチャンネルでは、テレビ朝日の他のニュースと同じ画面だった。10月以降も他番組は変わらないので、共存している。
ANNニュース
スーパーJチャンネル(上のQの部分を独立させて表示)
ANNニュース
スーパーJチャンネル。微妙に訳が違う
スーパーJチャンネル以外で使われる書体は、角ゴシック体のフォントワークス製「ニューセザンヌ」が基本。
会見など写っている人物の発言をそのまま字幕にする時は、丸ゴシック体の「スーラ」。上の画面で「途上国並み」うんぬんは、その時点の映像に連動してしゃべっていないので、スーラではないという理屈のようだ。あまり意味がある使い分けでもない気もするが、目障りではない。
NHKの全国ニュースもニューセザンヌなので、見慣れてしまっているせいもあるかもしれないが違和感はない。配置、サイズ、色使いも含めて総合的に、テレ朝のニュース画面として完成されていると思う。
新しいスーパーJチャンネルの字幕・画面に対して、そのような感情を抱ける時が来るだろうか。
スーパーJチャンネルの画面が見づらいのは、フォント自体に問題があるわけではない。フォントの使い方、選び方のせい。だからここまでフォント名を示さなかった。最後に紹介する。
一見、細いスーラかと思うが、ひらがなの線がだいぶ違う。「ん」「す」の線の終わりの位置、「や」の2画目の向きなど【7日追記・「も」1画目の終わりが異様なほど上まで伸びていること、「さ」「き」の最後の画がつながっていないことも違う。】。でも全体の雰囲気は似ている。
フォントワークスの「UD丸ゴ【9日一部削除】_ラージ」というフォントだった。フォントワークスにしては珍しく、芸術家の名前じゃないので分かりやすい。【9日訂正】UD丸ゴには、ウエイト違いとは別にラージとスモールの2種があった。両者は、文字の大きさが微妙に大小違うのだが、素人が一見しただけでは識別できないので、どちらなのかは不明です。
スーラをベースに、よりモダンなスタイルの丸ゴシック体にするため、字面を大きくし、さらに視認性・判別性向上の調整をした書体。
もちろんウエイト違いもあるから、Jチャンさんには、もう1~2段階太いのに変えてもらえば、見やすくなると思うのだけど。
【2021年6月4日追記】2021年5月31日から、上記、ニューセザンヌが使われていた定時ニュースのフォントと画面デザインが変更された。
新しいフォントは、フォントワークス「UD角ゴ」らしく、系列局も多くが同様に変更したようだ。
画面デザインはそっけない感じもするが、Jチャンほどの違和感はなく、すっきりして悪くないようにも感じる。
【2021年11月12日追記】2011年11月に久しぶりにJチャンを見たら、上記2020年10月当初とは少し変わっていた。
まず、画面下に表示されるニュースの流れや容疑者の名前は、UD角ゴに変更された。丸ゴなのは発言内容などに限定。再びフォントを使い分けるようになった。
そして、以前は文字を横方向に強く圧縮して縦長にしていたのが、圧縮率が小さくなった。
これらにより、おおまかには以前(もしくは他局)と同じ程度の文字の見た目(形や間隔)になり、違和感は大幅に軽減された。まあ、これでよしとしましょう。
テレビ朝日の夕方のニュース「スーパーJチャンネル」。1997年10月放送開始なので、この時間帯では最古参の番組。
ちなみに開始時点の他局は、日テレが「ニュースプラス1(2006年終了)」、TBSが「ニュースの森(2005年終了)」、フジが1年で終わった「ニュース555 ザ・ヒューマン(前はスーパータイム、後はスーパーニュース)」。NHKはその春までは全国共通の「イブニングネットワーク」だったのが終わって、今に続く各地域まちまちの番組名。
スーパーJチャンネルは、当初のメインキャスターが斬新で、月~木曜は石田純一、金曜は田代まさしという顔ぶれ。それぞれ半年、1年の起用ではあったが。
そして当時も思ったが、他局と比べると「スーパーJチャンネル」は斬新なネーミング。
当時はJリーグ発足4年目で浸透していたので、それを意識したのか。石田純一のJとの説もあったが…
開始時から2010年まで出演した、坪井直樹アナウンサーが、テレビ朝日ホームページ内の2002年頃と思われるコラムで、由来を紹介していた。
「我々も意味はよくわからない」ながら、「「ジャーナリスト」のJ、「ジャパン」のJが有力です。(前キャスターの石田純一さんのJという説もありますが)あとは「ジャンプ」のJで躍動感のある番組を目指しています。」だそう。
2010年春からは渡辺宜嗣アナウンサーがメインになり、局アナ定年退職後も継続。
2020年秋には、メインを小松靖アナウンサーに譲って、コメンテーター的に出演しているようだ。
その今年秋、スーパーJチャンネルとは知らずに、たまたまスーパーJチャンネルの画面を目にした。
画面の雰囲気が変わっていた。土日版も同様。
第一印象は「これフジテレビ?」これは色使いのせいか?
