失われた獣性を取り戻して・・・
* * * * * * * *
この作品は、以前見ていましたが、
このたび、ジャレット・レトが出演していたということで、再見。
その彼は、ほんのチョイ役で、別に感想を述べるほどのことでもなかったのです。
でも、それにしても、以前私は何を見ていたんだっ!!
と驚きあきれてしまいました。
この作品中最もキモであるタイラーの正体だけは覚えていたのですが、
その他のストーリーは忘れ果てていましたね・・・。
確かに、タイラーの正体は衝撃的ですが、
この作品、現代社会に生きる私たちの失われた野生を語る
・・・とでもいうのでしょうか、
根源にもっと深いテーマを持っているのでした。
主人公(エドワード・ノートン)は不眠症に悩む青年。
その彼が、あるときタイラー(ブラッド・ピット)という男と出会います。
タイラーは突然「俺を殴れ」といい出し、
二人で殴り合いが始まります。
そんなことから、夜な夜な殴り合いの試合が繰り広げられる
「ファイト・クラブ」という秘密の集会が始まるのです。
しかし、タイラー率いるその集団は、
次第に拡大・暴走し、テロ集団へと変貌していく・・・。
巨大な経済社会の中で“消費”に踊らされ、
本来的な『生きる』意味を失われた現代社会の私たち。
それはこの作品中では、ほとんど「去勢されている」とでもいうべきでしょうか。
タイラーは、その失われたものの象徴なのでしょうね。
それは、「考える葦」としての人間ではなくて、
もっと根源的で「動物」的な生きる力。
しかも、“男性”性です。
圧倒的に暴力的でセクシー。
素手で殴り合い、骨をきしませ、血を流し、痛みを実感することで、
男たちはその失われた獣性を取り戻す。
その思いの行き着く先は、
この現代社会の象徴である巨大なオフィスビルを破壊すること
・・・と、そういうことなのだろうな。
こんな中で登場する女性はただ一人。
彼女も主人公と同じく不眠に悩んでいる。
が、しかし、彼女の存在は、男たちの暴走を引き戻すという役割なんですね。
いつの世も女の役割はそういうところか。
ただ、元々の現代社会に適応しないという彼女の設定により、
完全に秩序を取り戻す、というところまでは引き戻さない。
実によく出来ている構成です。
「セブン」とこの「ファイト・クラブ」で脚光を浴びた
デビッド・フィンチャー監督。
最近傾向の異なる「ソーシャル・ネットワーク」でまた、注目を集めました。
そして、次作はあの「ドラゴン・タトゥーの女」ハリウッド版リメイク。
元の作品があれだけいいのに、リメイクなんて・・・と思っていたのですが、
デビッド・フィンチャー監督となれば、にわかに楽しみになってきました。
これは期待していいのではないでしょうか。
1999年/アメリカ/139分
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ブラッド・ピット、エドワード・ノートン、ミート・ローフ、ヘレナ=ボナム・カーター、ジャレット・レト
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この作品は、以前見ていましたが、
このたび、ジャレット・レトが出演していたということで、再見。
その彼は、ほんのチョイ役で、別に感想を述べるほどのことでもなかったのです。
でも、それにしても、以前私は何を見ていたんだっ!!
と驚きあきれてしまいました。
この作品中最もキモであるタイラーの正体だけは覚えていたのですが、
その他のストーリーは忘れ果てていましたね・・・。
確かに、タイラーの正体は衝撃的ですが、
この作品、現代社会に生きる私たちの失われた野生を語る
・・・とでもいうのでしょうか、
根源にもっと深いテーマを持っているのでした。
主人公(エドワード・ノートン)は不眠症に悩む青年。
その彼が、あるときタイラー(ブラッド・ピット)という男と出会います。
タイラーは突然「俺を殴れ」といい出し、
二人で殴り合いが始まります。
そんなことから、夜な夜な殴り合いの試合が繰り広げられる
「ファイト・クラブ」という秘密の集会が始まるのです。
しかし、タイラー率いるその集団は、
次第に拡大・暴走し、テロ集団へと変貌していく・・・。
巨大な経済社会の中で“消費”に踊らされ、
本来的な『生きる』意味を失われた現代社会の私たち。
それはこの作品中では、ほとんど「去勢されている」とでもいうべきでしょうか。
タイラーは、その失われたものの象徴なのでしょうね。
それは、「考える葦」としての人間ではなくて、
もっと根源的で「動物」的な生きる力。
しかも、“男性”性です。
圧倒的に暴力的でセクシー。
素手で殴り合い、骨をきしませ、血を流し、痛みを実感することで、
男たちはその失われた獣性を取り戻す。
その思いの行き着く先は、
この現代社会の象徴である巨大なオフィスビルを破壊すること
・・・と、そういうことなのだろうな。
こんな中で登場する女性はただ一人。
彼女も主人公と同じく不眠に悩んでいる。
が、しかし、彼女の存在は、男たちの暴走を引き戻すという役割なんですね。
いつの世も女の役割はそういうところか。
ただ、元々の現代社会に適応しないという彼女の設定により、
完全に秩序を取り戻す、というところまでは引き戻さない。
実によく出来ている構成です。
「セブン」とこの「ファイト・クラブ」で脚光を浴びた
デビッド・フィンチャー監督。
最近傾向の異なる「ソーシャル・ネットワーク」でまた、注目を集めました。
そして、次作はあの「ドラゴン・タトゥーの女」ハリウッド版リメイク。
元の作品があれだけいいのに、リメイクなんて・・・と思っていたのですが、
デビッド・フィンチャー監督となれば、にわかに楽しみになってきました。
これは期待していいのではないでしょうか。
![]() | ファイト・クラブ [DVD] |
ブラッド・ピット,エドワード・ノートン | |
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント |
1999年/アメリカ/139分
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ブラッド・ピット、エドワード・ノートン、ミート・ローフ、ヘレナ=ボナム・カーター、ジャレット・レト