映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

タイピスト!

2013年10月09日 | 映画(た行)
1950年代が舞台でも現代人のための物語



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1950年代、フランス。
当時の世相、インテリア、ファッション、ノスタルジーにあふれた作品です。
故郷の田舎町を飛び出してきたローズ。
当時の女性のあこがれの職業秘書。
彼女は夢かなって、保険会社に就職しましたが・・・。
ちょっぴりドジなローズは、上司のルイに「秘書に向いていない」と宣言されてしまいます。
けれど、彼女のただひとつの特技、タイプライターの早打ち。
それをみとめられ、選手権で勝てばクビにするのは見逃そうということに・・・。
実はその時ローズは確かにタイプの早打ちができたのですが、
左右の人差し指だけで打っていたのです。
やはり、5本指の人にはかないません。
そこでルイがコーチとなり、5本指早打ちの特訓開始。
地方大会、フランス大会と勝ち進み、
ついには全国大会出場のため、ニューヨークへ・・・。
厳しい特訓を共にするうちに、ローズにはルイへの愛が芽生えていくのですが・・・。



ちょっぴりドジな女の子が、
厳しいコーチに導かれて、特訓につぐ特訓。
禁断のコーチへの愛のゆくえは・・・。
と、日本ではよくある物語なんですが、
おフランス仕立てとなれば、なんともオシャレで楽しめてしまいます。
デボラ・フランソワの見せる当時のファッションが、なんとも可愛らしい







コメディではありますが、まだ戦争の爪痕が残っていて、
実はルイにも辛い思い出があるという背景もまたいい。
戦争で受けた災害や心のキズから、なんとか立ち上がっていこうとする当時の社会の活気のようなもの。
そのようなものも感じられます。
昭和の日本も同様でしたね。


タイプライターは私も中高生くらいの時に使ったことがあります。
と言うか、おもちゃみたいな感じでした。
実用で使うはずももちろんありませんし、
ローズのように一本指で、ローマ字文を打って遊んでいた・・・。
パソコンのキーボードのように軽くはないので、
実際ローズのような早打ちをしようと思ったら、体力が必要なのでしょう。
指の負担が凄そうな気がします。
パチパチ・・・チーンというあのリズミカルな音が魅力的。



ノスタルジーを絡めたストーリーながら、
夢を叶えようとする女の子。
そして、意地悪なようでいて実は優しくてナイーブで、そのあまり、愛には積極的になれない男。
男女の関係はやはり現代風です。
だから、1950年代が舞台でも現代人のための物語。


「タイピスト!」
2012年/フランス/111分
監督・脚本:レジス・ロワンサル
出演:ロマン・デュリス、デボラ・フランソワ、ベレニス・ベジョ、ショーン・ベンソン、ミュウ=ミュウ

50年代度★★★★★
ロマコメ度★★★★☆
満足度★★★★☆