上質で上品、大人のミステリ

* * * * * * * * * *
元英国首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の
回顧録の執筆を依頼されたゴーストライター(ユアン・マクレガー)が、
ラングの滞在する孤島を訪れます。
彼の前任者がフェリーから転落して死亡したため、
その後を引き継ぐ形で仕事を始めるのですが、
残された資料から、不可解な事実が浮かび上がってくるのです。

本作の冒頭がいい。
フェリーが港に到着し、車が降りようと列をなしているのですが、
一台の車が通路のど真ん中に駐車したまま動かないのです。
迷惑な車だと皆が思うのですが、そもそも運転者が乗っていない。
この車でフェリーにのったはずの人物は一体どうしたのだ・・・?
というところで、次に海岸に打ち上げられた男の死体のシーン。
事故か、事件か・・・?
いきなり興味が湧いてきます。
つまりこの亡くなった男こそが、前任のゴーストライターということなのですね。

孤島のラングの邸宅は全面ガラスの大きな窓があり
外の景色がよく見えるのですが、
しかし寒々しい鉛色の空と荒野、冬の寂寞とした風景がつづくばかり・・・。
この寂しい地で仕事をするゴーストライターも
次第に気が滅入ってくるのでしたが・・・。
しかし、前任者の残したある資料から、ラングに疑惑が湧いてきます。
そして彼がこの家の来客用の車を借りた時、
カーナビに先に登録した行き先がそのまま残っていたのです。
カーナビの指し示すとおりに道を辿ってみると、フェリー乗り場に到着。
つまりこれは、前任者が死の寸前に辿った道。
フェリーで本土についてからもカーナビはまだ行先を示し続けるので
それを辿って、彼はとある人物の屋敷に到着。
そしてそこから退去する時に彼の車を尾行する者があることに気がつくのです。
結局彼は前任者と同じ運命をたどることになるのではないかと、ハラハラしますね。

このゴーストライター、どうにもツキがないと言いますか、トホホな存在。
だから、かっこいいアクションなどはなくて、洞察力だけが武器。
ラスト、彼は“してやったり”というような
彼にとっては上出来の“敵”に対しての意趣返しをしてみせます。
が、しかし。
ツメが甘いというか、これまた彼らしいラストとなっているところが
またなんともいえずにいいんだなあ・・・
(いや、よくはないけど)
CIAが相手ではあまりにも分が悪い、ということか・・・。

派手なアクションとかカーチェイスとかはなくて、地味~な作品なのですが、
私、すごく気に入ってしまいました。
上質で上品な大人のミステリ。
<WOWOW視聴にて>
「ゴーストライター」
2010年/フランス・ドイツ・イギリス/128分
監督:ロマン・ポランスキー
出演:ユアン・マクレガー、ピアース・ブロスナン、キム・キャトラル、オリビア・ウィリアムズ、トム・ウィルキンソン
サスペンス度★★★★☆
満足度★★★★☆

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元英国首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の
回顧録の執筆を依頼されたゴーストライター(ユアン・マクレガー)が、
ラングの滞在する孤島を訪れます。
彼の前任者がフェリーから転落して死亡したため、
その後を引き継ぐ形で仕事を始めるのですが、
残された資料から、不可解な事実が浮かび上がってくるのです。

本作の冒頭がいい。
フェリーが港に到着し、車が降りようと列をなしているのですが、
一台の車が通路のど真ん中に駐車したまま動かないのです。
迷惑な車だと皆が思うのですが、そもそも運転者が乗っていない。
この車でフェリーにのったはずの人物は一体どうしたのだ・・・?
というところで、次に海岸に打ち上げられた男の死体のシーン。
事故か、事件か・・・?
いきなり興味が湧いてきます。
つまりこの亡くなった男こそが、前任のゴーストライターということなのですね。

孤島のラングの邸宅は全面ガラスの大きな窓があり
外の景色がよく見えるのですが、
しかし寒々しい鉛色の空と荒野、冬の寂寞とした風景がつづくばかり・・・。
この寂しい地で仕事をするゴーストライターも
次第に気が滅入ってくるのでしたが・・・。
しかし、前任者の残したある資料から、ラングに疑惑が湧いてきます。
そして彼がこの家の来客用の車を借りた時、
カーナビに先に登録した行き先がそのまま残っていたのです。
カーナビの指し示すとおりに道を辿ってみると、フェリー乗り場に到着。
つまりこれは、前任者が死の寸前に辿った道。
フェリーで本土についてからもカーナビはまだ行先を示し続けるので
それを辿って、彼はとある人物の屋敷に到着。
そしてそこから退去する時に彼の車を尾行する者があることに気がつくのです。
結局彼は前任者と同じ運命をたどることになるのではないかと、ハラハラしますね。

このゴーストライター、どうにもツキがないと言いますか、トホホな存在。
だから、かっこいいアクションなどはなくて、洞察力だけが武器。
ラスト、彼は“してやったり”というような
彼にとっては上出来の“敵”に対しての意趣返しをしてみせます。
が、しかし。
ツメが甘いというか、これまた彼らしいラストとなっているところが
またなんともいえずにいいんだなあ・・・
(いや、よくはないけど)
CIAが相手ではあまりにも分が悪い、ということか・・・。

派手なアクションとかカーチェイスとかはなくて、地味~な作品なのですが、
私、すごく気に入ってしまいました。
上質で上品な大人のミステリ。
![]() | ゴーストライター [DVD] |
ユアン・マクレガー,ピアース・ブロスナン,キム・キャトラル,オリヴィア・ウィリアムズ,トム・ウィルキンソン | |
Happinet(SB)(D) |
<WOWOW視聴にて>
「ゴーストライター」
2010年/フランス・ドイツ・イギリス/128分
監督:ロマン・ポランスキー
出演:ユアン・マクレガー、ピアース・ブロスナン、キム・キャトラル、オリビア・ウィリアムズ、トム・ウィルキンソン
サスペンス度★★★★☆
満足度★★★★☆