映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

舟を編む

2014年04月22日 | 映画(は行)
いざ、言葉の大海原へ



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本作は、三浦しをんさんの原作を非常に面白く読んだので、
見るまでもないと思い、見ていなかったのですが、
日本アカデミー賞受賞作となればやはり見ないわけにも行きますまい・・・。



玄武書房の営業部に居た馬締(まじめ)(松田龍平)は、
新しい辞書「大渡海」を編纂する辞書編集部に引きぬかれます。
もともと言語学を学んでおり、真面目一筋の彼にはまさにピッタリの仕事だったのですが、
しかし、彼には人とのコミュニケーション能力が欠如していた!!
しかしそこは、この部署の先輩格、西岡(オダギリジョー)に呆れられ、導かれながら、
馬締は「言語の大海原」へ漕ぎだしたのでした・・・。
そして、香具矢という女性との出会い。
彼女に心惹かれながらも、伝える言葉が見つからない彼は・・・。


多くの言葉を扱う仕事をしていながら、実際にその言葉を使えないという馬締が、
周りの人々に支えられながら、次第に自己表現に心を配るようになっていく。
地道に物事を一つ一つ積み重ねていくことの大切さ。
そしてそれをやり遂げた時の充実感。
自己の成長。
お仕事小説の中でも、やはりピカイチのストーリーだと思います。
本作は原作よりもコミカル度を抑えてあるようです。
三浦しおんさんの原作にはもっと勢いがあるのですが・・。
でもまあ、題材が題材ですし、控えめなのが正解かも知れません。
いかにも辛気臭い職場の雰囲気が、映像だと非常によくわかります。
この作業、私なら30分続けたら眠くなるかも。



松田龍平さんの演技も相当抑え気味でした。
これはまあ、馬締がそういうキャラなのでね。
馬締の傑作なラブレターの内容とか、
西岡が辞書編集部の後輩たちに残したメッセージとか、
原作では目玉と思われるところがカットされていたのが残念。

私としては、やはり原作が良くて、
わざわざ映画をみるまでもなかったなあ・・・というのが結論です。
松田龍平さんの馬締は、ぴったりで、全く文句ありませんけれど。
本当に必要な映画化だったのか・・・?
そりゃ、人は集まりますから、必要なのでしょう。
でもみなさん、やっぱり本を読みましょうよ!!

舟を編む 通常版 [DVD]
松田龍平,宮崎あおい,オダギリジョー,黒木華,渡辺美佐子
松竹


「舟を編む」
2013年/日本/133分
監督:石井裕也
原作:三浦しをん
出演:松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、黒木華、小林薫、加藤剛
キャスティング★★★★☆
満足度★★★☆☆