第二印象、第三印象が今回の本題で、「字幕が読みづらい」「画面デザインが素人っぽい」。
画面の中でもテロップが大きく変わった。
文字の大きさは違っても、原則としてすべてが同じフォント。線(ウエイト)が細い丸ゴシック体を、縦方向に圧縮して縦長にしている。そして文字どうしの間隔が広い。なお、まれに部分的に違うフォントを使うことはある。
縦長文字と文字間隔拡大により、間延びしてしまったと思う。そして線はもう少し太いほうがいいと感じた。上のドコモのロゴの画面の下では、背景色なしで文字を出しているので、埋没してしまっている。また、背景色が無透過の白に黒い文字なのは、安直なようにも感じるし、そこにピンク色の文字を入れるのは見づらい。
こうした結果、他局も含めて見慣れたニュースの画面とは、印象が異なった。
テレ朝としては考えてこうしたのだろうが、フォントに制限があったり、書体使い分けや配色、見やすさへの配慮を理解していなかったりといった、素人の映像作品のように見えてしまう。
YAHOO!ニュース経由のデイリー新潮に10月7日付で「新生「スーパーJチャン」から考える 元番組Dが語る「テレ朝躍進の理由はここにある」」というのがあった。
元ディレクターが、番組リニューアルを基本的には褒めているようだが、「ただ、一点、テロップは各局に比べて少し読みづらい印象です。」「少し「文字の細さ」が気になりました。」と述べている。
ツイッターでも、見にくいという声が散見されるが、2か月経っても変えないということは、これでいいと思っているのだろう。
9月以前のスーパーJチャンネルでは、テレビ朝日の他のニュースと同じ画面だった。10月以降も他番組は変わらないので、共存している。
ANNニュース
スーパーJチャンネル(上のQの部分を独立させて表示)
ANNニュース
スーパーJチャンネル。微妙に訳が違う
スーパーJチャンネル以外で使われる書体は、角ゴシック体のフォントワークス製「ニューセザンヌ」が基本。
会見など写っている人物の発言をそのまま字幕にする時は、丸ゴシック体の「スーラ」。上の画面で「途上国並み」うんぬんは、その時点の映像に連動してしゃべっていないので、スーラではないという理屈のようだ。あまり意味がある使い分けでもない気もするが、目障りではない。
NHKの全国ニュースもニューセザンヌなので、見慣れてしまっているせいもあるかもしれないが違和感はない。配置、サイズ、色使いも含めて総合的に、テレ朝のニュース画面として完成されていると思う。
新しいスーパーJチャンネルの字幕・画面に対して、そのような感情を抱ける時が来るだろうか。
スーパーJチャンネルの画面が見づらいのは、フォント自体に問題があるわけではない。フォントの使い方、選び方のせい。だからここまでフォント名を示さなかった。最後に紹介する。
一見、細いスーラかと思うが、ひらがなの線がだいぶ違う。「ん」「す」の線の終わりの位置、「や」の2画目の向きなど【7日追記・「も」1画目の終わりが異様なほど上まで伸びていること、「さ」「き」の最後の画がつながっていないことも違う。】。でも全体の雰囲気は似ている。
フォントワークスの「UD丸ゴ【9日一部削除】
スーラをベースに、よりモダンなスタイルの丸ゴシック体にするため、字面を大きくし、さらに視認性・判別性向上の調整をした書体。
もちろんウエイト違いもあるから、Jチャンさんには、もう1~2段階太いのに変えてもらえば、見やすくなると思うのだけど。
【2021年6月4日追記】2021年5月31日から、上記、ニューセザンヌが使われていた定時ニュースのフォントと画面デザインが変更された。
新しいフォントは、フォントワークス「UD角ゴ」らしく、系列局も多くが同様に変更したようだ。
画面デザインはそっけない感じもするが、Jチャンほどの違和感はなく、すっきりして悪くないようにも感じる。
【2021年11月12日追記】2011年11月に久しぶりにJチャンを見たら、上記2020年10月当初とは少し変わっていた。
まず、画面下に表示されるニュースの流れや容疑者の名前は、UD角ゴに変更された。丸ゴなのは発言内容などに限定。再びフォントを使い分けるようになった。
そして、以前は文字を横方向に強く圧縮して縦長にしていたのが、圧縮率が小さくなった。
これらにより、おおまかには以前(もしくは他局)と同じ程度の文字の見た目(形や間隔)になり、違和感は大幅に軽減された。まあ、これでよしとしましょう。