映画と本の『たんぽぽ館』

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ひまわりと子犬の7日間

2013年12月12日 | 映画(は行)
それぞれの動物の歴史



* * * * * * * * * *

君子危うきに近寄らず・・・、
全然君子じゃないですが、
いかにも泣きそうな今作は公開時あえて避けていたのですが、
結局見てしまいました。
動物ものには全く弱い私です。



宮崎県の中央動物保護管理所であった実話を元にしています。
母犬と生まれたばかりの子犬が保健所に収容されました。
でも母犬は子犬を守るため近寄る人すべてに激しく威嚇します。
このまま規則の期限がすぎれば、
母犬も子犬も殺処分しなければなりません。
職員の神埼(堺雅人)は、
なんとかこの犬の心を開かせ、里親を見つけようと奮闘しますが・・・。



保健所の職員が、預かっている犬にいちいちこのように心を配っていては身が持ちません。
けれどこの犬の場合、神埼と娘の心の絆の問題が絡み、
そういう点では説得力があります。
動物にはこれまで生きてきた歴史がある。
それを理解すれば気持ちが通じあう。

というのが本作のテーマ。
そのため本作はこの母犬(ひまわり)の幸せな成長シーンから始まり、
その後野良犬となってしまってからのことは、
神埼の想像を映像として映し出します。
物言わぬ犬にも歴史があって、
こんなに人間に不信感を露わにするのは、やはりこれまでのことに原因がある。
犬を理解しようとする神埼の一生懸命さが
いつしか犬にも伝わっていくのですね。
やっぱり、涙、涙・・・でした。
犬好きの方なら子犬だけでなく、
このひまわりも、ものすご~く可愛く感じるはず。



それにしても、この犬の感情の捉え方がスゴイ。
これは犬の演技力なのか、
それとも、そういう一瞬の表情を逃さないスタッフの勝利なのか・・・。
まあ、おそらくは両方だと思うのですが、
ある時とうとう神崎の腕を咬んでしまったひまわりが
困った顔をしているのを私は確かに見て取りました。
嬉しい顔、悲しい顔、困った顔、怒りの顔、
こちらの思い入れというわけではなく、
犬の表情というのが確かにあると思います。

 

本作の堺雅人さんは、
私が以前まで持っていたイメージそのままなんですが、
昨今は「倍返し」のおかげで、ちょっとイメージが異なってきていますね。
私はこの、ちょっと優柔不断っぽい堺雅人さんも好きです。



ひまわりと子犬の7日間 [DVD]
堺雅人,中谷美紀,吉行和子,でんでん,若林正恭(オードリー)
松竹


「ひまわりと子犬の7日間」
2013年/日本/117分
監督:平松恵美子
出演:堺雅人、中谷美紀、でんでん、若林正恭、吉行和子

犬の表情の描写度★★★★★
お涙度★★★★☆
満足度★★★★☆