「乳の海」所収。
八三年、冬の気配が漂い始めた秋のある日の午後、
その青年とエレベーターで玄関ホールまで降りた
ところで出逢った。
中肉中背で坊っちゃん風のこれといって特徴のない
どこにでもいる青年だった。
その青年の独白めいたものが続き、母上に
過保護に育てられ、自閉症になり、ついに
チワワと同等に扱われるのがイヤで家を飛
び出してきた、というんであるな。
まあ、程度の差こそあれ、現代の男というものは
ハハという業を背負って生きていかねばならない
と思う。
どうそれを処するかが、これが男というものの、
覚悟というかね、そういうものの違いなんだろうな。
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