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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

エイリアン3

2017年11月16日 | 映画(あ行)
打ちのめされるリプリー



* * * * * * * * * *

引き続きエイリアン、第3弾。
前作のラスト、救命艇で眠りにつき、また宇宙を漂う旅に出たリプリー。
今度はヒックス伍長とあの少女が一緒です。
どれくらいの間漂ったのか、その説明はなかったのですが、
救命艇にトラブルが発生し、男ばかりの囚人の惑星、フィオリーナに不時着します。
しかしそのショックでヒックスも少女も死亡。
リプリーがあんなに必死で守り抜いた少女がこんなにあっさり死んでしまうなんて・・・(T_T)
さてしかし、実はこの宇宙艇にはエイリアンが隠れ潜んでいた・・・。
あの、カニのような幼生エイリアンは、まず犬に張り付いて犬の体内で成長を始めます。
そしてついには、犬の腹を食い破り、惑星の囚人たちを襲い始める。
三たび、エイリアン抹殺のため立ち上がるリプリー。
しかし、この星には武器と呼べるものが何もない!!
しかもなんと、リプリーの体内にもエイリアンの影が・・・。


さて、本作にも内田樹さんが引き続き見解を述べています。
例によって、以下受け売り。


この星にはかつての強姦殺人犯などが多くいるため
女性がうろつくのは危険だとリプリーは言われます。
そしてシラミが多いため、髪を丸坊主にしてしまう。
つまり、女性に帰属させられたすべての特性を脱ぎ捨てる。
リプリーは造形美とか鑑賞美を拒絶しているわけです。
この星には重罪犯と無能な看守がいるのみ。
すなわち、これは父権社会そのものを表していて、その中でリプリーは孤立しているのです。
そしてリプリーが連れてきたエイリアンが、男たちを貪り食う。
・・・男性が自立を求める女を嫌悪する図式そのものがあらわになって行く。

振り返ってみれば、これまでのエイリアン全編を通じ、
エイリアン=女性を妊娠させ自己複製を作らせようとする男性の欲望の形象化したもの。
そしてつまり、女性から見れば、
男性のエゴイスティックな自己複製欲望に屈服することの嫌悪と恐怖を表している。
このような男女のせめぎあいの中、
本編では特に、なお父権社会に立ち向かおうとするリプリーが徹底的に打ちのめされるのです。
自立を求める女性は結局、子も友人も失い、殺し、挙句には自らも殺すことになる
という悪意に満ちたメッセージ・・・。


本編は興行的にはいい成績は残せなかったようなのですが、
内田樹氏も、本編は「女性嫌悪」しか表していない駄作と評しています。
上質の物語にはもっといろいろな側面が表れるものだ、と。
そういえばそうですね・・・。

エイリアン3 [DVD]
シガーニー・ウィーバー,チャールズ・S・ダットン,チャールズ・ダンス,ランス・ヘンリクセン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (FOXDP)



<J-COMオンデマンドにて>
「エイリアン3」
1992年/アメリカ/115分
監督:デビッド・フィンチャー
出演:シガニー・ウィーバー、チャールズ・S・ダットン、チャールズ・ダンス、ポール・マッギャン、ブライアン・グローバー

女性嫌悪度★★★★★
満足度★★.5