「ディック傑作集2」所収 スタートリング・ストーリーズ誌1955年冬季号
レクサーⅣから帰ってきた、レスターヘリックは別人だった。本人
のいうところの人間とはなんぞやの答えがここにあるという。それ
は人に親切であれ、という気質であるらしいのだが。
そして、本当にレスター・ヘリックはうっちゃられてしまうのだ。
どこかで生きているらしいのだが、ジルはレクサー星人をとった。
そうだよ、女の人はきつくてやりきれない人より優しい人がいいの
だ、とP・Kは考えているようだ。それは、人間らしさ、というより
生物の持つ本質というようなもののようである。でも、レスター
・ヘリック氏にはそれがなかった。実に人間味の欠けた人物だった
というわけである。
どこで生まれようが、どこの生物だとかは関係ない、ネコでも犬でも
穏やかなのがいちばんよい、ということらしい。……合掌。