「エデンの命題」 島田荘司 カッパノベルス
先日この本を書店で見つけて、愕然としたのです。
これ、2005年の1月に出た本なんです。
自称島田荘司ファンとしては、新刊が出て、買わないわけがないのですが、
どうもこれは見落としていたみたいなのです。
・・・最低でも週に一度は本屋に行くのに・・・。
こんなこともあるんですねえ・・・、ちょっとショック。
まあ、それでも、今回偶然見つけて、ちょっと得をした気分ではあります。
さて、この本は最近島田氏が手がけている「21世紀本格」に属するといっていいでしょう。
最先端のテクノロジーをとりいれたミステリ。
2話収録されていまして、後半の「ヘルター・スケルター」は、まさに、
同じカッパ・ノベルスの「21世紀本格」に収録されていたもの。
こちらは読んでいます。
で、初めてお目にかかるのがこの「エデンの命題」。
クローン技術がテーマとなっています。
旧約聖書にて、神はアダムの肋骨からイブを作ったとされていますが、
クローン技術を用いたとして、それは可能か・・・?
そんな話が載っています。
主人公のザッカリ・カハネは、実はある人物のクローンで、
しかし、そのクローンとしてのコピーの段階で、狂いが生じ、
アスペルガー症候群となってしまった・・・という想定。
ちょっと怖いですね。
元の人物の、病気の時のための身体ストックとしてのクローン、
という設定は、「アイランド」という映画の中にもありました。
クローンといっても、きちんとした人格のある一人の人間ですから・・・。
そこが最大のネックなのですね。
まあ、今はまだそこまでの技術はない・・・、
いえ、本当にないのでしょうか。
実は、現実のものになっていて・・・なんていう話がありそうでいやだな・・・。
ところがこれは、ミステリ作品だけあって、実はちょっとしたダマシがあるのです。
眉にツバを付けて読むべし。
アスペルガー症候群の方は、「モーツァルトとクジラ」という映画の中にくわしい。
これは障害というよりは、極端な個性、というべきもののようなのですが、
この映画を見ると、結構理解が進みます。
どうも、島田氏の作品でいろいろ学習してしまう私です。
満足度★★★★