映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「星間商事株式会社社史編纂室」 三浦しをん 

2014年04月07日 | 本(その他)
やる気のないメンバーが一つになって・・・

星間商事株式会社社史編纂室 (ちくま文庫)
三浦 しをん
筑摩書房


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川田幸代29歳は社史編纂室勤務。
姿が見えない幽霊部長、
遅刻常習犯の本間課長、
ダイナマイトボディの後輩みっこちゃん、
「ヤリチン先輩」矢田がそのメンバー。
ゆるゆるの職場でそれなりに働き、幸代は仲間と趣味(同人誌製作・販売)に没頭するはずだった。
しかし、彼らは社の秘密に気づいてしまった。
仕事が風雲急を告げる一方、友情も恋愛も五里霧中に。
決断の時が迫る。


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社史編纂室と聞けば、なにげに地味で、
辞書を編纂する「舟を編む」のような雰囲気を想像しましたが、ちょっと違いました。
こちらのほうがもっとコミカル路線です。
この星間商事の社史編纂室というのは、いわばこの会社内の左遷場所。
使いようがない人たちが寄せ集められた場所・・・。
「社史」についても実のところあまり期待されていません。
川田幸代29歳は、根が真面目で一生懸命なのですが、
あまり人には言えない「コミケの同人誌を作る」という趣味に没頭するため、
自ら閑職を希望したのでした。
それにしてもこのチームのやる気の無さにうんざり。
でもそれが仕事だからと、社史の資料集めに奔走。
そんな中である時期(イケイケドンドンのバブル期)の資料が非常に少ないことに気がつくのです。
当時を知る人にインタビューを試みても、はかばかしい話を得られません。
そのうちその調査への妨害行為までも現れて・・・。
彼らには逆に火がつくのですね。
何が何でも「正しい社史」を作るぞ!と。


うーん、こんなに暇そうでもちゃんとお給料がもらえるのなら、
私だってこんな会社に勤めたい!!
というのが第一の感想!
そして、今さら言うまでもありませんが、
三浦しをんさんの登場人物一人ひとりのキャラ立てが楽しくて、
するすると読めてしまいます。
コミケの様子などが描かれているのも楽しい!
(実際に行ったことはありませんが・・・)
そして、幸代と同棲中の風来坊の彼氏・洋平との関係の結末は・・・?

結婚の形に決まりがあるわけでなし。
こんなのもいいなあ・・・と私は思うのです。
少なくとも、結婚のために、ずっと関わって楽しんできた同人誌を捨てる
などということがあるのだったら・・・
結婚って、自分らしさを捨てること?
と思えてしまいます。
お互いに自分らしくありつつ、お互いを尊重しあえなければ意味が無い。
だからこそ、近頃結婚にこだわらない人が増えているということか・・・・


そんな恋愛模様もありながら、肩のこらないお仕事小説デシタ。


「星間商事株式会社社史編纂室」三浦しをん ちくま文庫
満足度★★★☆☆