旅の道中で思うこと
* * * * * * * *
藤沢周平作品は、つい見てしまいます。
だいたいいつも似たようなパターンなんですけどね。
武士が理不尽な藩命に従わなければならない、その心の葛藤。
けれど、今も昔も変わらず鄙びて美しい山形の風景は、
遥かに遠い江戸時代をしのぶのに、
とてもマッチしている気がします。
戌井朔之助(東山紀之)は海坂藩に仕える武士。
彼に、脱藩した佐久間森衛を討つよう藩命が下ります。
佐久間は朔之助と同門の親友で、
しかも妹・田鶴(菊地凛子)が彼の元に嫁いでいる。
非常に気が重いけれど断ることができず、
朔之介は奉公人の新蔵を伴い、江戸へ向かいます。
ヒガシの演じる朔之介は、ストイックでさほど苦悩せず
淡々と勤めを果たそうとしているように見えます。
言葉も、あの木訥とした山形弁ではなくて標準語なのは、かっこはいいのですが、
ちょっと残念。
・・・私としては「たそがれ清兵衛」スタイルの方が好きなのです。
この作品は、朔之助の武士としての苦悩よりも、
幼い頃から一つ屋根の下で暮らし、一緒に遊んで過ごした
朔之助、田鶴、新蔵の心の有り様の方に焦点が当てられているように思います。
海坂藩から江戸までおよそ10日の道のり。
徒歩ですからね。
昔の人は足が丈夫だったんでしょうね・・・。
たいていの時代劇はこうした移動シーンはあっという間ですよね。
だから江戸時代の旅の苦労などあまりよくわかりません。
でもこの作品、この旅の道中がとても丁寧に描かれているのです。
というのは、朔之助と新蔵は旅の道すがら、
いろいろな思いにとらわれるのです。
これから果たさなければならない使命のこと。
佐久間と出会えたとして、どう攻略するのか。
田鶴も剣の遣い手であるので、きっと刃向かってくるに違いないけれど、どうするか。
そしてまた、三人が子供の頃のこと・・・。
ゆったりと、しかし緊張感を含んだこの旅を、
カメラはじっくりと映し出していきます。
勝ち気な田鶴を、いつも控えめに見守るようにしていた新蔵。
私は何だかオスカルとアンドレを思い出してしまいました・・・。
(違いすぎますか?)
身分の差故に、口に出しては言えない思い。
甘酸っぱくも切ないそんな思いが、胸にしみます。
さてさて、それにしてもヒガシのお侍姿、
なんと端整で似合っているのでしょう!
正にお醤油顔ですものね。
何故かちゃんと水浴びシーンもあって、
鍛えられた肉体も拝見できるというサービスもあり・・・。
でもね、彼は宿で一人でいるときも正座してるんです。
本当に、昔のお侍もそんな風だったのでしょうか?
いくら武士でもそれはないんじゃないか・・・?
せめて一人でいるときくらい、寝転がって鼻でもほじっていて欲しい。
この作品は、そういう意味できちんと整いすぎた感じがしますね。
それがヒガシのイメージではありますが・・・。
どうせなら山形弁で、もっと生活感のあるヒガシを出してもらえたら・・・
うんと面白かったような気がします。
「小川の辺」
2011年/日本/103分
監督:篠原哲雄
原作:藤沢周平
出演;東山紀之、菊地凛子、勝地涼、片岡愛之助、小野真千子
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藤沢周平作品は、つい見てしまいます。
だいたいいつも似たようなパターンなんですけどね。
武士が理不尽な藩命に従わなければならない、その心の葛藤。
けれど、今も昔も変わらず鄙びて美しい山形の風景は、
遥かに遠い江戸時代をしのぶのに、
とてもマッチしている気がします。
戌井朔之助(東山紀之)は海坂藩に仕える武士。
彼に、脱藩した佐久間森衛を討つよう藩命が下ります。
佐久間は朔之助と同門の親友で、
しかも妹・田鶴(菊地凛子)が彼の元に嫁いでいる。
非常に気が重いけれど断ることができず、
朔之介は奉公人の新蔵を伴い、江戸へ向かいます。
ヒガシの演じる朔之介は、ストイックでさほど苦悩せず
淡々と勤めを果たそうとしているように見えます。
言葉も、あの木訥とした山形弁ではなくて標準語なのは、かっこはいいのですが、
ちょっと残念。
・・・私としては「たそがれ清兵衛」スタイルの方が好きなのです。
この作品は、朔之助の武士としての苦悩よりも、
幼い頃から一つ屋根の下で暮らし、一緒に遊んで過ごした
朔之助、田鶴、新蔵の心の有り様の方に焦点が当てられているように思います。
海坂藩から江戸までおよそ10日の道のり。
徒歩ですからね。
昔の人は足が丈夫だったんでしょうね・・・。
たいていの時代劇はこうした移動シーンはあっという間ですよね。
だから江戸時代の旅の苦労などあまりよくわかりません。
でもこの作品、この旅の道中がとても丁寧に描かれているのです。
というのは、朔之助と新蔵は旅の道すがら、
いろいろな思いにとらわれるのです。
これから果たさなければならない使命のこと。
佐久間と出会えたとして、どう攻略するのか。
田鶴も剣の遣い手であるので、きっと刃向かってくるに違いないけれど、どうするか。
そしてまた、三人が子供の頃のこと・・・。
ゆったりと、しかし緊張感を含んだこの旅を、
カメラはじっくりと映し出していきます。
勝ち気な田鶴を、いつも控えめに見守るようにしていた新蔵。
私は何だかオスカルとアンドレを思い出してしまいました・・・。
(違いすぎますか?)
身分の差故に、口に出しては言えない思い。
甘酸っぱくも切ないそんな思いが、胸にしみます。
さてさて、それにしてもヒガシのお侍姿、
なんと端整で似合っているのでしょう!
正にお醤油顔ですものね。
何故かちゃんと水浴びシーンもあって、
鍛えられた肉体も拝見できるというサービスもあり・・・。
でもね、彼は宿で一人でいるときも正座してるんです。
本当に、昔のお侍もそんな風だったのでしょうか?
いくら武士でもそれはないんじゃないか・・・?
せめて一人でいるときくらい、寝転がって鼻でもほじっていて欲しい。
この作品は、そういう意味できちんと整いすぎた感じがしますね。
それがヒガシのイメージではありますが・・・。
どうせなら山形弁で、もっと生活感のあるヒガシを出してもらえたら・・・
うんと面白かったような気がします。
「小川の辺」
2011年/日本/103分
監督:篠原哲雄
原作:藤沢周平
出演;東山紀之、菊地凛子、勝地涼、片岡愛之助、小野真千子