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安住洋子著 「夜半の綺羅星」

2023年12月14日 13時51分30秒 | 読書記

図書館から借りていた、安住洋子著 「夜半の綺羅星(よわのきらぼし)」(小学館)を、読み終えた。3年前に読んだ、安住洋子著 「しずり雪」の姉妹編?のような作品で、いつか読んでみたいと思っていた作品だった。本書には、表題の「夜半の綺羅星」の他に、短編「福良雀(ふくらすずめ)」が、収録されている。


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安住洋子著 「しずり雪」
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「夜半の綺羅星」

▢主な登場人物
達造(下っ引き、後の友五郎)、茂平、
文治郎(達造の実父)、与兵衛(達造の継父)、お千加(達造の母)、佐喜蔵(達造の義弟)、
お光(達造の義妹)、おたえ、
友蔵(岡っ引き)・お松、省五(下っ引き)、仙太(下っ引き)、おしの、
伝平(岡っ引き)、幸吉(下っ引き)
亀次、黒子の男、小七曜(盗賊団)、作乃助、
五十幡真吾(お習い同心)、
庄吉、
広沢市之進、君江、おりょ、
▢あらまし
老舗紙問屋富田屋の跡取りとして生まれた達造だったが、継父与兵衛との折い合いが悪く、心はすさむばかりで、そんな達造の気持が安らぐのは、下働きの奉公人おたえとの一時だった。夜泣きする妹お光の子守するおたえと、聖展稲荷で満天の星を見上げながら二人は幼い心を通わせていたが、やがて身を持ち崩した達造は家を出てしまい、上野黒門町の岡っ引き友蔵の下っ引きとして捕り物に日々を送っている。
江戸の町を跳梁する凶暴な盗賊一味小七曜を追う内に、その魔手は、下っ引き仲間省五の命を奪い、ついには実家富田屋にも及び、・・・・。そしておたえが・・・。仲間の下っ引き省五が殺され、もがきながら懸命に探察と続け、終盤の捕物場面は息を呑む。一連に事件が片付いて、気がつくと、達造とおたえとおりょ。
「終章」で、友五郎となった達造と仙太が再会し、再び別れるシーンが有るが、しみじみした余韻が残る。何故?。「序章」で、登場するおりょとは、、片腕の無い爺さんとは?、岡っ引きの父親とは?、煮売リ屋の母親とは?、妹とは?。「(一)」~「(十)」で、、20年前に起こった事件を、振り返るような構成になっている。江戸の底辺で生きる市井の人々の哀歓や情緒を、情感あふれる文体で描いた、清新で心あたたまる人情時代小説であると思う。


「福良雀」

▢主な登場人物
宗太(根付師)、左平(根付師、銘=光定)、
弥七(根付師)

友五郎(岡っ引き)、
お仙、伊助、吉次郎、

▢あらまし
本所竪川二つ目橋、林町の実家を飛び出して半年、浅草三間町の裏店で暮らしている宗太には、大川に架かる吾妻橋は長くて、なかなか渡れず逡巡しているところがあった。同居している弥七がいない夜、宗太を訊ねてきたのは、幼い頃から見知っていた松井町の親分岡っ引きの友五郎だったが・・・、「この根付、誰が作ったか、分かるか?」・・・。
宗太は、懐から父親左平の作った福良雀の根付を取り出し、弥七に渡した。「じゃな」。
宗太は、一気に橋を駆け抜けていった。


著者 安住洋子 プロフィール

1958(昭和33)年、兵庫県尼崎市生れ。1999(平成11)年、「しずり雪」で長塚節文学賞短編小説部門大賞を受賞。2004年、中短編集『しずり雪』でデビュー。著書に『夜半の綺羅星』『日無坂』『いさご波』『春告げ坂―小石川診療記―』がある。


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