古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

終の住処(ついのすみか)   磯崎憲一郎

2016-08-18 06:20:19 | 小説の紹介
新潮文庫。第141回芥川賞受賞。


しがないサラリーマンが女にモテてしょうがない、


というのも首をひねらざるをえない。また11年口


を利かなかったとあるが、果たしてそんなことが


可能か疑問に思わざるを得ない。不自然なことが


多すぎるのである。文章もわざとむずかしく書い


ている節がある。とはいえ、それはこの小説とい


う手法そのものが「フィクション」であるという


ことに尽きるのである。すべては作り事……そうな


のだ、この作品は作者のイメージをすべて肯定し


ていたのだ、と気づかされる。


ペナントでは少年時代のペナントとここちいいベッ


ドが描かれ、イメージの放埓さが窺われる。そこでも、


イメージ全てが肯定されていることが分かるだろう。


我々はすべてイメージすることを否定してはいけない


のである。
コメント
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