映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ゲット・アウト

2017年11月03日 | 映画(か行)
池の底に沈み込んで、なすすべがない・・・



* * * * * * * * * *

黒人青年クリスは白人の彼女ローズの実家へ招待されます。
ローズはまだ家族に彼が黒人であることを話していないと言うので、
ちょっと緊張しています。
そのドライブの途上、突然鹿が飛び出してきて衝突。
いきなりの鹿の死という事件。
なんとも先行きに暗雲が立ち込めます。
さて、ローズの家族は、思いのほか普通にクリスを歓迎。
少し安心はするものの、けれども何かがおかしい。
この家の使用人の2人の黒人や家族たちの態度や表情に、
クリスは妙な違和感を覚えてしまうのです。







そして、ローズの母は催眠術を得意とするセラピスト。
禁煙のための催眠療法を受けてみないかとクリスは誘われますが・・・。



いやいやいや・・・。
若干荒唐無稽のようなオチにつながるストーリーではありますが、
それにしても怖いですね、これは。
雰囲気としてはM・ナイト・シャマラン監督でしょうか。
通常では理解できない人の心の思い込みや狂気。
そうしたものが私たちを恐怖の底に突き落とします。
クリスが催眠術にかけられて、体が動かず、
池の底に沈み込んでいくような感覚、その表現が実にうまい!



そしてちょっとショックなのは、ローズ。
彼女の立場についての伏線も何もなく、突然に・・・。
女は信用するな。
同じ色の友こそが信頼できる存在・・・。
って、ちょっと悲しいですけどね。
言葉では色々いいことをいいますが、実際の差別はなくならない。
そうした世間への痛切な皮肉の作品なのでした。
神経を逆なでするような音楽がまた、効果を上げています。

「ゲット・アウト」
2017年/アメリカ/104分
監督:ジョーダン・ピール
出演:ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ、ブラッドリー・ウィットフォード、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、キャサリン・キーナー

ミステリアス度★★★★☆
満足度★★★.5