1988年 講談社文庫
アジアを中心にリポートを80、90年代を中心に
書いていた前川氏だ。
90年代はバックパッカーの全盛時代で、若者はこ
ぞってアジアに繰り出していた。
ボクはそんな90年代にニューヨークに行ったきり、
日本にとどまり、苦痛に顔をゆがめていた。苦痛と
いうのは病気ではなく、人災である。ボクはあまり、
優しい人とか、いい人に巡り合う機会に恵まれない、
小学生のころからそれは感じていて、暴力ばかり振
るう鬼のような教師とか、そんなような人にばかり
出会ってきたから、たまに優しい人に出会って感激
すると、ただのおバカだったりするから残念だ。
あぁ、そうだ、前川氏の本だった。この本は表現がス
ゴく凝っていて、飽きさせない。文学的見地からみる
と、そうだが、アジア人類学上で言うと、あまり信用
はしてはいけないようである。……合掌。
(鶴岡 卓哉)