映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

フリージア

2013年10月12日 | 西島秀俊
血みどろセンチメンタル



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これは松本次郎作コミックの映画化なんですね。
犯罪被害者が加害者を処刑することができる“敵討ち法”が成立した近未来日本が舞台。
お~!! 西島作品でこういうのは珍しい。・・・SF?
SFというか・・・敵討というから、時代劇かあるいは西部劇。
そんな雰囲気を覚悟したほうが面食らわないかもしれない。
もちろん、被害者側の本人が敵討をしても構わないのだけれど、
“執行代理人”を立てることも法で認められている。
そして加害者側も“警護人”を雇うことができる。
お金がない時は安い「国選」の“警護人”となるけど、
これはちょっと頼りない・・・。
警護人が敗れれば確実に自分が殺されるわけで・・・。
うむ、この設定は色々なドラマができそうだよね、確かに。



さて、本作の主人公となるのは“執行代理人”のヒロシ(玉山鉄二)だ。
彼は15年ほど前、少年兵だった頃にうけたトラウマで
感情も感覚も持たないという、特殊なヤツ。
表情を変えることなく、黙々とターゲットを処刑する。
そんな彼のある時のターゲットが、トシオ(西島秀俊)なんだね。
実は彼はヒロシと同じく以前少年兵で、
しかもヒロシの上官だったんだね。
二人はその時、軍による冷却爆弾の実験に加担してしまい、
多くの子どもたちを死なせてしまった。
そのことで心に深いキズを負っていたワケ。
この二人がはからずも、対決する運命となってしまう・・・。
何やら、血みどろでありながら、センチメンタルなのだなあ・・・
不思議な味わいのある作品でした。


陰りのある男、西島秀俊、カッコイイ~。
陰りがありすぎなくらいだったけど・・・。
西島さんはもちろんかっこよかったけど、
玉山鉄二さんもステキだったねえ。
本作は、西島氏つながりでなければ決して見ないジャンルだったと思うけれど、
まあ、たまにはこういうのも良かったです!

フリージア [DVD]
玉山鉄二,西島秀俊,つぐみ
バンダイビジュアル


「フリージア」
2006年/日本/103分
監督:熊切和嘉
原作:松本次郎
出演:玉山鉄二、西島秀俊、つぐみ、三浦誠己、柄本佑

近未来度★★★★☆
西島秀俊の魅力度★★★★★
満足度★★★☆☆