映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

夏の終り

2014年04月18日 | 映画(な行)
なぜかイライラ・・・



* * * * * * * * * *

本作を見る気になったのは、綾野剛さんが見たかったからに他なりません。
はじめの登場シーンがよかった。
おずおずとある家を訪ねる青年。
しきりに髪を直したり、襟を正したり、緊張の面持ち。
しかしそれは後ろ姿だけ。



さて、ところがその後はちっとも気持ちが盛り上がらなかったのだなあ・・・。
妻子ある年上の作家・慎吾(小林薫)と共に暮らす知子(満島ひかり)。
男は律儀に妻と知子の間を行き来していたのですが、
知子はそんな生活にも満足していたのでした。
しかしそこへ、かつて夫と子供を捨てて駆け落ちした相手、涼太(綾野剛)が現れる。
年上と年下、二人の男性の間で、微妙に知子の心が揺らいでいく・・・。



時代は昭和。
レトロです。
・・・でもなんだかあまりにもレトロでカビ臭いんですわ・・・。
なんだか見ているあいだ中イライラしっぱなし。
男の不実に安住している女・・・というのが私には耐え難い。
その上若い男と逢瀬を重ねるなどというのが許せんっ!
別に貞操観念を持ち出すほど自分の頭が古いわけではなく、
いまどきのドラマにだってよくありそうな話なのに、
なんでこんなにイライラするのかよくわかりません。
とにかく知子には全く感情移入も同情もできない・・・。
この知子が確信犯的にみだらで、悪女ならいいのですが、
どうもそういう感じでもない。
違和感。
本作、このテーマでありながら濡れ場らしきシーンが殆ど無いのです。
だから「情念」という捉え方はできず、では何なのか・・・? 
納得できません。
生活のための打算というなら余計興ざめ。



照明を抑えた映像はなかなか美しく、
この写真のように1コマ1コマを見ると、結構いいんですよ。
知子が染織家というところで、
カビ臭さの中に一筋、鮮烈さを放っておりましたが・・・。



綾野剛くんは、女に泣いて縋り付き、しかしやがて呆れて離れていく
・・・そういう普通の反応が、本作の中では一番納得できるのでした。
私が今までに見た綾野剛くんの中では一番良かったかも。
「そこのみにて光輝く」も、期待しています。

夏の終り [DVD]
満島ひかり,綾野剛,小林薫
バップ


「夏の終り」
2013年/日本/114分
監督:熊切和嘉
原作:瀬戸内寂聴
出演:満島ひかり、綾野剛、小林薫
満足度★★☆☆☆