映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

リアル 完全なる首長竜の日

2013年12月31日 | 映画(ら行)
意識と幻想の迷宮

 


* * * * * * * * * *

本作は、原作を読んでとても面白く感じられたのもですが、
映画は見逃していたため、このたび見てみました。
ストーリーは原作とはかなり変えられていますが、
“センシング”という最先端の医療技術で
昏睡状態の人と意志の疎通を図る、というコンセプトは同じです。

→乾緑郎「完全なる首長竜の日」はこちら


幼なじみで恋人同士の浩市(佐藤健)と敦美(綾瀬はるか)。
敦美は1年前自殺未遂で昏睡状態になっています。
浩市は“センシング”により、敦美の意識の中へ入り込み、
彼女の自殺の真相を探り、彼女を目覚めさせようとします。

ところがセンシングを繰り返すうち、
次第に見覚えのない少年の幻覚を見るようになり・・・。



次第にどこまでが現実なのか、センシングの意識の中なのか
境界が曖昧になってきます。
しかし、そのセンシング中の、美しくも危うく仄暗いイメージが秀逸。
敦美が水浸しの部屋にいるシーン、
空き家のカーテンのゆらめき、
人でありながら人ではないフィロソフィカル・ゾンビたち。
不気味で不思議で・・・ゾクゾクさせられます。
そして何よりもCGの首長竜が美しい。



ストーリーはやや異なるものの、
原作の怪しく美しく幻想的な雰囲気がそのまま、
なかなか楽しめました。
本の中で印象に残った「波間に見える赤い旗竿」が映しだされた時に、
私はようやくおぼろげなストーリーを思い出した次第。
印象的で効果的なアイテムですね。



私には、綾瀬はるかさんの「新島八重」の印象が拭い難く、
今にも「さすけねえか?」と言い出しそうな気がしてしまって仕方ありませんでしたが。
(オダギリジョーも出てたし!)

リアル~完全なる首長竜の日~ スタンダード・エディション [Blu-ray]
佐藤健,綾瀬はるか
アミューズソフトエンタテインメント


「リアル 完全なる首長竜の日」
2013年/日本/127分
監督:黒沢清
出演:佐藤健、綾瀬はるか、オダギリジョー、染谷将太、堀部圭亮、中谷美紀
美しさ・不気味さ★★★★☆
満足度★★★☆☆