麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

演劇の一瞬と永遠~『浄瑠璃の庭』世界へ!

2009年07月09日 | 東演
 今でも再演の声が多い作品の一つに『浄瑠璃の庭 』(作/藤井貴里彦、演出/磯村純、No.122、於/東演パラータ 2004年)がある。

 僕が制作担当した作品で、かつ企画段階から長い時間をかけて育んだ最初の作品でもある。
 そんな個人的なことは置いて。

 その舞台美術が、国際的なコンクールの予選を突破して、韓国で開かれる本戦へエントリーされたと、衣裳と美術を担当した小池れい嬢から聞いた。

 芝居は、ライブだから《その日その時》に刹那輝いて消える芸術だ。

 歌い手のコンサートと同じ。だから芝居も、すべてはないが「ライブ盤」としてDVD化されることもある。

 ただそれは遠足そのものと「遠足の写真」が似て非なるもののように、芝居と「芝居の記録映像」は違うものになる。

 まあ、そーゆーツマラナイ御託はこのへんにして。
 何につけ、愛すべき作品が再び陽の目をみることは嬉しいこと。
 
 西南戦争という時代を背景に、庶民の生き様を描いた『浄瑠璃の庭』。
 舞台となった宮崎県山之口町(2006年合併により現在は都城市)には麓文弥節人形浄瑠が生活と根ざしてあり、それをいとおしむ心優しい人々が時代に翻弄されるという筋だった。

 そんな風情を風合い豊かな和紙のパネルと幕で表し、一方大きな歴史のうねりを中央の黒く光るプラスチックの床に込めて、その二局の鮮やかなコントラストで芝居を息づかせてくれた、あの舞台美術が、世界とどう戦うのか・・・。
 期待が高まる

 そうそう。世界と戦うといえば。。。
 『浄瑠璃~』は、ちょうど『長江-乗合い船』が全国巡演中で、そのメンバーが不在の時期に稽古が組まれていた。
 サッカー好きな僕と演出は、冗談で「今回は国内組のみの招集」と称して、かなり大胆なキャスティングを断行したのだった。
 『長江』組に力があり、残った俳優陣が格下なんてことはまるでないのは言うまでもない。ただ入団間もない役者にチャンスが訪れたことは確かだった。

 その若い力が、本当に溌剌とピッチを駆けめぐった芝居だった。
 もちろん笹山、矢野らベテランが脇を固めてくれたのも大きく、藤井戯曲の泥臭さと劇団のカラーもマッチするなど、とにかく相乗効果がトルネードして。

 だからこその「再演の声」が大きいのだと思っている。
 観た人の記憶に“永遠”に刻まれたのだ

 最後に、懐かしい舞台写真を載せて今日はおしまい。





 
コメント
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