古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

植民地     フィリップ・K・ディック

2021-02-04 12:26:43 | 小説の紹介

大瀧啓裕・訳   「ディック傑作集1」所収。

 

植民地の星に入植した一行。そこで、無機物に擬態する

 

生物に遭遇する。絨毯、顕微鏡、クルマにまでも擬態す

 

るやつら。そして、ラスト、なにも持って出なければ、大

 

丈夫でしょう、と、裸になって、救助の巡洋艦に乗るが……。

 

その巡洋艦までもが擬態したやつらだったという、オチ、

 

ネタバレでした。それでも、P・Kは読んでいるだけで楽しい

 

のだから、かまわないではないか、という気がしてくる。……

 

合掌。

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にせもの   フィリップ・K・ディック

2021-02-03 16:20:52 | 小説の紹介

大森望・訳  「ディック傑作集1」所収。 ハヤカワ文庫。

 

前にどこかで読んだことがあるのを思い出した。オルハムという

 

男になりすましているアンドロイドを追うピーターズ。何度も逃

 

げられて、オルハムは自分はオルハムだと信じ込んでいる。森で火

 

事があった、と妻からきいたのをおもいだして、そこに宇宙船が不

 

時着して、アンドロイドは死んだ、とおもったと、ピーターズは

 

おもいつめ、その宇宙船の中に死体を見つけ、ネタバレになるが、

 

オルハムはオルハムじゃなかった。暗号で爆発するという爆弾は最後

 

に爆発し、「その爆発は、遠くアルファ・ケンタウリからも見えた」

 

チャンチャン。

 

SFのいいところは、そのストーリーに読んでいる間、自分を埋没させる

 

ことができる点だ、いや、SF、じゃないな、P・Kだからこそ、行間に

 

自分を追うことができるのだ。……合掌。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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報酬   フィリップ・K・ディック

2021-02-02 04:24:05 | 小説の紹介

浅倉久志・訳   「ディック傑作集1」所収。

 

二年間、機械の整備工として働き、その間の記憶は消される。

 

契約を終えたジェニングスはいくつかのがらくたを現金のかわ

 

りに受け取る。そのがらくたどもを武器にレスリックという

 

会社のタイム・スクープというかつて自分が関わっていた

 

装置についてせまっていく。社会は管理社会の末期でサンクチ

 

ュアリは会社にしかない世界。タイム・スクープを開発してい

 

ることがバレると、警察機構に会社を取り上げられ、潰されて

 

しまう、というのを傘に、ジェニングスはレスリックを脅そう

 

とするが、がらくたはかつての自分がタイム・スクープでみて、

 

必要だと思ったものたちで、次々とピースがはまっていく。

 

ケリーという女性が手助けしてくれる。これはネタバレだが

 

レスリックの社長の娘はケリーだった。最後、証拠をケリーに

 

預けておいたのだが、父にいずれ返すからあなたの力にはなれ

 

ない、というケリーの前で預かり証の半券はぽっかりと空いた

 

穴からかぎ爪に奪い取られ、身内だけの会社だというレスリックを前に

 

ケリーに求婚して終わる。

 

カラッとしていて、楽しい短編だ。冒険活劇を読んでいるような

 

楽しさがった。……合掌。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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変種第二号    フィリップ・K・ディック

2021-02-01 03:58:43 | 小説の紹介

「ディック傑作集1」所収。  ハヤカワ文庫

 

ソ連軍とアメリカ軍が戦争していたが、そこへ、クロ―

 

と呼ばれるマシン的なものが入りこんで、それとの戦いに

 

なってゆく。元々クロ―はソ連が開発したものだが、自立

 

して、攻撃してくるようになった。それが人間型のサイボ

 

ーグを作るようになって、ヘンドリックスの前に少年が現れ

 

るのだが、それがサイボーグだった。変種第二号っていうの

 

はなんだ、っていうのではなしはすすみ、ネタバレになるけど

 

タッソーって女が実は変種第二号で、ヘンドリックスが乗るは

 

ずだったロケットに乗ってしまい、人間の最後の砦、月基地(

 

ムーン・ベース)さえも、タッソーによって襲われてしまう、

 

という。荒涼とした世界観といい、マシン的な存在といい

 

ちょっとターミネーターを感じさせる。

 

荒んだ気持ちになりたいときは(そんなときあるのか?)

 

読むといいかもね。……合掌。

 

 

 

 

 

 

 

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