麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

階段落ち

2021年04月08日 | 身辺雑記

ほろ酔いの女性が「あー」と小さく叫びながら

池袋駅の地下改札に向かう階段を滑り落ちた。

 

      

 

仕事帰りの僕の視線に、その男女の姿はあった。

21時を過ぎていた。

男性が彼女を支え、彼女は少しおぼつかない足取りで

下りの階段を降り始めた。その中段よりやや上で

冒頭シーンが起きた。

彼女は5段ほど滑って、彼はそれを捕まえた。

僕はエスカレータを上りつつ、目撃したのだった。

 

      

 

COVID-19禍、ほろ酔いの人々に遭遇します。

そのことを、今回問いたいのではなく。

「あー」の場面から、突然昔の記憶が甦った話。

 

大学時代、観劇にはまっていた僕は、

かなりの数を見ていた。それは事実だ。

ただ、これから書き進める「階段落ち」は、

その瞬間のみ明確であとは類推が多く含まれる

と、先に断っておきます。

 

通学の電車のなかで、たまたまカジと会って、

僕が芝居をよく見るという流れから、

私も○○みたことあるよ的な展開で

「じゃ面白そうなのあったら教える」と。

カジは中三のクラスメートで、バスケ部だった。

 

12歳から13歳(誕生日により差異はある)、

ランドセルを背負わなくなって、

かわりに学ランを着た途端ぺーぺーになる。

僅か二歳違いの三年生は矢鱈おとなである。

一年坊はひたすら走らされて、あとは声出し

・・・このペースだと大河小説になるから

ザックリと、はしょるけれど。

そんな新入生同士でも上手い下手は明確。

けれど期待されながら消えてゆく者、

目立たなかったのに努力によりレギュラー、

と僅か三年の間にドラマがあって、カジは後者。

 

そして吹奏楽部のカー子と仲が良かった。

そうそう、のちに美容師になったカー子は

鋏を握る時間は短く、かなり早く結婚したのだが、

それはまた別の話になる。

 

で、何本か一緒に芝居を観て、既に働いていたカジから

社会人の話を聞き、大いに勉強になったりもした。

シアタートップスが多かったか。

なので新宿東口の店で、茶をしばくこともあった。

その何度目かで、店を出て階段を下りて数段、

カジはバランスを崩し、僕はその体を捕まえ損ね、

「あ~あ~あ~」と数メートル階段落ちをした。

 

冒頭の彼女は、足からお尻をつく格好でこけたが、

カジは反転して頭から仰向けに滑って行った。

 

バスケで鍛えた身体能力のお陰か、奇跡的に無傷。

後頭部を打ったりもしなかった。

「いって~っ」と、コートで交錯したあと立ち上がる、

そんな感じで彼女は踊り場にすっくと立った。

 

その絵を「あー」は思い出させた。

それから暫くしてカジも結婚した。

ミイラ取りがミイラになって、今僕が

演劇界の片隅にいることを知っているのだっけ?

 

 

突然に意味不明な写真。

今は母が一人で住む集合住宅の管理人室の隣の

ちっちゃな公園にある土管からの、ブランコ。

 

母が倒れて、どうやらもう此処には戻れないので

部屋の片付けに訪れた。……と言っても大方は、

父の土建業を継いだ弟の差配で、

トラックから人から揃っているので、

僕は黙々と自分の部屋を整理した。

 

それこそ中学の卒業アルバムやら文集やら

お宝がザックザクである。つづく。

 

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