新潮文庫 昭和三十四年
百日間、エッセイを連作で綴った、名作。
出久根達郎氏の解説にもある通り、その文氏
独特の言い回しが、とても読んでいて近しい
ものを感じさせるのではないか、と思う。
風のことや、日常生活をしている上での気づき、
そういう点から云って、決して名作を描くのに
何かしら特別な体験と云うものは必要ないので
はないか、と思えて来る。そこには、平凡で凡
一な暮らしがあるのみだ。そして、言葉と云う
ものが簡略化されその表現の豊かさが失われて
しまったことは、生活自体を色褪せたものにして
しまったような気がする。
(読了日 2025年1・7(火)5:57)
(鶴岡 卓哉)