映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ジャッキー・コーガン

2013年10月30日 | 映画(さ行)
アメリカンドリームは何処へ・・・?



* * * * * * * * * *

本作の原題は“Killing Them Softly”優しく殺す・・・、
これはブラピ演じる殺し屋ジャッキー・コーガンのモットー。
とくれば、もう少し肌触りの柔らかいストーリーかと思いきや、
非常にハードなストーリー。
正義などどこにもない、裏社会の物語です。



悪党たちの内輪の賭場を、
その胴元マーキーがチンピラを使って自ら襲撃して金を略奪。
そういう事件が先にあった。
そのことは、ほとぼりが冷めた頃に
マーキーが酔った勢いで皆に打ち明け、笑い話で終わった。
それに目をつけ、
同じことをして稼ごうとする男がチンピラ二人を雇い実行。
今度の事はマーキーはあずかり知らぬことなのだけれど、
皆の疑惑の目は彼に向かう。
こんな物騒な連中の中で疑惑を受けること=死なのだが・・・。



これらの内紛の後始末を引き受けるのが、殺し屋ジャッキー・コーガン。
彼には独特のスタイルがあり、
殺す相手に泣いてすがられたりするのが一番嫌い。
だからできるだけ相手に悟られないように殺す。
でなければ、誰か他の殺し屋をさらに雇う。
しかしこのたび呼び寄せた殺し屋は、
もとすご腕かもしれないけれど、酒と女びたりのどうにもならないやつだったりする。
ジャッキーのスマートさが強調されますなあ・・・。



セクシーでニヒルな殺し屋
ブラピはやはりカッコイイ。
けれど、このストーリー、
一体誰が悪党なのやら、そうでないのやら混沌としています。
結局一番のワルはジャッキーなのかも・・と思えてくる。
何も落ち度がないのに殺されてしまうマーキーの立場は・・・?


本作中に終始挿入されるのは、大統領選に挑むオバマ氏の演説シーン。
いたるところで映しだされるTVで、彼の理想社会が語られます。
その裏側で、このなんとも薄汚い抗争劇が進行している。



アメリカンドリームは何処へ・・・?
なかなか皮肉な現実を映し出しているのでした。
ラストでジャッキーがうそぶきます。
「アメリカは国家ではない。ビジネスだ。」

ジャッキー・コーガン [DVD]
ブラッド・ピット,レイ・リオッタ,リチャード・ジェンキンス,ジェームズ・ガンドルフィーニ,サム・シェパード
Happinet(SB)(D)


「ジャッキー・コーガン」
2012年/アメリカ/97分
監督:アンドリュー・ドミニク
出演:ブラッド・ピット、リチャード・ジェンキンス、ジェームズ・ガンドルフィーニ、レイ・リオッタ、サム・シェパード

無法度★★★★☆
ブラピの魅力度★★★★☆
満足度★★★☆☆